「公務員制度改革」闘争ニュースNO.13【2001年12月11日】


財界「21世紀戦略」そのままの公務員制度改革

= 日本労働弁護団と懇談 =


 対策本部は12月10日、日本労働弁護団と「公務員制度改革問題」について弁護団事務所で懇談しました。対策本部 から堀口(国公労連委員長)、駒場(自治労連委員長)両副本部長、浜島事務局次長、小林事務局員が参加。労働弁護団側から井上幹事長をはじめ、山本、高 橋、江森、野本、伊藤、中野、小林各弁護士が参加し、約1時間半にわたって意見を交わしました。

 はじめに堀口副本部長が懇談の主旨にふれ、「公務員制度改革」を推進する公務員制度等改革推進室が47人に強化されたもの の、そのうち第3者機関であるはずの人事院から半数近くの職員を派遣して作業をおこなっている実態と、今月中旬にも「大綱」原案が出されようとしている事 態を報告し、想定される「大綱」内容の問題点を述べ、懇談に入りました。

労働条件決定システムと基本権問題は一体の関係

 江森弁護士からは「公務員制度調査会の動向」と「労働基本権問題の動き」についての 質問がだされました。これに対して駒場、堀口、浜島各氏から、総務省の公務員制度調査会や人事院の給与制度見直しも停止していることを述べ、「公務員制度 改革」が行政主導ではなく自民党主導で進められ、国際公約である労使の交渉・協議が軽視されていることの問題認識を説明しました。

 また、基本権問題については、この間の国会審議において人事院総裁や総務大臣答弁で「代償機能」と「労働基本権」は「パラレ ルな関係」であるとの認識が示されており、「新人事制度」が労働基本権と深く係わることが国会の認識となってきたこと。したがって、人事院機能の縮小と各 省人事権能の拡大・強化をはかる「公務員制度改革」は、公務員労働者の労働基本権回復と一体のものであるとの労働側の要求の正当性を説明した。また、労働 基本権制約の現行制度下では、多くの職場要求が「管理運営事項」として排除されなど当局の横暴がまかり通ることも起きており、団結権すら侵害されているこ と。さらに労働基本権を剥奪しつづけ、「信賞必罰」の人事管理制度を持ち込むことは、公務員労働者を無権利状態とし、悪政の推進者になっていまう恐れがあ ることなどの見地を述べました。

公務員の賃金・雇用システムの破壊は財界の戦略(弁護団)

 山本弁護士等からは、「公務員制度改革」のねらいについて指摘されまし た。とくに日経連などは、「この10年間で民間大企業の労使関係が大きく崩れ、年功序列や終身雇用の廃止、正規雇用から非正規雇用へと変わってきた変化を とらえ、公務員の長期安定雇用の破壊、人事院をなくして能力・業績主義によるフレキシブルな人事管理の導入を求めていること。そのためにまず人事院の機能 を縮小し各省庁に移す、臨時・派遣など新しい型の労働者を増やす、そして試験はキャリアだけにするとのイメージを描いている」とそのねらいを明らかにされ ました。

「新人事管理」打破にむけ対案をもってたたかうこと

 また、自治体の現業部門の民営化にふれ、公務サービス労働を民間企業の利潤確保 の場とすることがねらわれており、そのために財界は「公務は非効率」との攻撃をかけてきている。こうした攻撃を打破していくためには、民間の労働実態が大 きく変化しているなかで「公務員は今まで通り」ではたたかえない。こちらから人事院のあり方を含め対案をもってたたかう必要がある。また、ドイツ、フラン ス、イギリス、アメリカなどの公務員制度を調査して、21世紀の公務員制度のあり方を解りやすく提示する必要もある。それと「評価制度」にたいし、公正さ がどう担保されるべきか具体的に示すことが必要なることなどの指摘が出されました。

 これに対して堀口氏は、国公労連の評価制度についての考え方や人事院機能の縮小による矛盾点などについて問題意識を述べまし た。駒場氏は、現在進められている自治体の福祉施設のアウトソーシング化、図書館・病院等の職員賃金体系改悪、施設の民間委託化などの現状を明らかにし、 市町村合併押しつけとともに自治体職員の人事管理制度改悪の攻撃にたいする住民ぐるみのたたかいが始まっていることを紹介しました。  最後に駒場副本部長が、これからの「公務員制度改革」のたたかいへ協力をお願いして懇談を終えました。

以 上