NETニュースNO.985 勧告の取扱いをめぐって最終交渉(11/5)


勧告どおりに閣議決定と回答 定年延長は検討を継続

= 18年人事院勧告の取り扱いめぐり政府・内閣人事局と最終交渉 =

 公務労組連絡会は11月5日、8月10日に提出した「公務員賃金等に関する要求書」にかかわって、内閣人事局と最終交渉をおこないました。
 公務員賃金等をめぐっては、勧告通りに閣議決定し、開会中の臨時国会での給与法改正法の成立をめざすことを回答しました。しかし、「意見の申出」があった定年年齢の延長は、引き続き検討を重ねるとして、結論を先送りしました。

定年引上げにむけて具体的な交渉を開始せよ

最終交渉  内閣人事局との交渉には、公務労組連絡会からは、猿橋議長を先頭に中村副議長、秋山事務局長、米田・杉本各事務局次長、森幹事、松井書記が出席、内閣人事局からは、岡総括補佐とともに担当部局の参事官補佐らが対応しました。

 交渉の冒頭、猿橋議長は、「景気回復のカギである個人消費を上げるために、政府自身が民間企業に賃上げを要請しているなかで、公務員の賃金・労働条件の改善を積極的に進めることを求める。また、定年年齢の引上げにかかわって、使用者責任を発揮した具体的な交渉の開始をただちに開始せよ」と求めました。

 岡総括補佐は、「8月10日に提出のあった『公務員賃金等に関する要求書』について、最終回答をおこなう」として、要旨、以下の通り回答しました。

● 本年度の国家公務員の給与の取扱いについては、去る8月10日に人事院勧告が提出されて以来、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、国政全般の観点から政府部内で検討を続けてきた。
● その結果、明日(11月6日)、第2回目の給与関係閣僚会議が開催され、勧告どおり給与改定をおこなうことが決定される方向だ。
 給与関係閣僚会議で決定がなされれば、その後の閣議において、公務員の給与改定の取扱方針が決定され、あわせて、給与改定に係る法律案について決定されることとなる。
● 定年の引上げについては、人事院の意見の申出も踏まえ、引き続きさらなる検討を重ね、皆様方の意見も十分に伺いつつ、結論を得ていきたいと考えている。
● 職員の皆様には、今後とも、国民の信頼に応え、公務能率の向上及び行政の効率的・効果的な運営に努めていただきたい。

多くの課題を積み残したままの最終回答

 この回答を受け、秋山事務局長が次の点をあらためてただしました。

○ 消費税引き上げをひかえ、実質的な賃金はマイナスが続いていることからも、個人消費を喚起する大幅な賃上げが必要だ。また、非常勤の処遇改善について、公務が先頭に立って改善をはかるようかさねて求める。
○ 長時間労働の是正に関わって、実効ある残業規制となるよう、政府としても継続的に取り組むよう求める。国民に対する公務・公共サービスを提供する責務を果たすためにも、定員増を求める。障害者雇用については、何よりも受け入れ体制を整えることが重要であり、雇用された障害者のためにも、その点をふまえた対応を求める。
○ 定年年齢の引上げにかかわって、公務労組連絡会との協議を早急に求める。また、定員が確保されなければ「絵に描いた餅」となることから、この点でも増員が必要であることは明らかだ。
○ 労働基本権の回復に関して、働くものの基本的人権であり、速やかにわれわれとの真摯な協議をおこなうようあらためて求める。
○ 総務省において地方の賃金確定などに執拗な介入がある。地方自治や地方分権、労使自治の点からも断じて認められない。この点について、公務労組連絡会からの指摘を給与関係閣僚会議に反映するよう求める。

 また、交渉参加者からは、非常勤職員の休暇制度の改善、長時間過密労働の解消にむけた人員増、地方自治体の給与改定にあたっての政府による不当な介入、定年年齢の引上げなどにかかわって発言がありました。

 これに対して岡総括補佐は、次のように見解をのべました。

● 非常勤職員に関しては、昨年5月の申し合わせをふまえ、政府全体の状況を調査した結果、9割超から、一時金が支給され、給与法実施にあわせ改定するとの回答を得ている。着実に改善は進んでいると認識しており、引き続き、人事院とも連携して適切な運用を促していきたい。
● 長時間労働の問題では、適切な時間管理を徹底していきたい。なお、勧告時に出した人事管理の報告に基づき、人事院が規則改正するものと承知している。政府としては、実効ある対策にむけて準備を進めていきたい。障害者雇用は、去る10月23日の閣議で確認された基本方針にもとづき、各府省で環境整備を進めているものと承知している。
● 定年引上げでは、現時点では検討段階であるとしかお答えできない。退職手当の問題を含め、さらなる検討を進め、みなさんも含めて関係者の意見を聞きつつ進めていきたい。
● 労働基本権の回復は、多岐にわたる課題があり、慎重に検討しなればならないことから、引き続き、こうした場を通じてみなさんと意見交換していきたい。

 最後に猿橋議長は、「長時間過密労働の解消や定年引上げを実行するためには、公務員の増員が不可欠だ。これらの諸課題について、引き続き公務労組連絡会との真摯な協議と交渉、話し合いをおこなうよう求める」とのべ、最終交渉を終えました。

以 上

(参考資料)閣議決定にあたっての内閣官房長官談話(11月6日)