23年人事院勧告の取り扱いの閣議決定にあたって(声明)

2023年10月20日
公務労組連絡会幹事会

 政府は本日、国家公務員の0.96%の賃金改善と一時金0.10月改善、在宅勤務等手当の新設、フレックスタイム制の活用などを内容とした2023年人事院勧告の実施を閣議決定した。

 勧告内容は高卒初任給を12,000円、大卒初任給を11,000円引き上げるとともに、その他の職員についても若年層に重点を置きつつ全体の号俸を引上げるなど、私たちの要求を一定反映するものであった。

 しかし、燃料費や食料品をはじめとする歴史的な物価高騰による生活悪化の改善には到底及ばず、高卒初任給の引上げも地域別最低賃金を下回る地域が残されるなど、公務の魅力を取り戻すには不十分なものである。また、柔軟な働き方に関する措置は、業務の見直しや人員増を伴わなければ、長時間労働の実態を覆い隠すだけである。

 公務労組連絡会は、勧告直後に政府に対して要求を提出し、公務職場の実情をふまえた追及を行ってきた。

 公務員賃金の改善は、国家公務員のみならず900万人以上の労働者の賃金に直接影響するものであることを示し、「構造的賃上げ」に取り組む政府として人事院勧告を上回る大幅賃上げを決断し、17か月連続の実質賃金マイナスに歯止めをかけることを求めてきた。また「同一労働同一賃金の徹底」を掲げる政府として、非正規公務員の処遇改善と雇用の安定を率先して実現することを強く要求してきた。

 しかし政府は「人勧尊重」の基本姿勢に固執し、勧告通り23年度の給与改定を行うことを決定した。

 本日の閣議決定を受け、給与法改正法案等が臨時国会で審議される。業務量の増加と恒常的な人員不足による長時間過密労働が蔓延するなか、非正規公務員を含む公務労働者の奮闘によって日々の公務・公共サービスが支えられている。さらに、公務員採用試験の申込者数の減少や若手職員の退職者の増加などにより、公務における人材確保の厳しさは増している。

 こうした厳しさを増す公務職場の実態をふまえ、政府として公務員賃金引上げの重要性をていねいに説明するなど、国民の理解を広げるための対応を強く求める。

 同時に、国との均衡などをたてにして、地方公務員や独立行政法人職員等の給与決定への介入・干渉を行うことなく、地方自治や労使自治の原則を尊重するよう求める。

 公務労組連絡会は、24年春闘も念頭に、国民全体の奉仕者であり、憲法擁護の責務を負う公務労働者として、公共を取り戻し、あらゆる格差の解消、憲法改悪阻止、全国一律最低賃金制度の確立、そして政治の民主的転換をめざしてたたかう決意である。

以 上

(参考資料)
 ・公務員の給与改定に関する取扱いについて(23年10月20日閣議決定)
 ・内閣官房長官談話
 ・地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(総務副大臣通知)