22年人事院勧告の取り扱いの閣議決定にあたって(声明)

2022年10月7日
公務労組連絡会幹事会

 政府は、人事院が8月8日に行った本俸及び一時金の引き上げを求める22年人事院勧告の実施を本日閣議決定した。諸物価の高騰が続く中、実質賃金のマイナス分もカバーできない僅かな引上げにとどまったことに厳しく抗議する。

 公務労組連絡会は、勧告直後に政府に対して要求を提出し、職場の実態をふまえた追及を行ってきた。

 公務員賃金は約770万人の労働者に直接影響するものであることを示し、最低賃金を下回る初任給の大幅引き上げ、再任用職員を含む高齢層の賃金引上げなどすべての公務労働者の賃金の改善とともに、地域経済を活性化させるためにも地域間格差を是正するよう求めてきた。

 非常勤職員の処遇改善については、公務職場における「同一労働同一賃金」のさらなる徹底を求めてきた。なかでも安心して働き続けられる制度の確立、休暇制度の拡充など切実な要求の実現を求めてきた。しかし、政府の対応はわたしたちの要求にはほど遠い。

 公務労働者の雇用と年金の確実な接続では、国家公務員の定年引き上げが2023年度から実施されることとなったが、地方自治体での条例制定などはまだ進んでいない。

 待ったなしの課題であり、地方自治体における条例制定に向け、政府として速やかに具体的な助言・支援を行うよう求める。また、各地方自治体では、労使協議をていねいに行い、制度の導入が円滑に進められるよう真摯な対応を求める。

 国・地方自治体ともに、定年引き上げに伴って定年退職者が生じない年度が発生するが、行政体制を確保するためにも、新規採用者の計画的な採用が行われるよう特別の措置を強く求める。

 本日の閣議決定を受け、給与法改正法案等が国会で審議されることとなる。先進国のなかで最も少ない人員体制のもと、非常勤職員を含む公務労働者の奮闘によって公務・公共サービスが支えられている。国会審議では、現場実態などを直視し、安心して職務に専念できる賃金や処遇、非常勤職員の雇用安定などに関する真摯な議論が行われることを期待する。政府には、国民の理解を広げるための対応を強く求める。

 同時に、国との均衡などをたてにして、地方公務員や独立行政法人職員の給与決定への介入・干渉を行わず、地方自治や労使自治の原則を尊重するよう求める。

 日本の労働者賃金は、国際的にも異常な低水準にとどまっていることが様々な角度から指摘されている。岸田内閣が推進する「職務給」ではなく、生計費原則に基づく誰もが安心して生活できる賃金の保障が求められている。

 公務労組連絡会は、2023年春闘も念頭に、国民全体の奉仕者であり、憲法擁護の責務を負う公務労働者として、国民生活擁護と憲法改悪阻止のたたかい、全国一律最低賃金制度の確立や賃金の底上げをめざし、引き続き全力をあげる。

以 上

(参考資料)
 ・公務員の給与改定に関する取扱いについて(22年10月7日閣議決定)
 ・内閣官房長官談話
 ・地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(総務副大臣通知)