No. 873
   2013年8月9日

賃下げ法を廃止し、実存する7.78%の官民給与差解消を

= 公務労組連絡会が人事院報告後ただちに政府に申し入れ =

 人事院は8日、国家公務員の俸給表上の給与額で官民比較し、較差が極めて小さいとして月例給・一時金と もに改定を見送るとする報告を内閣と国会に提出しました。報告には、来年にむけた「給与制度の総合的見直し」の検討も盛り込まれました。
 報告では、昨年4月から実施されている「賃下げ法」によって、実支給額で比較すれば、民間よりも7.78%(29,282円)下回っていることが公表さ れています。にもかかわらず、人事院は、賃下げは「未曾有の国難に対処するため」にやむを得ない措置であると容認し、改善勧告を見送りました。
 こうした措置は、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告制度の役割を放棄するもので、さらには、政府の公務員総人件費削減方針に迎合・荷担す るものでしかなく、断じて認められません。
 公務労組連絡会は、ただちに総務省・厚労省・財務省に要求書を提出し、「賃下げ法」を廃止したうえ、人事院の調査によって明らかになった官民の賃金格差 を、使用者の責任で解消するよう強く求めました。


(総務省)来週にも給与関係閣僚会議を開いて議論に着手

 総務省との交渉には、公務労組連絡会から北村副議長を先頭に、黒田事務局長、米田・関口の各事務局次長、国公労連の渡辺中執が参加、総務省は、人事・恩 給局総務課の辻総括課長補佐、西山課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、北村副議長は、「本日、月例給・一時金ともに改定を見送るとの人事院報告が国会と内閣に提出されたが、とりわけ、『賃下げ法』を人事院が容認 したことは重大だ。人事院は、公務が民間賃金よりも8%近く下回っていることを認めている。要求書(別掲)にもとづいて公務労働者の賃金・労働条件の改善 を求める」とのべました。
 つづいて黒田事務局長が要求書について以下の点を強調しました。
○ 勧告較差が昨年よりも開いているという実態や、公務労働者の生活が悪化していること、さらには、政府みずからがデフレ脱却へ賃上げをめざしていること からも、政府は臨時特例法の廃止を決断せよ。
○ 臨時・非常勤職員の賃金・労働改善にかかわって、人事院報告にはまったく触れられていない。こうしたもと、政府が、使用者責任にもとづき、休暇制度の 改善をはじめ、正規職員との均等待遇にむけていっそう努力せよ。
○ 再任用職員の賃金にかかわって、総務省との最終交渉では「人事院において所要の検討が行われるものと承知している」との回答だったが、結局は、人事院 は来年の勧告に先送りした。年金が支給されず、再任用職員は賃金も確定しないままで働くことになる。使用者として責任のある対応をはかれ。
 交渉参加者からは、「人事院の報告でも、民間よりも相当額下回っていることが報告されている。賃下げ法はただちに廃止せよ」「約60年ぶりの報告のみと なった。各省に働く国公労働者は、賃下げに怒っている。職場の声を真剣に受けとめるべきだ」などとのべました。
 これを受けて辻総括課長補佐は、「みなさんの要求はうけたまわった。本日、人事院から、本年の一般職国家公務員の給与について、改定の必要はないとする 報告を受けたところだ。来週にも給与関係閣僚会議を開催し、人事院からの報告の内容を受けた国家公務員の給与の取り扱いについて議論いただくことを予定し ている。本日の要求事項については、しかるべく時期にお答えしたい」と回答しました。
 北村副議長は、「この間の人事院との交渉では、人事院勧告制度が本来の役割を果たすべきであることを繰り返し求めてきた。労働基本権回復の道筋さえ示さ れていないなか、労働基本権を幾重にも踏みにじってきた賃下げ法は廃止するのが、使用者としてとるべき道だ」とのべ、引き続き公務労組連絡会と十分な交 渉・協議をすすめながら、要求実現にむけた検討をすすめるよう求めました。

(厚労省要請)厚生労働大臣として公務労働者の賃上げに努力せよ

 交渉団は、引き続き厚生労働省に要求書(別掲)を提出しました。交渉団には野村議長が加わり、厚労省側は、労使関係担当参事官室の伊藤昭彦参事官、渡辺 正道調査官ほかが対応しました。
 野村議長は、「デフレ脱却へ政府が賃上げをめざし、田村厚生労働大臣も、最低賃金の引き上げを求めて審議会に要請し、前年を上回る最低賃金目安額も答申 されている。こうした状況をふまえれば、公務員賃金の改善こそ求められており、改善勧告は見送られたが、給与関係閣僚の一員として、公務員賃金の改善にむ けた努力を求める」とのべました。
 伊藤労使関係担当参事官は、「みなさんの要求はしっかり受けとめる。給与関係閣僚会議では、人事院勧告制度の尊重を基本にして、田村大臣には発言してい ただきたいと思っている。いずれにしても、みなさんの要求は十分にうけたまわった」とのべました。

(財務省要請)賃下 げ押しつける地方交付税削減は中止せよ

 財務省への要求書提出には、公務労組連絡会から黒田事務局長、米田・関口の各事務局次長、国公労連から國枝中執が参加、財務省は、主計局給与共済課井口 裕之課長、中塚秀則課長補佐ほか8名が対応しました。
 黒田事務局長が要求書(別掲)を提出し、申し入れの趣旨をのべました。参加者からは、「交付税削減による賃下げに対して、地方議会からも非難の声が上 がっている。地域経済に影響し、税収にも影響することから、賃下げ法はただちに廃止すべきだ」「生活に影響するだけでなく、賃下げは、長時間労働で奮闘し ている職員の士気を下げる。賃金改善が必要だ」「非常勤職員は、低賃金で働かされている。年齢に関係なく均等待遇を求める。人事院報告では触れられなかっ たが、給与関係閣僚会議での議論を求める」などと要請しました。
 これに対して井口課長は、「要請の趣旨はうけたまわった。国家公務員の給与については、人事院勧告制度を尊重する基本姿勢のもと、国政全般をふまえなが ら適切に対応する。給与臨時特例措置は来年の3月末で期限をむかえるが、その後のことはさまざまな議論があるところだ」とのべ、また、地方公務員の賃下げ には、「厳しい財政状況のもと、政府として自治体に要請してきた。地方交付税は国民負担で成り立っており、そのことをふまえて適切に算定していく必要があ る」とのべました。
 黒田事務局長は、「生活苦はもちろんだが、働きがいをなくす点は公務サービスにもかかわる。特例措置の期限切れ後について、人事院報告のなかでも、4月 以降は減額措置をもとにもどす趣旨の指摘がされている。これら十分にふまえて公務労働者の賃金のあり方について検討を求める」とのべました。
以 上



【総務省への要求書】
2013年8月8日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
総務大臣   新藤 義孝 殿
公 務 労 組 連 絡 会
議 長    野村 幸裕

公務員賃金等に関する要求書

 人事院は本日、国家公務員給与にかかわって、俸給表上の給与額で比較すると官民較差が極めて小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定をおこなうことが困難 であるとして、月例給・一時金ともに改定を見送るとの報告を、内閣と国会に対しておこないました。
 「給与臨時特例法(賃下げ法)」によって公務員の賃金が平均7.8%引き下げられているもとで、実際には民間賃金より7.78%(29,282円)下 回っていることを人事院みずからの調査で認めながらも、改善勧告を見送ったことはきわめて重大です。
 国家公務員に準じた賃金引き下げを、政府が地方交付税削減によって地方自治体に押しつけてくるなか、公務労働者の生活悪化にとどまらず、仕事に対する誇 りや働きがいさえも失わせています。加えて、国・地方で強行されてきた退職手当の大幅削減は、若年層をふくめて将来への不安をひろげています。
 政府は、こうした職場の実態に真剣に目をむけて、「賃下げ法」の廃止をただちに決断すべきです。とりわけ、公務労働者への賃下げ押しつけは、デフレ脱却 にむけて労働者の賃上げの必要性が強調され、安倍首相が財界に賃上げを要請してきたこととも逆行するものであり、民間賃金や地域経済に影響する公務員賃金 の改善をはかることが求められています。
 人事院が改善勧告を見送るなかで、私たちは下記要求を取りまとめました。使用者として、要求にそって公務労働者の賃金・労働条件改善に全力をあげるよう 求めます。



1、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度にもとづかず、議員立法で強行した憲法違反の「給与臨時特例法」を廃止すること。

2、職員の働きがいや仕事に対する誇りとともに、公務員賃金の持つ社会的影響力をふまえ、初任給をはじめ公務労働者の賃金・労働条件を改善すること。

3、臨時・非常勤職員の賃金・労働条件改善をはかり、均等待遇を実現すること。

4、「雇用と年金の接続」にむけた再任用制度にかかわっては、フルタイムでの勤務を希望する職員は全員をフルタイムで再任用することとし、生活できる賃金 水準を確保すること。

5、地方自治体、独立行政法人等の賃金決定に不当な介入・干渉をおこなわないこと。

6、労働基本権の全面回復など憲法とILO勧告に沿った民主的公務員制度を確立すること。

以 上

【厚労省への要求書】
2013年8月8日
厚生労働大臣 田村 憲久 殿
公 務 労 組 連 絡 会
議 長   野村 幸裕

公務員賃金等に関す る要求書

 人事院は本日、国家公務員給与にかかわって、俸給表上の給与額で比較すると官民較差が極めて小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定をおこなうことが困難 であるとして、月例給・一時金ともに改定を見送るとの報告を、内閣と国会に対しておこないました。
 「給与臨時特例法(賃下げ法)」によって公務員の賃金が平均7.8%引き下げられているもとで、実際には民間より7.78%(29,282円)下回って いることを人事院みずからの調査で認めながらも、改善勧告を見送ったことはきわめて重大です。
 国家公務員に準じた賃金引き下げを、政府が地方交付税削減によって地方自治体にも押しつけてくるなか、公務労働者の生活悪化にとどまらず、仕事に対する 誇りや働きがいさえも失わせています。加えて、国・地方で強行されてきた退職手当の大幅削減は、若年層をふくめて将来への不安をひろげています。
 政府は、こうした職場の実態に真剣に目をむけて、「賃下げ法」の廃止をただちに決断すべきです。とりわけ、公務労働者への賃下げ押しつけは、デフレ脱却 にむけて労働者の賃上げの必要性が強調され、安倍首相が財界に賃上げを要請してきたこととも逆行するものであり、民間賃金や地域経済に影響する公務員賃金 の改善をはかることが求められています。
 本日の人事院報告を受けて、今後、給与関係閣僚会議等で公務員賃金のあり方が議論されるにあたり、貴職に対して、下記要求にそって公務労働者の賃金・労 働条件改善に全力をあげるよう求めます。



1、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度にもとづかず、議員立法で強行した憲法違反の「給与臨時特例法」を廃止すること。

2、職員の働きがいや仕事に対する誇りとともに、公務員賃金の持つ社会的影響力をふまえ、初任給をはじめ公務労働者の賃金・労働条件を改善すること。

3、臨時・非常勤職員の賃金・労働条件改善をはかり、均等待遇を実現すること。

4、「雇用と年金の接続」にむけた再任用制度にかかわっては、フルタイムでの勤務を希望する職員は全員をフルタイムで再任用することとし、生活できる賃金 水準を確保すること。

5、地方自治体、独立行政法人等の賃金決定に不当な介入・干渉をおこなわないこと。

6、労働基本権の全面回復など憲法とILO勧告に沿った民主的公務員制度を確立すること。

以 上

【財務省への要求書】
2013年8月9日
財務大臣 麻生 太郎 殿
公 務 労 組 連 絡 会
議 長    野村 幸裕

公務員賃金等に関する要求書

 人事院は8日、国家公務員給与にかかわって、俸給表上の給与額で比較すると官民較差が極めて小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定をおこなうことが困難 であるとして、月例給・一時金ともに改定を見送るとの報告を、内閣と国会に対しておこないました。
 「給与臨時特例法(賃下げ法)」によって公務員の賃金が平均7.8%引き下げられているもとで、実際には民間より7.78%(29,282円)下回って いることを人事院みずからの調査で認めながらも、改善勧告を見送ったことはきわめて重大です。
 国家公務員に準じた賃金引き下げを、政府が地方交付税削減によって地方自治体にも押しつけてくるなか、公務労働者の生活悪化にとどまらず、仕事に対する 誇りや働きがいさえも失わせています。加えて、国・地方で強行されてきた退職手当の大幅削減は、若年層をふくめて将来への不安をひろげています。
 政府は、こうした職場の実態に真剣に目をむけて、「賃下げ法」の廃止をただちに決断すべきです。とりわけ、公務労働者への賃下げ押しつけは、デフレ脱却 にむけて労働者の賃上げの必要性が強調され、安倍首相が財界に賃上げを要請してきたこととも逆行するものであり、民間賃金や地域経済に影響する公務員賃金 の改善をはかることが求められています。 
 人事院の報告を受けて、今後、給与関係閣僚会議等で公務員賃金のあり方が議論されるにあたり、貴職に対して、下記要求にそって公務労働者の賃金・労働条 件改善に全力をあげるよう求めます。



1、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度にもとづかず、議員立法で強行した憲法違反の「給与臨時特例法」を廃止すること。

2、職員の働きがいや仕事に対する誇りとともに、公務員賃金の持つ社会的影響力をふまえ、初任給をはじめ公務労働者の賃金・労働条件を改善すること。

3、臨時・非常勤職員の賃金・労働条件改善をはかり、均等待遇を実現すること。

4、「雇用と年金の接続」にむけた再任用制度にかかわっては、フルタイムでの勤務を希望する職員は全員をフルタイムで再任用することとし、生活できる賃金 水準を確保すること。

5、地方自治体、独立行政法人等の賃金決定に不当な介入・干渉をおこなわないこと。また、公務員・教員の賃下げを目的とした地方交付税等の削減をおこなわ ないこと。

6、労働基本権の全面回復など憲法とILO勧告に沿った民主的公務員制度を確立すること。

以 上