2021年11月24日
公務労組連絡会事務局長 秋山 正臣
政府は、人事院が8月10日に行った一時金の0.15月引き下げを求めた21年人事院勧告の実施を本日閣議決定した。コロナ禍で奮闘する公務労働者の労苦に報いず、多くの職員の生活悪化につながるものであり、厳しく抗議する。
公務労組連絡会は、勧告直後に政府に対して要求を提出し、職場の実態をふまえた追及を行ってきた。
公務員賃金は約770万人の労働者に直接影響するものであることを示し、最低賃金を下回る初任給改善をはじめとした賃金の改善とともに、地域経済を活性化させるためにも地域間格差を是正するよう求めてきた。
また、非常勤職員の処遇改善について、休暇制度の拡充や雇用の安定を強く求めてきた。両立支援に関わって一定の改善ははかられたものの、引き続き「同一労働同一賃金」を公務職場で実現を強く求めた。
しかし、政府の対応はわたしたちの要求にはほど遠いばかりか、一時金を引き下げるものであり、断じて認めることができない。
公務労働者の雇用と年金の確実な接続では、2023年度から定年引き上げが実施されることとなったが、地方自治体での条例制定などはまだ進んでいない。
待ったなしの課題であり、地方自治体における条例制定に向け、政府として速やかに具体的な助言・支援を行うよう求める。また、各地方自治体では、労使協議を丁寧に行い、制度の導入が円滑に進められるよう真摯な対応を求める。
なお、国・地方自治体ともに、定年引き上げに伴って定年退職者が生じない年が発生する。行政体制を確保するためにも、新規採用者の計画的な採用が行われるよう特別の措置を強く求める。
本日の閣議決定を受け、給与法改正法案等が国会で審議されることとなるが、公務労組連絡会は、法案の成立反対を訴え、国会行動にとりくむ。先進国のなかで最も少ない人員体制のもと、非常勤職員を含む公務労働者の奮闘によって公務・公共サービスが支えられている。国会審議では、現場実態などを踏まえ、公務労働者の賃金や処遇に対する誤解や偏見などを払しょくするため、政府として丁寧に説明するなど、国民の理解を広げるための対応を強く求める。
同時に、国との均衡をタテにして地方公務員や独立行政法人職員の給与決定への介入・干渉を行わず、地方自治や労使自治の原則を尊重するよう求める。
日本の労働者賃金は、国際的にも異常な低水準にとどまっていることが様々な角度から述べられている。経済対策としても賃金引き上げの重要性が語られている。
公務労組連絡会は、2022年春闘も念頭に、国民全体の奉仕者であり、憲法擁護の責務を負う公務労働者として、国民生活擁護と憲法改悪阻止のたたかい、全国一律最低賃金制度の確立や賃金の底上げをめざし、引き続き全力をあげる決意を表明する。
(参考資料)
・公務員の給与改定に関する取扱いについて(21年11月24日閣議決定)
・内閣官房長官談話
・地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(総務副大臣通知)