2019年人事院勧告にあたっての幹事会声明
2019年8月7日
公務労組連絡会幹事会
1、人事院は本日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する勧告と報告をおこなった。賃金は「387円、0.09%」の較差にもとづく改善と一時金について0.05月引き上げることを柱とする勧告と報告である。
6年連続となるベア勧告は、全労連・国民春闘共闘をはじめ公務労組連絡会などの賃金改善を求めるねばり強いたたかいの反映である。しかし、その水準は公務労働者の生活を改善するにはほど遠いものであり、われわれの要求に応えない極めて不満な勧告である。
2、配分では、ここ数年と同様、初任給から若年層に対する俸給を重点的に引き上げた。初任給では、高卒初任給を2,000円、大卒初任給を1,500円引き上げるとした。しかし、官民較差は依然として大きい。加えて、地域間格差が人材確保にも大きく影響している。このような初任給の官民較差や地域間格差は看過できるものではない。
一方、実質賃金が低下する一方の高齢層職員に対する配分が全くなされなかったことに強く抗議する。
手当では、住居手当の見直しが行われ、基礎控除顎が引き上げられるとともに、限度額をわずかに1,000円引き上げたが、政府の住宅政策によって公務労働者の生活を圧迫する大きな要因となっている住居手当の改悪であり、容認できるものではない。
非常勤職員の処遇改善では、夏季休暇を付与することに言及するなど、均等待遇に向けた努力は見られるものの、代償機関としての責任を果たしているとまでいえない。
3、今年の地域別最低賃金の目安額は、加重平均で27円の引き上げとなった。最高額と最低額の格差は224円から226円へと拡大する。全労連が全国各地で行っている調査では、全国どこでも生計費は変わらない。地域間格差を是正するためにも「全国一律1,000円以上、めざせ1500円」の要求は、当たり前の要求として、社会的にも注目を浴びている。そのため、全国一律最賃制の実現に向け、全力をあげてたたかうものである。
公務労組連絡会は、すべての労働者の大幅賃上げをめざして「3・7中央行動」などをはじめ、春闘期から民間労組との共同をひろげて奮闘してきた。また、「6・21中央行動」をはじめ「7・25署名提出行動」など、公務員賃金改善の人事院勧告と最低賃金の大幅引き上げを一体とするたたかいを展開してきた。全国でとりくんだ「公務員賃金改善署名」は10万筆を超えた。6年連続で俸給表の改善や一時金の改善、臨時・非常勤職員に対する労働条件改善などを実現したことは官民共同のたたかいの反映である。
こうした要求と運動の到達点をふまえ、改善部分の早期実施を求め、たたかいを強化する。また、地方人事委員会での改善勧告をめざすとともに、確定闘争、独立行政法人での賃金改善を勝ちとるため、公務大産別の団結を強めてたたかいを継続・強化していく。
4、本年の6月にILOは、「公務員の労働基本権回復」「消防職員及び刑務所職員の団結権と団体交渉権の回復」に関するフォローアップを総会に提出した。ILOは、昨年の総会で日本政府に対し行動計画の提出を求めていた。勧告を受け、日本政府に対し誠実な交渉・協議を行うよう求めてきたが、日本政府は従前の回答を繰り返すことに終始し、具体的な対応を何ら行おうとしない。国際的にも日本政府の異常さは際立っており、われわれ労働組合との真摯な交渉・協議こそが求められている。
5、安倍政権は、憲法に基づく臨時国会の召集や予算委員会の開催を求める野党の要求を無視し続けてきた。このような国民の声に背をむける暴走政治はとどまるところを知らない。アメリカ言いなり、大企業を優遇する一方で国民に負担と犠牲を押しつける政治に対する怒りは日本社会で渦巻いている。国民の怒りは、憲法改悪などに反対する野党と市民、労働組合の共同した運動のひろがりへとつながっている。
公務労組連絡会は、みずからの要求と結びつけて、憲法改悪を断固阻止するとともに安倍暴走政治を転換するために全力をあげる。そして、憲法を擁護し、遵守する責務を負う公務労働者として、憲法を守りいかすために職場と地域から奮闘する決意である。
(参考資料)(PDFファイル)
(1) 給 与 勧 告 の 骨 子
(2) 公務員人事管理に関する報告の骨子