NETニュースNO.920 臨時総会で16春闘方針を決定


公務労働者が総決起して官民共同の16春闘を

= 公務労組連絡会が臨時総会で16春闘方針を決定 =


臨時総会 全労連公務部会・公務労組連絡会は1月27日、全国教育文化会館で臨時総会を開催し、6単産35人、21地方組織22人をはじめ、全体で83人が参加しました。

 臨時総会では、すべての労働者の賃上げと雇用改善を勝ちとり、労働条件改善、臨時・非常勤職員の均等待遇実現、「地方創生」による地方切り捨てに反対し、公務・公共サービスの拡充にむけて16春闘に勝利するため全力をあげる方針と、政府・人事院に対する春闘統一要求を満場一致で決定し、職場・地域からたたかう決意を固め合いました。

公務員の大幅増員で公務・公共サービス拡充を

 臨時総会では、公務労組連絡会の猿橋均副議長(公務部会代表委員・自治労連委員長)が、「戦争法廃止という重大なたたかいの最中の総会だ。『2,000万人統一署名』は、広範な人たちが取り組んでいるが、組織的にすすめるという点から労働組合の力のみせどころだ。憲法を守る公務労働者の役割を発揮していこう」と開会あいさつしました。

 主催者あいさつした蟹澤昭三公務労組連絡会議長(公務部会代表委員・全教委員長)は、「安倍首相は明文改憲にむけて、参議院選挙の争点にすると口にしている。立憲主義を取り戻すため、激しいせめぎあいになるががんばろう。春闘の大きな課題は、戦争法廃止を求めて『2,000万人署名』をやりぬくとともに、非正規をふくめた労働者の賃金・労働条件の改善をはかることや、労働法制の大改悪に反対すること、そして、公務員の大幅増員による公務・公共サービス、教育を拡充することにある。そのため、国民のための公務労働運動を職場・地域から追求する。国のあり方を憲法にもとづいて転換させ、国民とともに要求を前進させよう」と呼びかけました。

 激励・連帯あいさつで全労連の井上久事務局長は、「春闘本番に向かうが、今年は間違いなく特別な春闘になる。安倍首相は施政方針演説で明文改憲を打ちだし、『挑戦』の言葉を21回も口にした。この暴走宣言にたいして、私たち労働組合の本気度が試されている。戦争法の廃止、賃金の底上げ、地域循環型の社会の構築、公務・公共サービスの拡充にむけて、公務労働者が先頭にたつとともに、組織拡大で仲間をふやしていこう」とのべ、全労連民間部会を代表して三浦宜子幹事(日本医労連書記長)は、「日本医労連はキャラバン行動で自治体決議のとりくみをすすめてきた。住み続けられる地域をと、医療や公務への共感が寄せられている。全国一律の最低賃金と公務員賃金の改善を求めていく。中央委員会で、大幅賃上げ、戦争法廃止、労働法制改悪阻止のストライキ権を確立し、3月17日に統一ストを配置して要求前進をめざす」と官民共同のたたかいを呼びかけました。

 国会から駆けつけた日本共産党の島津幸広衆院議員は、「戦争法が具体化されれば憲法9条との矛盾は激化する。戦争法廃止で一致して、参議議員選挙での野党共闘をめざす。安倍首相が賃上げを言うのなら、その気になればすぐにできる最低賃金引き上げを実行すべきだ」と強調しました。

 川村好伸事務局長が、2016年春闘方針案と統一要求案を提案しました。討論の後、2016年春闘方針案と統一要求案は一括して満場一致で採択され、その後、「2016春闘アピール」(別掲)を水谷文幹事が提案し、全体の拍手で採択されました。

 最後に、岡部勘市公務労組連絡会副議長(公務部会代表員・国公労連委員長)が閉会あいさつし、公務員賃金闘争にとっても春闘がメインステージ。昨年の15(イチゴ)春闘につづく今年は、16(ヒーロー)春闘だ。すべての組合員がヒーローとヒロインになる春闘にしようと呼びかけ、団結がんばろうで臨時総会をしめくくりました。

たたかいの経験を交流、決意を固め合う

 討論では、6単産・12地方組織から以下のような発言があり、議案を補強しました。

(千葉)9月に千葉県の人事委員会へ大幅な賃金改善を申し入れた。「給与制度の総合的見直し」で地域間格差が広がり、県内の自治体の職員採用では、地域手当が高いところに人気が集中している。最低賃金は817円となったが1,000円に届かない。今春闘で官民共同のとりくみを強める決意だ。

(愛知)社保庁不当解雇撤回闘争は7年目のたたかいとなる。全国6か所で裁判がたたかわれ、京都事案は大阪高裁審理となり、愛媛事案は3月30日に高松地裁の判決が出る。愛知も女性2人の判決が年内にでる。何としても職場復帰を勝ちとる。愛知公務共闘では、公務公共業務交流集会で、お互いの仕事や職場状況を交流する。

(岩手)安倍内閣が臨時国会開催を拒否したことで、岩手では県内すべての自治体で賃金改定が越年した。給与条例の審議は3月議会となり、差額支給は新年度になる異例の事態だ。震災から5年をむかえるが、2万2千人以上が仮設住宅で、5割程度しか公営住宅に住めない。被災地切り捨ての安倍政権を許さず、仲間を増やし、地域に足をだして奮闘する。

(宮城)昨年6月に総会・学習会を開催した。11月には春闘共闘のキャラバンで自治体に要請した。放射能廃棄物の最終処分場がトップダウンで決められ、加美町は水源地で、地盤がゆるいなど、町長も住民とともに環境相の調査を阻止した。被災地で毎月の炊き出し・何でも相談会にとりくんでいる。阪神大震災から20年が経ち、借り上げ住宅の期限切れで入居者の追い出しが問題となっている。宮城の「20年後の未来」とならないよう活動を強めていく。

(山口)公務共闘として自治体キャラバンを11・12月に実施した。事前のアンケートの結果をまとめた資料も作成して、自治体の非正規職員の待遇改善などを求めた。フレックスタイムが導入されても、小さい自治体ではできない。「給与制度の総合的見直し」で1市6町が山口県の給与表に切り替えることになっている。地域手当は周南市のみで、県人事委員会は独自の給与表を作成。国との賃金格差が6~7千円あり、地域間の格差拡大は認められない。

(北海道)官民共同で寒冷地手当の改善を求める「越冬共闘」が7年目を迎え、10月1日には総決起集会を開催した。民間労組とともに札幌市の議員要請に取り組んだ。全印総連の団体交渉に参加し、社長に公務労働者の実態を話すなか、燃料費や越冬手当を獲得するなど官民共同の大事さを実感した。「安倍政治を許さない」のクリアファイルを、全組合員に配布した道高教組への攻撃は、「安倍批判を許さない」という攻撃の中でおこっている。市民運動として広げ全国の仲間とともにたたかう。

(京都)賃金確定闘争では、「給与制度の総合的見直し」に対する官民一体のたたかいで、賃金水準の1%以内の引き下げにとどめさせた。国のいいなりにならないために、官民一体で賃上げ実現に奮闘する。京都市長選挙が1月24日に告示、2月7日投票となる。一騎打ちのなか本田候補は戦争法反対!子ども未来局を設置する公約を掲げて奮闘している。京都の地下鉄で、公費を使って自衛官の募集広告の中吊り広告が掲げられた。「戦争をする国」づくりに反対して京都からたたかう決意だ。

(静岡)県人事委員会勧告では、2年連続で教職員の長時間労働、多忙化、部活問題などをあげ、教職員の増員など抜本対策を報告しており、この間の要求と運動の反映だ。臨時講師の改善を求める署名にはPTAからも協力を得ている。最低賃金で静岡は隣県の神奈川と122円の差がある。愛知とも差があり、湖西市長が不服申し立てをした。全国一律最賃制の実現を求めて県労連に結集してたたかう。
 
(東北ブロック)7月に人事院東北地方事務局への東北総行動を実施し、交渉やアピールデモを行った。安倍首相の施政方針演説で、「同一労働・同一賃金」発言があった。しかし、実際には派遣法が改悪されるなど、安倍首相がやっていることは低きに合わせるものだ。公務・民間、正規・非正規で力を合わせ、ナショナルセンターの垣根を越えたとりくみに努力したい。

(東京)東京地評公務部会では、春闘期は自治体キャラバンを実施し、公契約と最低賃金改善へたたかってきた。人勧期には霞が関宣伝を、7月中下旬には人勧一本で各自治体での宣伝などに取り組んできた。今後とも、運動を強化していく。

(高知)9月に県人事委員会へ要請した。高知には地域手当がなく、「給与見直し」は行わず賃上げを要請した。格差問題は理解しても、具体的なものは示さない不満な回答だった。残業代不払いなど労働相談から組合を結成した仲間から「労働組合ができて人間の尊厳ができた」の声か寄せられている。郵政ユニオンの「20条裁判」を支援する高知県の会が結成され、たたかいをひろげる決意だ。

(茨城)常総市の水害支援に感謝する。公務労組連絡会として茨城労連などと炊き出しを行った。2・3月には市長交渉と県知事交渉を実施する。10月のつくば市での地方自治研究集会の成功をめざす。茨城労連規模で、ビクトリーマップ運動がひろがり、中小企業支援にとりくんでいる。今こそ組合の出番だ。

(郵政産業ユニオン)アンケートにもとづき、2万円以上の賃上げ、200円の時給引き上げを要求する。非正規労働者が多数いるが、正規との格差が大きい。「20条裁判」勝利をめざすとともに、1つ、2つでも要求を勝ちとるためたたかう。人手不足が深刻で、要求の一番が要員不足の解消となっている。要求実現のたたかいと一体で、組織の拡大・強化をめざす。みんなでやろうと働きかける。

(国公労連)「まもろう憲法・国公大運動」で奮闘している。民主的行財政・司法の確立、増員をめざすとともに、大幅賃上げではビクトリーマップ運動を推進する。フレックスタイム制が4月実施となるが、勤務時間は当局が割り振り、本人希望とはならないなど民間とは違う制度だ。今年の人事院勧告では、配偶者扶養手当の見直しがねらわれている。大幅増員の実現、非常勤職員の雇用確保と労働条件改善へ、要求実現へねばり強くたたかう。

(日本医労連)戦争法廃止に向け、組合員のカンパで全国紙での意見広告を出した。人事院勧告は、国立・公立病院職員の賃金に連動し、「給与制度の総合的見直し」問題でも、医労連として人事院に要請してきた。社会保障改悪で、病床数の削減は20万床、2割減となる。入院できない、病人の追い出しとなる。医師・看護師不足が深刻で、増員署名でたたかう。

(特殊法人労連)旧動燃から続く職場差別の是正を求めて裁判をたたかっている。原研と放医研の統廃合にあたっての労働条件や仕事上の問題の解決を求めていく。奨学金をめぐっては、8度目の請願署名にねばり強くとりくんでいる。奨学金の滞納者に返還をせまっているが、不安定雇用の改善こそ必要であり、給付制奨学金を求める。

(自治労連)戦争法廃止へ自治労連として統一署名の150万目標を提起している。戦争法や憲法にかかる自治体の基本姿勢を問うものとして憲法キャラバンにとりくみ、戦争法の火種を消すために自治体当局の姿勢を質していく。1700余の自治体すべての訪問・懇談をめざす。給与の「総合的見直し」で地域間格差が拡大している。すべての労働者の賃上げを掲げてたたかい、全員の賃上げの成果も生まれている。地域手当では厳しいたたかいとなっているが、愛知では地域手当を引き上げる成果もでている。公務労働者の誇りをもって住民の中にでていき、憲法をいかす行政を推進していく決意だ。

(全教)小中学校は5人に1人が非常勤教員であり、非正規抜きに教育は成り立たない。産休や育休、介護の代替として非正規教員が配置されるが、教員不足が全国にひろがっている。自習や時間割変更、校内調整では対応できない。代替がないと産休・育休が取れず、本人が後任を探さないと休めないなどの状況だ。子どもたちの教育の充実へ、増員を求めてたたかう。高校生への自衛隊員勧誘、教育への介入が進行している。北海道では、自衛隊地方本部の家庭訪問が問題になっている。教員の政治活動の自由、教育の自由が侵害されているが、戦争する国づくりを許さないため、2000万統一署名に全力をあげる。


2016年春闘アピール

 「戦争する国」づくりと「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりにむけ暴走をつづける安倍政権と対決し、すべての労働者の大幅賃上げ、生活・雇用の改善をめざす16国民春闘のたたかいが幕を開けている。

 安倍首相は「アベノミクス」を自画自賛しているが、消費税8%への増税と円安による物価高のもと、実質賃金は低下し、非正規労働者は4割にものぼるなど、国民生活の悪化は深刻化している。にもかかわらず、国民の目をそらさせるため「新三本の矢」を打ち出し、空前の利益をあげる大企業に対するさらなる減税や軍事費を増大させる一方で、国民負担を増大させる社会保障費の削減や消費税増税などを強行しようとしている。経済再生や地域活性化を実現するためには、国民生活を抜本的に改善させることが必要である。それには、安倍政権や経済界も認めざるを得ないように大幅賃上げが不可欠の課題となっている。300兆円を超える内部留保をため込む大企業に社会的責任を果たさせ、大幅賃上げを実現するため、公務と民間の共同をさらに前進させよう。

 国民犠牲の政治が推しすすめられるなか、公務・公共サービス、教育の重要性はいっそう増している。しかし、政府の公務員総人件費の削減方針によって、2015年4月から「給与制度の総合的見直し」が強行され、定員削減や公務の民営化・民間委託がすすめられている。公務労働者の賃下げは、地場賃金にも影響し、地域経済を冷え込ませることになる。多くの国民が貧困と格差拡大にあえぐもと、16春闘での大幅賃上げと最低賃金の大幅改善、全国一律の最低賃金制確立をはじめとする賃金の底上げを公務労働者の賃上げとも結んでたたかおう。そして、国民の暮らしと権利をまもる砦である公務・公共サービスを拡充するため地域からの共同をひろげよう。

 安倍政権は昨年9月19日に戦争法を強行成立させ、その具体化にむけ着々と準備をすすめている。同時に、安倍首相は参議院選挙で憲法改正を訴え、改憲勢力で3分の2を構成し、宿願である憲法改悪をねらっている。一方で、戦争法廃止をはじめ、民主主義や立憲主義を取り戻すための運動と世論がかつてなくひろがっている。沖縄辺野古への米軍新基地建設を許さないたたかいや労働法制改悪阻止、TPPからの撤退、住民本位の震災復興、原発再稼働反対などの課題ともあわせて国民的共同をひろげることが求められている。

 国民全体の奉仕者として、そして、憲法尊重・擁護義務をもっている公務労働者として、戦争法廃止、憲法改悪、国民犠牲を許さない共同をひろげ、安倍暴走政治をストップさせるたたかいに奮闘しよう。
 16春闘は、7月の参議院選挙で政治を国民に取り戻すためにも重要なたたかいである。「STOP暴走政治、戦争法廃止! 壊すな憲法 暮らしまもる共同で、賃上げと雇用の安定、地域活性化」をかかげる16春闘を勝利するため、2月の地域総行動をはじめ、3月17日の春闘山場の50万人全国統一行動などを大きく成功させよう。
 国民・住民の命と暮らし、権利をまもる公務労働者として、憲法をまもり、いかすたたかいに全力をあげるとともに、大幅賃上げと底上げ、公務・公共サービス・教育の拡充をめざし、職場と地域から意気高くおおいに奮闘しよう。

2016年1月27日

  全労連公務部会第16回・公務労組連絡会第50回臨時総会