公 務 労 組 連 絡 会 |
「マイナス勧告」の閣議決定に抗議する(声明)
2010年11月1日
公務労組連絡会幹事会 1、菅内閣は1日、「0.19%、757円」の官民逆較差にもとづき、若年層などをのぞく月例給の平均0.1%の引き下げ、55歳を超える職員給与の1.5%減額、一時金の0.2月引き下げなどを内容とする10年人事院勧告の実施を閣議決定した。 2年連続の「マイナス勧告」が実施されれば、公務員給与は年収で9万4千円も減額することとなり、生活悪化は避けられない。また、行(一)6級相当職以 上に限定したとは言え、55歳を超える職員に対する一律の給与減額は、年齢による賃金差別にほかならず、道理なき賃下げへの怒りの声に背をむけた閣議決定 の強行に断固抗議するものである。 2、とりわけ重大なのは、閣議決定が、「人件費を削減するための措置」にむけて次期通常国会への法案提出に言及したことである。 今次勧告の取り扱いにあたっては、菅首相は、民主党代表選挙において、「人事院勧告を超えた削減を目指す」と表明し、閣僚からも公務員給与引き下げが声 高に叫ばれた。この事態に、公務各単産が政府への抗議・要請を集中させ、たたかいは全労連規模にもひろがり、結果として勧告を上回る給与引き下げを断念さ せることとなったが、その一方で人件費削減を目的とした法的措置を講ずるとの決定は、断じて認められるものではない。 交渉権もないままに一方的に不利益変更をおこなうならば、言うまでもなく憲法違反である。政府は、何よりもまず争議権をふくむ労働基本権を全面回復すべきである。 3、失業率は依然として高水準で推移し、円高による景気のさらなる悪化が懸念されている。日本経済を内需中心に転換していくうえでも、個人消費の拡大は不可欠となっている。 しかし、大企業は膨大な内部留保をため込む一方で、労働者の所得は減り続けている。こうした状況も背景に、地域最賃の例年にない引き上げや公契約条例制 定の取り組みがすすんでいる。公務員賃金の引き下げは、これらの動きに逆流するものであり、民間にも影響をあたえ、「賃下げの悪循環」による景気の悪化は 避けられない。「マイナス勧告」実施の決定は、景気回復をめざす政府みずからの方針にも逆行するものにほかならない。 こうしたもと、引き続き「賃上げでこそ景気回復を」との主張をひろげ、すべての労働者の賃金底上げにむけて奮闘する決意である。 4、法人税減税と引きかえの消費税増税が議論され、さらには公務員総人件費削減や地域主権改革を通した公務・公共サービスの縮小がねらわれている。 かつて人事院勧告が政府によって凍結・抑制された80年代には、公務員攻撃をテコにして、政府は、臨調「行革」路線による国民生活切り捨てを加速させ た。こうした歴史に照らし合わせるならば、厳しい公務員攻撃と正面から対決し、国民生活擁護のたたかいの先頭に立って公務労働者が奮闘することが求められ ている。 そうした情勢をあらためて認識し、国民的な共同をひろげて、国民の暮らしといのちを守り、深刻な「貧困と格差」の解消にむけてたたかう決意を新たにするものである。 |
以 上 |