2004年国家公務員給与法・寒冷地手当改悪法の成立にあたって(談話)

2004年10月27日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 若井 雅明

1、国家公務員一般職の給与法および寒冷地手当改悪法は、本日の参議院本会議で共産党をのぞく各党の賛成多数により可決・成立した。
 公務労組連絡会は、現行支給地域の4割強を切り捨て、支給額を約4割引き下げる寒冷地手当の改悪に強く反対してきた。法成立に当たって、あらためて、手当の廃止・削減は、公務員労働者の生活後退をまねくばかりか、地域経済にも悪影響をおよぼすなど数々の問題点を持っていることを指摘するものである。

2、国会審議では、寒冷地手当改悪法の10月28日施行を前提に、異例とも言える審議日程がとられ、国会開会からわずか2週間という短期間で成立がはかられた。
 全国の270を超える地方議会の反対決議が採択されるもと、国会では、地域住民への影響をふくめて、国民的な視点からの十分な議論が求められていた。また、新潟では、連続する大地震によって多くの尊い命が奪われ、住民が不安をかかえながら避難所生活を続ける状況も考慮することなく、各市町村での手当廃止・削減がおこなわれることとなった。
 このようなことからも、衆参あわせてもわずか5時間にも満たない不十分な審議で成立をはかり、手当改悪を一瀉千里に強行したことは重大である。

3、人事院は、来年の勧告にむけて、「地域給与」をはじめとした「給与構造の基本的見直し」を表明し、総務省も、「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」を今月発足させ、自治体職員や教員給与の地域間格差の拡大をねらっている。
 言うまでもなく、これらの給与改悪攻撃は、「骨太の方針」にも沿ったもので小泉「構造改革」の一環であるが、寒冷地手当改悪は、その突破口として位置づけられたものである。公務労組連絡会は、今後、政府・人事院がねらう公務員給与改悪の攻撃に反対して断固たたかう決意である。

4、おりしも、今月21日には、「賃下げの遡及実施」の違法性を争う「国公権利裁判」において、東京地裁で原告の請求棄却の判決が出された。憲法にもとづく公務員労働者の権利確立を求めた当然の主張に何らまともに応えることなく、門前払いにした不当判決に怒りを持って抗議するものである。
 政府の「公務員制度改革」によって、公務員労働者のさらなる権利後退がねらわれるもとで、あらためて、憲法とILO条約・勧告に沿って、労働基本権回復など民主的公務員制度の確立を求める。そのため、「ILO勧告遵守団体署名」の2万団体からの集約をめざして取り組みを強める。
 公務労組連絡会は、引き続く地方自治体での賃金確定のたたかいなど秋季年末闘争の諸課題としっかり結合させて、「三位一体の改革」や郵政民営化、定率減税廃止・消費税増税など小泉「構造改革」にもとづく国民犠牲の悪政阻止にむけて奮闘する決意を表明する。(以上)