NETニュースNO.981 人事院勧告の取扱いで要求書提出(8/10)
積極的な賃金改善、定年引き上げについて交渉・協議を
= 人事院勧告の取扱いをめぐって政府などへ要求書を提出 =
公務労組連絡会は、人事院勧告が出た8月10日、勧告の取扱いをめぐって政府・内閣人事局に要求書を提出・交渉するとともに、地方公務員・教員の賃金・労働条件にかかわって、地方自治の原則にもとづいた自主的な賃金・労働条件決定の尊重等を総務省に要請しました。
政府・内閣人事局との交渉には、公務労組連絡会から猿橋議長を先頭に、竹内副議長、秋山事務局長、杉本事務局次長、松井書記が出席し、内閣人事局側は、岡総括課長補佐ほかが対応しました。
交渉では、「公務員賃金等に関する要求書」(別掲)を提出し、猿橋議長は「定年の引上げにかかわって人事院が意見の申し出を行ったが、非常に不満な内容だ。同じ仕事を続けても年齢だけを理由として賃金が下がることは認められない」とのべ、勧告をふまえた要求の重点にかかわって秋山事務局長が次のように述べました。
○ 5年連続のベア勧告だが、およそ公務労働者の生活を改善するには程遠い。勧告は770万人の労働者に影響する。地方経済の活性化をはじめ、個人消費を拡大するには、公務員賃金の改善が不可欠だ。政府が勧告尊重にとどまらず、積極的な賃金改善を行うよう求める。
初任給改善について、公務に優秀な人材を確保するためにも、給与関係閣僚会議での十分な検討を求める。
○ 臨時・非常勤職員は、公務・公共サービスを行っていく上で欠かすことの出来ない人財となっており、その労苦に報いるためにも、労働条件の引き上げが必要だ。給与報告にあわせた改訂が行われるよう各府省を指導するよう求める。
○ 良質な公務・公共サービスを確保するためにも、高齢層職員の知識と能力の発揮が必要だ。意見の申し出は、われわれの要求と相当かけ離れている。人勧の取扱いとは別に定年引き上げにかかわってでの交渉・協議を求める。
○ 不払い残業はあってはならないことだが、それぞれの職場において、まずは勤務時間をしっかりと管理することを求める。しかし何よりも、仕事量に見合った人員が確保されるよう総人件費抑制の枠を取り払い、人員増を求める。
定年制とあわせて公務労組連絡会との誠意ある交渉を求める
その他の交渉参加者からの追及もふくめて、内閣人事局からは、以下のとおり回答がありました。
● 本日、人事院から給与改定に関する勧告が提出された。それを受けて、給与関係閣僚会議を開催し、その取扱いの検討に着手したところだ。
● 国家公務員の給与については、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から、その取扱いの検討を進める。その過程においては、皆様方の意見も十分にお聞きしたいと考えている。
● また、定年の引上げについては、人事院の意見の申出を踏まえ、皆様方の意見も十分に伺いつつ、今後、更に検討してまいりたい。
● その他の事項についても要求書をいただいたところであり、その点十分認識し、検討してまいりたい。
最後に猿橋議長は、「人勧の取扱いにかかわっては、公務労組連絡会との交渉の場を設け、要求書に対する回答を行うよう求める」と重ねてのべ、交渉を締めくくりました。
賃金決定では地方自治体の自主性の尊重を、消防職員の団結権を回復せよ
総務省への要請は、公務労組連絡会から杉本・米田各事務局次長、自治労連の竹内書記次長、西中央執行委員の4人が参加しました。
総務省からは、自治行政局公務員部公務員課の木本光彌理事官と大山一馬係長が対応しました。
はじめに「2018年人事院勧告の取り扱いに関する要請書」(別添1)および「消防職員の団結権をはじめとする労働基本権回復に向けた要請書」(別添2)を提出しました。
杉本事務局次長は、「先のILO総会では日本の公務労働者の労働基本権をめぐる報告や勧告があった。ILO勧告をふまえた地方公務員の労働基本権確立にむけて協議をしていきたい」と求めました。
以上
(政府・内閣人事局への要求書)
2018年8月10日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
内閣官房長官 菅 義偉 殿
公 務 労 組 連 絡 会
議長 猿橋 均
公務員賃金等に関する要求書
人事院は本日、国家公務員給与にかかわって、月例給および一時金の改定などを内容とした勧告・報告を内閣と国会に対しておこないました。
勧告の内容は、私たちの生活と労働実態からすれば非常に不満なものです。政府が真剣に景気回復や地域経済の活性化をすすめるのであれば、770万人の労働者に直接影響する公務員賃金の社会的影響力をふまえ、政府が率先して大幅賃上げをおこない、すべての労働者の賃金改善につなげていくことが重要です。
また、年金支給開始年齢の繰り延べのもとで、雇用と年金の確実な接続は重要な課題であり、その間の生活水準を維持することができる賃金と諸手当の改善が必要です。くわえて、定年後の公務員労働者が賃金水準を下げられることなく保有する知識や経験をいかした働きがい・やりがいのある仕事の確保を行うことは、国民・住民に対する公務・公共サービスの充実につながります。そのためにも、定員の柔軟な管理や定年引き上げが必要です。
非常勤職員の処遇改善は、政府挙げての課題であり、速やかな改善を図ることが求められています。同時に、雇用の安定を図ることが非常勤職員の最大の要求であることから、「公募要件の撤廃」や公開公募のあり方を見直すことが必要です。
以上をふまえ、給与関係閣僚会議での人事院勧告の取り扱いにあたって、貴職が下記要求にそって公務労働者の賃金・労働条件の改善に力を尽くすよう求めます。
記
1、職員の働きがいや仕事に対する意欲を高めるため、また、公務員賃金の持つ社会的影響力をふまえ、初任給をはじめ公務労働者の賃金・労働条件の積極的な改善をはかること。
2、臨時・非常勤職員の賃金・労働条件改善をはかり、均等待遇を実現すること。
3、雇用と年金の確実な接続をはかるため、賃下げのない定年引き上げを早期に実現すること。当面、フルタイム再任用の定員は別枠とするとともに、希望者全員の再任用を保障すること。また、再任用職員の賃金・諸手当は、年金支給開始までの生活を維持するにふさわしく改善すること。
4、長時間労働を是正し、有給休暇などを気兼ねなく取得できるよう定員を大幅に増やすこと。
5、地方自治体、独立行政法人等の賃金決定に不当な介入・干渉をおこなわないこと。
6、労働基本権の全面回復など憲法とILO勧告に沿った民主的公務員制度を確立すること。
以 上