No. 888
   2014年6月6日

一方的な整理・統廃合、人員削減を許すな!

= 独立行政法人通則法「改正」法案に反対して院内集会を開催 =

 公務部会は5月22 日、夏季闘争中央行動の一環として、衆議院第2議員会館内で「一方的な整理・統廃合、人員削減を許すな〜独立行政法人通則法『改正』法案に反対する院内集 会」を開き、各単産から60人が参加しました。
 翌日にも通則法「改正」法案の衆議院の委員会採決がねらわれ緊迫した情勢のもと、徹底審議と抜本修正を求めてたたかうことを意思統一しました。集会の最 後に「法案の徹底審議と抜本修正を強く求めて奮闘する」アピール文を採択しました。


雇用の保障がない 「リストラ推進法案」は認められない

 主催者を代表してあいさつした公務部会の宮垣代表委員(国公労連委員長)は、「廃止・縮小ありきの法案では、離職を余儀なくされる場合も想定され、雇用 が保障されていないリストラ推進法案だ。徹底審議を求めて全力で奮闘しよう」と呼びかけました。
 来賓として駆けつけた日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は、「今の国会は、どんな重要な法案も短時間の委員会審議で通してしまう。通則法改正法案は、独法の 廃止が政府・大臣によって自由にできるとしており、その際の雇用の承継にまったく触れていないことが最も大きな問題だ。みなさんと連帯して、働く人の権利 を守る立場から論戦をしていきたい」と参加者を激励しました。
 自由法曹団の平井弁護士から連帯のあいさつがのべられ、「自由法曹団として、通則法改悪にかかわって意見書を発表した。独立行政法人の廃止は、一般企業 の解散と同じだ。廃止された職員の『雇用に配慮する』などといった書き方では雇用は保障されない。弁護士は制度的な議論に苦手なところもあるが、全国の自 由法曹団員に意見書についても知らせ、地元の団体と協力して議員への圧力をかけていきたい」と決意がのべられました。

国民共有の財産とし ての独立行政法人を守るたたかいを

 つづいて、各単産の代表4人から発言があり、「主務大臣から一方的に指示され、評価が悪いとつぶされれば、独立行政法人の自主性・自立性が失われる。雇 用の承継の問題は、閣議決定で雇用の安定を言うなら、通則法にきちんと書き込むべきだ。抜本修正を求める」(国公労連・全経済・飯塚副委員長)、「安倍内 閣には福島原発事故の反省もない。今後の原子力政策を考えていくうえでも、原子力研究開発機構の行方が主務大臣の判断にゆだねられてもいいのか。法人の自 主性を破壊する法案は認められない」(特殊法人労連・原研労・花島委員長)、「郵政民営化から7年が経った。職員の雇用は継承されたが、一方で成果主義賃 金が導入されている。郵政事業も独立行政法人も国民のために仕事をしている。国民とともに運動をひろげよう」(郵政産業ユニオン・金子中執)、「地方独立 行政法人は住民にとって欠かせない機関だ。大阪では、府・市の研究機関の統合がねらわれている。住民の命を守ることが自治体の責任だ。国・地方で独立行政 法人『合理化』の動きを大きくさせないようにたたかいを強める必要がある」(自治労連・橋口副委員長)など、実態報告をふくめてたたかう決意がのべられま した。
 最後に、公務部会の黒田事務局長がまとめをと行動提起を行い、「みなさんの発言からも明らかなように、国民のための独立行政法人であり、主務大臣の意思 ひとつで改廃できるのは間違っている。雇用の承継については、社保庁の大量解雇という先例があり、徹底審議・法案の抜本修正を求めてたたかおう。また、た とえ法成立が強行されても、国民に訴えてながら、ねばり強くたたかっていこう」と呼びかけました。
 公務部会の中田幹事がアピール(別掲)を提案し、拍手で採択されました。
以 上


ア ピ ー ル

 政府は4月15日、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(以下、「改正」通則法案)を国会提出し、法案は現在、衆議院で審議されている。
 「改正」通則法案は、昨年12月に閣議決定した「独立行政法人改革に関する基本的な方針」(以下、「基本方針」)にもとづき、独立行政法人の分類「見直 し」やPDCAサイクルを強化した業績目標・評価のあり方、主務大臣による是正・改善命令権の付与などを盛り込みつつ、法人と事業の「廃止ありき」の法案 となっている。
 委員会採決がねらわれる緊迫した情勢のもと、法案の徹底審議を求めるものである。

 そもそも、独立行政法人の業務は、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業」とされ、「業務運営に おける自主性は、十分配慮されなければならない」と法律が明確に定めている。そのことは「改正」通則法案においても、「一定の自主性及び自律性を発揮しつ つ」「国民の需要に的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じた公共の利益の増進を推進することを目的とする」と確認されている。
 にもかかわらず、「改正」通則法案では、主務大臣が業務と組織全般の検討を行い、「組織の廃止その他の所用の措置」を講じるとしている。さらに、業務の 縮小などによって、「離職を余儀なくされることが見込まれる場合」を想定している。これは、整理解雇を意味するものであり断じて認められない。法人を統合 する場合等の雇用承継規定は不可欠である。

 また、「改正」通則法案は、「独立行政法人評価制度委員会」を総務省に設置して、業務や組織の改廃措置の内容について主務大臣に勧告することや、内閣総 理大臣に意見具申する権限を付与している。財界など特定の利益代表の委員の思惑で、当該組織や業務の廃止を意見具申することも可能であり、結果として国民 の権利や利益が損なわれることが懸念される。
 給与水準についても、「職務の特性及び雇用形態その他の事情を考慮」するよう求めるなど、労働基本権が保障されている非特定独立行政法人職員の労使交渉 に、政府が介入を強めようとしていることは認められない。
 昨年末の「基本方針」では、「主務大臣は、目標案又はその変更案を作成する際には、法人と十分に意思疎通を図るものとする」とされていたが、「改正」通 則法案では、「基本方針」のわずかな改善策さえも反映されていない。

 独立行政法人が公共的役割を一層発揮するためには、運営費交付金の確保・拡充をはじめ、安定した雇用の確保と労使自治による労働条件決定、調達制度の改 善等が必要である。「改正」通則法案の国会での徹底審議と、法案の抜本的な修正を強く求めて奮闘するものである。
 
 2014年5月22日
 
 独立行政法人通則法「改正」法案に反対する院内集会


以 上