声明・談話など


〜 国民全体の奉仕者から政権党に従属する公務員に 〜

「公務員制度改革の大枠」について(談話)


2001年3月27日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


 本日、政府の行政改革推進事務局は「公務員制度改革の大枠」(以下「大枠」)を決定し、発表した。

 この「大枠」は、「行政改革の最終目的は、社会・経済システムの全面的な転換」にあり、「行政改革の第二段階」として「人」と「組織」に着目した「公務 員制度改革」をおこなうとしている。その内容としては、「信賞必罰の人事制度の確立」による能力・実績による賃金・人事体系の導入、政治主導のもとで国家 的見地から政策立案能力の向上をはかるとして「国家戦略スタッフ群(仮称)の創設」を基本的な柱としている。  そして、これまでの人事院制度・機能から各省へ人事管理権を委譲し、そのもとで定員、総人件費の枠内で閣僚が自由に組織・人事制度を設計・運用できるよ うにするとしている。

 これは行き着くところ特定の価値観への従属を公務員に迫り、国民全体の奉仕者から政権党の言いなりになる公務員に仕立て上げていくも のである。また、公務員の身分・労働条件と不可分な労働基本権回復問題などについては意図的に方向性を示していない。全労連はこのような政府の「公務員制 度改革」を容認することはできない。

 政府は、「行政改革の最終目的は、社会・経済システムの全面的な転換にある」としているが、政府がこの10年余すすめてきたことは、 「構造改革」路線を前面に「市場経済万能」の立場で、労働者や国民に犠牲を転嫁しながら大企業の利益擁護のため、社会保障制度のあいつぐ改悪やリストラ促 進の法・制度の「改悪」などである。また、日本を「戦争をする国」に変えるガイドライン法や「日の丸・君が代」国旗・国歌法の制定などの悪政を強行、いま また「教育改革」の名のもとに、政府や財界の意に沿った教育と教職員政策へと教育基本法などをも大きくかえようとしている。

 これらと表裏一体で、「内閣府」や「国土交通省」さらには総理大臣直属の「経済財政諮問会議」の発足などに象徴されるアメリカの言い なりで大企業本位の強権政治をいっそう可能とする1府12省庁がさる1月6日に発足している。「公務員制度改革」は、これらの「器にどのような魂を入れて いくか」「ハードの改革にふさわしいソフトの改革」といわれている。いうならそれは憲法改悪や有事法制をも視野にした政府・財界の「構造改革」路線、「行 政改革」の「総仕上げ」といえる。

 いうまでもなく「公務員制度」は、公務に働く労働者にとっては労働条件や「働くルール」に直結するものであり、その見直しにあたって は公務員労働者の労働基本権回復をはじめ市民的・政治的自由の保障などが不可欠である。さらに、「公務員制度」は公務の民主化、行政の民主的運営を担保す る「ルール」でもあり、これがどのように「改革」されるかは国民全体にとっても重要な問題である。

 今日の悪政への国民の批判はかってなく厳しいものがあり、国民がいま政府に最も強く求めていることは経済運営を含め政治・行政の基本姿勢を国民生活擁護にむけ抜本的に転換することである。

 全労連は、「公務員制度改革」をめぐる我々の具体的な見解と要求を改めて国民のなかに明らかにするとともに、政府の狙いを暴露・批判し つつ、広範な国民諸階層の要求を前面に行政をめぐる問題点やその背景にある今日の悪政を国民とともに改善・転換していくこと、さらには、民主的で公正、効 率的な行政とそれを担保する「国民全体の奉仕者」としての公務員制度の確立にむけ、公務関係組織とも連携しながら官民一体で全力を挙げて奮闘するものであ る。

以 上