私たちの声明・談話
公 務 労 組 連 絡 会


「賃下げ勧告」の閣議決定強行に抗議する(談話)

2009年8月25日
公務労組連絡会事務局長 黒田 健司

1、麻生内閣は8月25日、「マイナス0.22%、863円」の官民逆較差にもとづき、若年層など一部の職員をのぞく月例給の平均0.2%(管理職層は0.3%)の引き下げとともに、期末・勤勉手当の0.35月引き下げ、自宅に係る住居手当廃止などを求める09年人事院勧告の実施を閣議決定した。
 年収ベースでは15万4千円の過去最大規模となる賃下げは、悪化し続ける公務労働者の生活水準をさらに引き下げることとなり、勧告通りの閣議決定は、本来、公務員の労働条件改善に努力すべきである政府の使用者責任があらためて問われるものである。

2、とりわけ、重大なことは、きわめて問題の多い月例給引き下げの4月遡及実施を含めて、賃下げという労働条件の不利益変更にもかかわらず、労働組合とのまともな交渉もなく、話し合いにもとづく納得と合意もないまま、勧告からわずか2週間という異例の早さで実施を決定したことは断じて認められない。
 その背景には、選挙を前にして、公務員の賃下げによって国民支持を得たいという与党の思惑があったことは明らかである。党利党略のもとで、公務員賃金を政治目的に利用した麻生内閣と自公政権に対して、怒りを持って抗議するものである。

3、賃下げ勧告の実施は、地方公務員をはじめ公務関連労働者の賃金に連動し、民間賃金にも否定的な影響をおよぼし、個人消費が冷え込むことで、景気のさらなる悪化が懸念される。景気回復は、政治が果たすべき最重要課題であり、選挙後に確立される新政権のもとで、閣議決定の撤回を含めた慎重な検討を求めるものである。
 同時に、公務員の協約締結権保障が現実的課題となり、政府の検討委員会で労使間の交渉ルールが議論されているもと、労働組合との誠意ある交渉を尽くそうとしない政府の姿勢は、自立的な労使関係の確立を否定するに等しく、重大である。あらためて、公務員労働者の労働基本権のすみやかな回復を強く求める。

4、8月30日にはいよいよ衆議院選挙の投票日をむかえる。公務員バッシングで国民支持をねらうという姑息な手段などでは、国民犠牲を続けてきた自民・公明による悪政を終わらせたいという、国民の間で高まりつつある期待と願いは押しとどめることはできない。
 選挙後には、国民の世論と運動で政治を動かすことのできる条件がひろがることとなる。その点でも、秋のたたかいでは労働組合の存在が問われることとなる。公務労組連絡会は、「構造改革」が生み出した貧困と格差の解消、社会保障制度の充実、公務・公共サービス拡充にむけて、労働者・国民の運動と連帯してたたかう決意である。

以   上