あいつぐ災害 先生がたりない 
窓口は非正規化が進行

いま、公務職場はピンチです!

非正規公務員酷書

2019年1月

全労連公務部会・公務労組連絡会

 自治体では「会計年度任用職員」制度導入の準備が進められ、国の職場では再公募による雇用不安のなかで、非常勤職員が働いています。
 本来、「任期の定めのない職員中心の公務運営」 が大原則です。いま一度公務職場のあり方と非正規職員の身分・待遇の改善についてごいっしょに考えてみませんか。

1 公務・公共サービスの担い手の公務職員の非正規化は深刻


 朝の通勤時間帯に起きた大阪北部地震。ほとんどの学校は休校、子どもたちを守る保護者は電車の中。自宅はガラスなどが散乱して帰宅も危険。このようななか、学童保育指導員が緊急出動し、子どもたちを受け入れました。この住民の生命や安全を守る職員も大多数が非正規職員であるのが公務職場の現実です。

 非正規職員は、賃金などの労働条件が低く、最低賃金すれすれで働かされているところも多く、休暇などでも正規職員に与えられている夏季休暇がなく、病休も無給となっています。正規職員と仕事が同じならば、労働条件も同じというのが当たり前ではないでしょうか。

(1)増え続ける非正規職員

国の行政機関  国の機関では1969年に施行された総定員法(行政機関の職員の定員に関する法律)により職員定数は一貫して減らされ続け、地方公務員ではバブル崩壊後の景気対策のツケである地方債残高の異常な膨張と、国による合理化の強制で大幅に正規職員が減らされており、増大する業務の受け皿として臨時・非常勤職員が非常に増加しています。

○国家公務員

 国家公務員は正規職員26.5万人余に対して非常勤職員は7.8万人余りで、常勤職員との合計34.4万人に対する非正規率は22.7%となっています。

 省庁別に見ると厚生労働省が3.4万人・52.6%と、人数、非正規率とも大きく他を引きはなしています。これは、公共職業安定所(ハローワーク)などの相談員が非常勤化されていることが大きな原因で、非常勤職員なしには労働行政は進まないといっても過言ではありません。

地方公務員 ○地方公務員

 総務省が調査を初めて行った2005年には全国で45.5万人だった地方自治体の臨時・非常勤職員は、2016年には64.3万人と11年間で18.7万人・41.1%も増加しています。

 その背景は、将来の児童・生徒数の減を口実とした正規教員の採用減と臨時教員の増、 正規教員の勤務時間を時間単位にばらす「定数崩し」による臨時・非常勤教員の増加があります。また、行財政改革による職員減が自治体の一般行政事務に集中し、窓口事務や保育所の非正規化が一気に推し進められたことです。さらに、消費生活相談や心理相談といった専門的な知識や長年の経験が必要な相談部門でも、非正規化が進んでいます。

(2)非正規職員の責任も増大

 求職者の相談にのるハローワークの相談員はほとんどが非常勤職員で、一人ひとりの適性や思いに寄り添える相談を行うため、自費でカウンセラーの資格を取っています。

地方公務員 教壇に立つ臨時教員は、 正規教員と同じように担任を持ち、成績をつけ、家庭訪問や進路指導も行っています。
 消費生活相談員は、クーリングオフ制度の説明などを通じて消費者保護につとめ、DVや児童虐待の相談では女性や子どもの安全確保を行っています。

 このように、 非正規職員でありながらも正規職員と同じ責任を持って仕事をしています。

(3)破壊される公務 ・ 公共サービス

○国民・住民の権利保障が不十分に
 非正規職員の問題だけではありません。公務・公共サービスが多くの分野で委託されています。委託された業務で働く職員は派遣労働者や有期契約労働者のため、経験が蓄積されないばかりでなく、災害への対応も限定的になっています。

 公務職場の非正規化の進行は、国民・住民の権利保障が不十分となり、すべてのことにおいて自己責任とされることにつながっています。

○働くものの権利保障も破壊
 委託業務で働く労働者は、業者が変われば雇用が失われます。たとえ雇用が確保されても年次有給休暇の権利が消滅します。また、直接雇用の非正規労働者であっても、正規職員との格差は大きく、政府が唱える「同一労働同一賃金」 など遠い世界と感じています。

 憲法に基づく国民・住民の権利を守るためには、公務・公共サービスの拡充が必要ということだけではなく、そこで働く労働者の権利が保障されているかどうかも大きな問題です。

労働契約20条裁判が東西で勝利(郵政職場の闘い)

手当・休暇  「郵政20条裁判」で2017年9月14日の東日本裁判での勝利判決に続き、西日本裁判でも東を上回る画期的な勝利判決を勝ちとりました。大阪地裁の判決で、年末年始勤務手当、住居手当、扶養手当の格差を不合理として認め、差額約304万円の支払いを命じました。
 昨年の東京地裁判決では扶養手当(東は該当者なし)を除く、年末年始勤務手当と住居手当はそれぞれ8割、6割と割合適用の支給としましたが、今回の判決では正社員と同額、100%の支給としました。一方で、東京地裁判決が不合理と認めた夏期冬期休暇と有給の病気休暇については具体的な判断を避けました。
 大阪地裁判決は「不合理な労働条件の格差をなくす」という20条の立法趣旨に反する判決が繰り返される中で、 この流れを押し返した大きな意義のある判決です。4割にも達する非正規雇用労働者の未来に希望の灯をともす画期的な判決となりました。(郵政20条ささえる会2018年3月発行ニュースより)

2 非正規職員にも要求される専門性

非正規率 行政サービス提供に人件費がかかりすぎるから、公務員を減らす、管理業務以外は非正規でいいと言われることがあります。しかし、そうでしょうか。行政サービスは憲法に保障された国民の人権を保障する仕事です。それは、国民一人ひとりの状況に応じた対応をしなければなりません。

 こうした人権保障、特に対人ケアに関わる業務は、知識・経験の蓄積がたいへん重要です。マニュアルがあるといっても、千変万化する対人ケアをカバーしきれるものではありません。安定した雇用を前提とした日々の業務経験、教育・研修を通じて、その労働者の判断能力を引き上げることが合理的ではないでしょうか。

 公務職場では、異動してきた正規公務員にその職場で長期勤続している非正規公務員が職務内容を説明することもあります。正規公務員は定期異動があるため、別表のように専門的知識が必要な職場の経験年数が長くなるほど、非正規率が高くなる職場もあります。

 「能率的な公務運営」と言うのであれば、こうした非正規公務員の知識・経験を活かすことこそ必要ではないでしょうか。

○消費生活相談員

 ~相談者の一人ひとりに合わせた適切な対応が求められる相談員

 私は消費生活相談を担当していますが、内容が多岐にわたり、高度な専門的知識や優れた交渉力が要求されます。また、相談者の年齢や性別、経験や知識・理 解力など千差万別であり、一人ひとりに合わせた適切な対応が求められます。より良い解決をめざして日々研鑽を積み、新しい知識や情報を取得し、専門家とし て責任を持って仕事に取り組むために日々奮闘しています。

 通常6時間45分の勤務ですが、勤務時間と相談時間が同じため、データ入力の時間を確保することがとても難しく、時間外に残って処理を行うことが日常的です。より質の高い市民サービスを継続していくためには、雇用の安定が不可欠です。

○自治体窓口職員

 ~行政情報の根幹の業務を担っている

 私は、戸籍、住民基本台帳、印鑑登録などの業務を担っています。これらは、いうまでもなく行政情報のもっとも根幹となる部分です。

 最近は、外国人住民や家庭内暴力、離婚など複雑な背景のある家族関係が増加し、単純でない届出や相談がますます増えています。そうした事例にも一人ひと り事情を丁寧に聞きとり、どんな方法がその人にとって一番ふさわしいのか判断しなければなりません。それは、定型的で単純な業務などとはとても呼べない、 高度な業務に様変わりしています。

 正規職員はジョブローテーションがありますが、非正規職員はずっと同じ職場で経験を積んでいます。結局、非正規職員の方が専門性も経験も豊になっていくことも少なくありません。

○認定調査員

 ~介護保険や障害福祉サービスの認定の仕事、 経験が大事

 私は、高齢者、障害児・障害者の方が介護保険や障害福祉サービスを利用する上で、どのような点で困っているかを認定していく仕事をしています。

 住民の方々の自宅や、施設、病院などを訪問し、困っている状況を把握し、公正な調査に基づく認定調査票を作成します。たとえば、認知症の方が「自分でで きる」と言っておられても、身の回りや家の中がどのような状況か、金銭管理がうまくできているか、家族やご近所などのまわりの方との関係がどのような状況 かなど、本人だけでなく家族や関係者からも見聞きしていくなかで、その方が生活する上で本当に困っている状況を把握します。

 こうしたことをもれなく調査していくためには経験が大切です。

○ハローワーク相談員

 ~障害者が職場に定着できるよう総合的にサポート

 私はハローワークで相談員として働いています。障害をもった方などの就業を助けるため、民間事業所や医療機関、支援センター、ご家族の方などと幅広く連携して、チームで専門的な援助を行っています。

 求職者の障害の状況、これまでの経験や職業能力などを的確に把握して、求職者に求人情報を提供するだけでなく、求人企業に対して配慮を必要とする内容を 直接説明し、就職後も継続的に電話や訪問で職場に適応できるよう支援を行っています。高度な知識・スキル・人脈などを必要とする専門的・恒常的な仕事で、 毎日誇りをもって働いています。

 国策である無期転換や正規化なども最前線で担っているのに、私たちプロの相談員が不安定雇用なのは矛盾もはなはだしいです。

○本省・事務職

 ~自治体からの法改正の問合せにも答える

 本省でフルタイムの非常勤職員(期間業務職員)として働いています。募集時の職務内容は「一般行政事務補助」でしたが、本省で働く非常勤職員の多くは、もはや補助的業務とは言えない常勤職員並みの複雑な仕事を担当しています。

 私自身、自治体からの法律改正の問合せに答えることもありますが、問合せをしてきた相手は非常勤だとは気づいていないでしょう。
 職場では非常勤職員は主要な戦力で、長時間労働をする職員がメンタル休職になると、その代わりに係長級の仕事をしている非常勤職員もいるほどです。

○郵便局窓口担当者

 ~非正規社員であっても資格を取り、専門性を持って業務に

 私は郵便・ゆうちょ・かんぽを取扱うエリアマネジメント局(旧特定郵便局)で非正規として働いていますが、人事評価としてスキル評価が行われています。社内の正社員登用試験には一定以上のスキルがなければ受験できません。

 そのスキルを上げるには、郵便業務以外にゆうちょ銀行、かんぽ生命の業務にも携わらなければなりません。ゆうちょ銀行の委託業務には証券外務員資格が必要とされ、かんぽ生命や、アフラックなどの第三分野の保険の勧誘や募集のためには、生命保険募集人資格が必要です。

 業務に必要な資格にもかかわらず、試験に落ちて再受験の際に受験料が個人負担になる場合もあります。非正規社員であっても資格を取り、専門性を持って業務にあたっています。

○高校教員

 ~部活やチーフの仕事もあり、 正規教員とほぼ変わらない

 私は今年4月、臨時教員のまま60歳の年度を終えました。30歳から失業することなく常勤として働いてきました。ここ10数年こそ同一校2~3年継続任 用も何度か経験できましたが、あとは1年で学校を転々。進学校から困難校、普通科以外の専門学科や昼夜開講定時制まで、学級担任も経験、仲間の臨時教員に は卒業生を出した経験者もいます。

 任用期間の短さを除けば、仕事内容は正規教員とほぼ変わりません。年輩にもなれば責任ある任務やチーフの仕事もあります。部活動では卓球部を担当し、県大会の常連にするなど、雇用する側からみれば何とも使い勝手の良いのが臨時教員の実態です。

○スクール・ソーシャル・ワーカー

 ~週2日勤務では援助が手薄になってしまう恐れが

 私はSSW(スクール・ソーシャル・ワーカー)の一人として週2日勤務で業務を行っています。しかし、一人ひとりの生徒に対する援助が手薄になってしま う恐れがあると感じています。勤務時間を増やしていただかないとこのままでは援助できない生徒が増え、何のためのSSWなのかということになってしまいま す。

 また、他のワーカーから、雇用保険の対象外となっているとの指摘もあります。業務内容上、SSWは自動車通勤ですが、あるワーカーは自己負担で学校近隣 に駐車場を借りているとのことで、通勤にかかる費用の自己負担感の話もよく出ています。すべてのワーカーに定時制高校の担当があり、現在の勤務体制では無 理があります。

○郵便物X線検査員

 ~非正規社員も講習を受け、資格を得て重要な業務に

 航空保安対策強化のため、私は航空搭載するすべての郵便物を対象にX線検査を行っています。資格取得者がX線検査器の操作・判定を行うよう義務付けられており、資格を取るため、座学・操作訓練など規定時間数の講習を受けることが必要です。

 X線検査器が配備されている職場では、搭載可否の品名確認からX線検査まで非正規社員が正社員とともに資格を取得して、携わっています。この検査で危険 物の見落としが起これば、業務停止、航空貨物指定業者取消が課せられることになります。私も講習を受け、資格を得て重要な業務に携わっています。

3 絶えず脅かされる雇用不安

 非正規公務員にとって最も深刻な問題は、いつ失業するか分からないという「雇用不安」です。

 国も地方自治体も、非常勤職員は1年(会計年度)以内の有期雇用が原則とされていますが、恒常的・専門的な業務を担い、任期を更新して働き続ける職員が少なくありません。民間では労働契約法による「無期転換制度」が始まっている一方で、公務の非常勤職員は、どれだけ長く働き続けても無期転換の機会さえ与えられません。

 さらに、一律年数での雇止め(クビ)や、自分のいるポストを強制的に公募にかけられる「パワハラ公募」などが横行。いまや公務職場のほうが民間よりも不安定な雇用実態となっています。

 国の制度を所管する人事院は、 無期転換制度を導入せず更新時の公募を廃止しない理由として、国家公務員法の「平等取扱の原則」や「成績主義の原則」を挙げていますが、すでに働いて実績を積んだ職員のポストを、「国民に広く平等に官職を公開して公募する必要がある」(平等取扱の原則)という理屈は破綻しており、時代にも逆行しています。

 安心して働き続けられて、職務経験を積みながらスキル・ アップできる―公務職場こそがそのように安定した雇用環境であるべきです。 それは非正規公務員だけでなく、 サービス利用者である国民・住民の願いでもあります。

○自治体病院職員

 ~会計年度ごとの雇用では業務運営に支障

 私はある市民病院で嘱託検査技師をしており、平均して週5時間程度の超過勤務をしています。当直や日直勤務もあり、正規職員と同じ業務を担っています。

 私の勤める病院では31人の看護補助者がアルバイト職員として働いていますが、業務内容に比べて賃金は低く、病院が人員確保に苦労しています。もともと 各病棟に1人正規職員の看護助手が配置されていましたが、正規職員の定年を機に順次1人の正規配置から2人の嘱託看護助手配置へと置き換えられ、その後ア ルバイトに切り換えられました。

 病院職場では仕事の進め方など経験の蓄積が重要で、会計年度ごとの雇用では業務運営に支障が出ます。患者さんが安心して医療・看護を受けられるためにも、職員が不安なく働き続けられることが必要です。

○郵政社員

 ~評価が悪ければ自動的に解雇される契約更新要件制

 私が勤める日本郵政では、2016年10月以降に新たに雇用された非正規社員に、採用後4年半の契約更新の際、評価が悪ければ自動的に解雇される契約更新要件制度を導入しています。

 日本郵政の評価制度は恣意的な評価があり得る制度で、解雇させない・恣意的な評価をさせないため、 労働組合の継続的な監視活動が必要です。

 無期転換制度導入以降、労働組合への雇止めの相談は減っているようですが、会社から自発的に退職するよう圧力をかけられたという相談を私も受けており、巧妙な指導が続いているようです。採用1年目の社員からは、雇止めの相談もありました。

○臨時教員

 ~正規になりたいのに

 臨時教員は教員採用試験に合格しておりません。私はそれを自覚しながら教壇に立っています。そんな自分でも生徒が犠牲にならないよう日々努力をしています。

 夢である教師をめざすとき、無職ではなく日々成長しながら過ごすことができる臨時教員という制度に、感謝している気持ちもあります。しかし、「だから採 用試験に受からないんだよ」という言葉はすごく傷つきます。 正規教員と私の気持ちはかわらないことは生徒にはわかっています。

 その中で 「先生は正規じゃないのにどうして教えてるの?」 という生徒の素朴な疑問に、その場から逃げることしかできません。 ただ合格しない自分が悪いのかなと結論づけることしかできませんでした。

○ハローワーク職員

 ~自分の雇用が不安定、相談に応じることはとても苦しい

 私は、日々、ハローワークの職場で、目の前の求職者の早期就職の支援をしています。
 自分の雇用が不安定でメンタルを整えながら、相談に応じることは、とても苦しく、涙が出そうになることもありますが、やりがいのある仕事で、求職者の方から「仕事が決まった。ありがとう」と言われるその一言に働きがいや誇りを感じています。

 正規職員とすべて同じ労働条件にしてもらいたいとは言いません。安心して働ける場所を与えていただきたいのです。公募ということではなく、1年間の経験と能力で更新の判断をしていただくよう願います。

○特別支援学校教員

 ~臨任から非常勤に変わり年休繰り越しできず、ガン発病でも年休での対応

 臨時教員から非常勤講師に変わった際、年次休暇が30日以上残っていたにもかかわらず、新たな採用だと繰り越しが認められませんでした。自分の意思で非常勤を希望したわけではないのに、何かあったときのために残しておいた年休が無くなってしまうのは釈然としません。

 その後、年度途中に異動しましたが、年休は戻らず、また一から蓄えなければならなくなりました。私の場合(途切れずに20年以上勤務ですが)一度勤務を切られた形になり、年休は繰り越せなくなってしまいました。

 ガンになり1週間程、年末(長期休業に合わせて休みをとりました)に入院しました。休みのとり方について管理職に相談したところ、「年休で…」との返答がありました。正規教員なら病気休暇がありますが、非常勤だと欠勤扱いになると思い、年休にしました。

4 賃金および処遇の改善は急務

待遇差 政府は、同一労働同一賃金に関するガイドラインを改定し、「不合理な待遇の禁止等に関する指針」を定めることとしています。その中では、通常の労働者と同一の休暇を付与しなければならないとの定めもされています。労働契約法でも不合理な格差は認められないと定められており、公務でも待遇改善が急がれます。


○給食調理員

 ~補助から 「正規職員と同様の作業」 へ変化、 均等待遇を

 私は調理員のみなさんと一緒に、子どもたちの給食時間ちょうどに仕上がるよう給食を作っています。物資の検収、毎日のミーティング、調理、片付け等を行い、それぞれの作業に係る書類作業等も行います。

 賃金は20年前とあまり変わらないのに、 年々進む 「正規一人配置」により、「正規職員の補助作業」から「正規職員と同様の作業」へと変わってきました。作業中は正規・非正規関係なく、子どもたちの「安 心・安全・おいしい給食」づくりに心を砕き、一人の「給食の先生」 として同等の作業を行います。

 勤務時間が違うだけで同等の仕事内容なのですから、同等の賃金・福利厚生・諸手当など、正規職員との均等待遇を強く望んでいます。

○国の出先機関・事務職

 ~週5日勤務なのに休暇や手当にも格差

 労働組合に入って常勤と非常勤の格差を知り、がく然としました。年休付与は採用から半年後で、病休は無給、両立支援休暇は無給かつ勤務期間等の条件がつき、夏季休暇・結婚休暇すらありません。ともに週5日働く常勤職員とこんなに差があるのはおかしくないですか?

 安心して休めない不安を抱えながら日々業務することの苦しさを理解してほしいです。また、手当についても、非常勤職員には寒冷地手当も住居手当も支給されません。職場のある北海道の冬は非常に寒く、生活に必要な暖房費等は常勤職員と非常勤職員とで変わりません。

 労働者の最低限の生活を保障する手当が、なぜ常勤職員と同じく賃金で生活している非常勤職員には支給されないのか、理解に苦しみます。

○独立行政法人職員

 ~奨学金に関わる仕事をしながら、自分の奨学金返済に不安

 私は、時給1,170円で働く非常勤職員です。毎年更新し、正規職員と比べてもそん色ない働きをしていても、非常勤職員の時給が上がらないのはおかしい。勤続年数に応じて時給を上げるべきだと思います。

 ベテランの非常勤職員が待遇の悪さでやめてしまうのは、機構としても損失です。定期代が払えず親に前借しました。一時金も支給してほしいです。奨学金に 関わる仕事をしていますが、自分の奨学金が返せるか不安です。せめて返還猶予制度(年収300万円以下に適用)の対象とならない程度の収入がほしいです。

 また、非常勤職員を「モノ」としか考えていない上司からのパワハラがひどく、職場は監獄のようです。

○学校現業職員

 ~マイカーローンも組めない臨時現業職員

 地方公務員臨時職員 (地公臨) として採用されて4年ぐらい過ぎた頃のことですが、普段から仲の良いグループでマイカーローンがどのくらい借りられるのか、半分冷やかしの軽いノリで銀行 へ行きました。友人たちは民間で正社員として5年間働いており、みんなマイカーローンが受けられました。

 次は私の番です。まず職業が聞かれたのですが、「地公臨ってなんですか?」とこまごま説明が必要でした。書類上9月末日までの契約で再度任用されて3月 30日までの契約ですとの説明に「何年働いても1年満たないですね。残念ですが一般ローンをお勧めします」と行員から言われました。採用形態が違うだけで 金利の安いマイカーローンも組めないなんて理不尽ではないでしょうか。

○郵便局員

 ~最賃+20円の時給単価、 住宅費の補助を

 私は、都内の集配郵便局の内務作業で働き、郵便局の給与で生計を維持している一人暮らしです。東京都の最低賃金+20円の時給単価で1日8時間雇用。手取りで15~16万円の月収しかなく、住宅費5万円が大きく響き給料日前には食費を削ることもあります。

 2年に1度のアパートの更新料も含め、 どうしても必要な出費もあるので決してぜいたくなどできず、組合の懇親会があれば、余った食材などを「お持ち帰り」もして節約しています。

 住宅費の補助がある正社員を希望していましたが、 18春闘回答で 「一般職」(転居を伴う転勤がない社員)の住居手当が10月から廃止され失望しました。 地方から出てきて借家に住むしかない非正規社員や給与水準の低い社員にこそ住宅費の補助が必要ではないでしょうか。

5 なくならない非正規職員へのハラスメント

ハラスメント 人手不足が深刻化する中、1人当たりの業務量の増加で、少しでも能率が悪いと叱責、いじめ、排除などパワハラが起きていると考えられます。

 また、ハラスメントが起きる背景には、公務職場、民間職場を問わず、全ての職種、業務が仕事内容にかかわらず、数値化され目標達成が求められる評価制度が導入されていることがあるのではないでしょうか。

 その目標が独り歩きした結果、数値化に無理がある業務内容でも、 目標達成のために上司による行き過ぎた指導や評価制度による格差で、 労働者のあいだに確執が生まれ、様々のハラスメントに繋がっています。実効性のある対策強化が求められます。

○臨時看護師

 ~民間では法違反の実態でも、妊娠を理由とする雇止めが横行

 私は、ある自治体の臨時看護師をしています。任期6カ月で更新を前提として特別支援学校に配置されていました。

 妊娠が分かり、その後、不正出血が起きたために安静が必要となり、妊娠障害休暇を取りました。このことを知った教育委員会は、10月に行うはずの更新を しないという方向を示しましたが、労働組合が復帰は可能だと追及し、何とか再任用になりました。ところが、その任用期間は半年ではなく産前休暇に入る直前 までとされてしまいました。結局、年度末を待つことなく雇止めとなり無収入になりました。

 産前休暇直前でわざわざ任期を縮めてそこで任用を打ち切る、 または産休に入ることがわかっているから、更新を行わないというマタニティハラスメントが横行しています。

○国の出先機関・事務職

 ~非常勤だからセクハラを誰にも相談できなかった

 入職してすぐ、これまで経験したことのないようなセクハラを受けて、「国の職場なのに」と衝撃を受けました。夢であった仕事につけたので、辞めさせられたくない思いから、長い間ずっと耐えてました。

 連日トイレや自宅で泣き、食欲も落ち、身体も壊し、いつの間にか何度も自殺を考えていました。正職員と非常勤職員が混在する職場では、内部の相談窓口は 何の意味もなしません。 更新の際の面接者や職場のセクハラ相談員がセクハラの加害者であったというケースも見聞きしました。 そうなると、 被害者は誰にもどこにも相談できません。

 全職員の意識改革の徹底とセクハラ ・ パワハラを許さない組織 ・ 体制作りを求めます。

○ハローワーク職員

 ~厚生労働省は職員に対する雇用責任を

 私と一緒に働いていた2名が、公開公募の対象となり、一般の求職者とともにハローワークの募集枠を競わされました。

 一人の人は、 採用されたもののメンタル不全となってしまい、 結果的に働くことができず、 退職されてしまいました。 もう一人の人は、 自分が採用されたために自分が紹介した一般の求職者が不採用になったことと、今回は採用されたけれど、3年後にまた同じ思いをするのはどうしても耐えられ ないとの思いから退職をしてしまいました。

 しなくてもいい公募を行い、優秀な能力を持った人にストレスによる精神疾患を患わせ、社会に放り出しているのはパワハラと同じではないでしょうか。

○郵政社員

 ~上司のパワハラで事実上の雇止めに

 郵便体操をしていると後方にいていちいち「声を出せ」とか指導してくる課長のパワハラが目に余ります。車の点検でも私にだけ「大丈夫か」と言ってきま す。仕事で怪我をしたのですが労災は認めてもらえませんでした。 2カ月休み、 65歳を過ぎても1カ月更新で働いてきましたが、 休み明けに出勤したら雇止めにあいました。

 病気で5日間休んだ社員が部長に呼び出され、「車の運転大丈夫か」 と問いただされたそうです。そして診断書の提出を求められ、今の仕事を続けるかどうか判断して、「だめだったら仕分けの方に行ってもらう」と言われたそう です。上司のパワハラによって事実上の雇止めが横行しています。

○高校・非常勤講師

 ~勤務時間外の打ち合わせを強要される

 初めて1年生の担任となった正規の先生と授業を組むことになりました。しかし、その先生は自分のクラスにかかりきりで、授業進度の確認も「どんどん進めちゃって下さい」と言うだけでした。

 私の勤務時間が午前中のみなのもおかまいなしに、「放課後に話し合いましょう」と言われるので、かなりのストレスを感じました。その先生も授業が詰まっ て忙しいのだからと思っても、「今は時間がないから明後日までに考えてくる」と言われた後で「それでどうしましょうか?」と聞かれることも数回あり、イラ イラしてしまいました。


 

6 待遇改善の道すじは

 補助的業務という建前とは全く異なる専門的・継続的な業務を国民・住民に継続的に提供していくためには、臨時・非常勤職員の低額な賃金・劣悪な労働条件の改善が不可欠です。

 民間企業に働く労働者には、労働契約法やパート労働法が適用され、無期雇用への転換や不合理な待遇格差の解消などが義務づけられており、 公務の非正規職員にも同様な保護を適用すべきです。

(1)総人件費抑制政策をあらため仕事に見合う人員の配置を

国際比較 行政改革=人減らし、正規の非正規化・民間委託という流れを断ち切り、国民 ・住民の権利保障は国・自治体の責任であり、よりよい国民・住民サービスのためには、「正規職員中心の公務運営」の原則を守り、大幅な正規職員増と非正規職員の無期化・正規化を行うことが大切です。

(国家公務員)

 遅くとも給与法改正の翌月には非常勤職員の賃金改定を行うことや勤勉手当の支給をめざすことなどが示されていますが、 予算は各省庁持ちで 「賃金は上がったが勤務日数が減らされ手取りは同じ」 という例も時々聞かれます。 非常勤職員の待遇改善を各省庁任せにせず、予算を含めて政府が責任を持つよう追及が必要です。

(自治体職員)

 非正規職員の任用根拠の明確化と待遇改善をめざすため、 2017年5月に法改正が行われ 「会計年度任用職員制度」が導入されます。しかし、国の財源保障が明確でなく、自治体での交渉が進んでいません。正規職員中心の公務運営と財源確保を求める意見書の地方議会採択などの取り組みが続いています。

(学校教職員)

 教員の長時間労働解消のためにも、正規教職員の確保は不可欠です。国民の教育を受ける権利を保障するためにも、正規教員と同じ仕事をさせるのなら同じ賃金を保障するべきで、 政府も認めており、「非正規教員=安上がり」の地方教育委員会の認識を変えさせ、自治体予算の確保が重要です。

(独立行政法人職員)

 国の政策を推進するため設立された独立行政法人の多くは、国の運営費交付金により運営されていますが、年々予算が削減され、正規職員から非正規職員への置き換えが進んでいます。国民の生活向上、安全・安心の確保、公共サービスの維持のために運営費交付金の拡充が必要です。

(郵政社員)

 日本郵政グループ各社は株式売却に向けて人件費を抑制し、株主への利益配当を最優先しています。郵政グループの事業は日本全国どこでもサービスを享受できるユニバーサルサービスを義務づけられています。これ以上株式売却を行わず、サービスを担う職員の待遇改善に利益を振り向けるべきです。

(2)公務職場に働くすべての仲間の願いは公共サー ビスの質の向上

 国民・住民が安心して暮らし、働き、学ぶことは憲法に定める権利であり、国・自治体はこの権利を保障する責任があります。

 子どもや女性への虐待対応や求職者への相談、障害を持つ子どもへの授業や生活の介助といった国民・住民の権利保障の現場は、臨時・非常勤職員が多く雇用され、誇りと責任を持って働いています。

 続発する児童虐待への対応など、公務公共サービスの質の向上と拡充は喫緊の課題で、すべての公務労働者の願いです。

(3)正規も非正規も委託も公共サービスを支える労働者

○公務に働く非正規労働者に保障を

 公務に働く臨時 ・非常勤職員も憲法に定める「勤労者」です。しかし、民間労働者の労働契約と異なり公務員の任用は公法上の行為とされて、 労働契約法やパート労働法は適用外とされています。

 しかし、雇い主が民間企業か国・自治体か異なるだけで有期雇用で雇われ働いていることは変わりなく、本質的には民間と同様の労働契約関係と解すべきで、労働契約法20条などの規定を適用するか、 同様の保護が行われるべきです。

○民間委託の職場でも問題が

 調理業務を落札した業者が必要な従業員を確保できず、契約辞退により学校給食提供できなかった(浜松市)。給食調理業者が破産し再入札したが、入札不調となった(京都府宇治市)。住民窓口業務について入札不調となり、労働者派遣に切り替えたが必要な人員を確保できなかった(大阪市)。このような契約辞退や入札不調が相次いでいます。

 民間委託された部門も公共サービスを支える行政であり、 そこで働く労働者の雇用の安定を図ることも必要です。