No. 872
   2013年7月25日

「人勧・最賃」ヤマ場の行動に全国から2,000人

= 公務部会・公務労組連絡会は人事院前で独自の要求行動 =

 公務員賃金改善、最低賃金の引き上げを求めて、全労連・国民春闘共闘は25日、夏季闘争最大規模の中央 行動にとりくみました。行動は、国民大運動実行委員会も共催団体として加わり、公務・民間の労働組合をはじめ、全商連・農民連など民主団体も参加、消費税 増税中止、TPP参加反対などを求める国民規模の行動となりました。
 公務労組連絡会・公務部会は、人事院前の要求行動を配置し、「賃下げ法」によって国・地方の公務労働者の賃金が引き下げられるもとで、賃下げ分を回復す る勧告の実現をせまりました。中央行動には、全国から2千人が結集しました。


自 民党の暴走に国民共同のたたかいでストップをかけよう

 ときおり小雨がぱらつく天候のなか、12時すぎから「諸要求実現7・25総決起集会」が開かれました。会場となった日比谷野外音楽堂には、貸し切りバス で上京した長野労連をはじめ、各地から続々と参加者が集まりました。
 自治労連の岡ア中執、全労連の布施常任幹事の司会ではじまった集会は、主催者あいさつした全労連の大黒議長は、参議院選挙の結果にもふれ、「自民党は大 幅に議席を増やしたが、協力共同してたたかってきた共産党も11議席となり議員提案権を獲得した。国民は自民党に白紙委任したのではないというマスコミ論 調も見られる。世論と政治の力で消費税増税ストップ、最賃1,000円以上を実現しよう」と呼びかけました。

 つづいて、比例候補として当選を果たした日本共産党の山下芳生参議院議員が連帯あいさつし、選挙での支援に感謝の言葉をのべつつ、「15年ぶりの躍進と なった。安倍政権は、原発や憲法などで暴走をつづけ、共産党の役割はいっそう重大だ。政府に賃上げをせまり、国民運動と共同をひろげて悪法阻止に奮闘す る」と決意を込めて、参加者を激励しました。
 全労連の小田川事務局長の情勢報告では、労働法制の大改悪や最低賃金をめぐる現状などが報告され、「憲法を暮らしにいかすたたかいを強めよう。明文改憲 の動きにハドメをかけよう」とのべました。

 各団体から4名の代表が発言し、公務からは全教の今谷書記長が、「8万5千人分の教育拡充を求める『えがお署名』を、本日、文科省に提出する。労働者の 雇用状況が、子どもの教育にも影響している。家庭を壊す雇用の流動化は許さない」と決意表明しました。
 JMIUの三木書記長は、「ロックアウト解雇」が横行する日本IBM労組の仲間とともに登壇、「ただちに出て行けと通告され、突然クビが切られる。資本 によるファシズムは絶対許してはならない。解雇自由の労働法制改悪を阻止しよう」と訴えました。また、首都圏青年ユニオンの武田委員長は、「職場では鮮度 が重要」と言われ喫茶店チェーン店を解雇された青年にかかわって、「長く働いてきた人を追い出すのは認められない。労働者をもの扱いすることは断じて許さ ない。裁判でたたかいぬく」と支援を要請しました。

 全商連の菊池副会長は、ガソリン代が13%アップして運送業者は悲鳴を上げていることなどが紹介され、「参議院選挙の結果は、国民が消費税増税を認めた わけではない。安倍首相のブレーンでさえ消費税の延期を主張している。民意は増税中止を求めているなか、なんとしても消費税増税をくい止める」と決意表明 しました。
 最後に、農民連の白石会長が、「自民党は、公約を破ってTPP参加へ暴走している。農業や暮らしが破壊されるTPPは撤退以外にない。本日の行動の成功 をバネにして、国民生活を守るたたかいに全力をあげよう」と閉会あいさつをのべ、参加者全員で団結ガンバロウを三唱して集会の幕を閉じました。

世 界最低の日本の最賃をグローバル水準に押し上げよう

 決起集会終了後、参加者は厚生労働省・人事院への包囲行動に移りました。2千人の参加者は、厚労省側の歩道とともに日比谷公園側にも隊列をつくり、ノボ リ旗を高くかかげました。全労連岩永常任幹事の司会で始まり、主催者あいさつで国民春闘共闘の大谷充代表幹事(出版労連委員長)は、「政府・財界は、自分 たちに都合のよい政策や制度の改悪を行おうとしている。非正規労働者が4割をしめ、格差と貧困がひろがっていることに憂慮すべきであり、憲法がいきる社会 をつくりあげていこう」と呼びかけました。

 激励にかけつけた婦団連の堀江ゆり会長は、「安倍首相は、女性を輝かせるなどと言っているが、女性を安く働かせ、使い捨てにすることが本当のねらいだ。 育休を3年にしても、どこに取れる条件があるのか。自民党のやりたい放題を国民の運動は許さない」と決意を込めてあいさつしました。
 最低賃金をめぐる情勢報告で全労連伊藤圭一常任幹事・調査局長は、中央最低賃金審議会の議論状況を紹介しながら、「アベノミクスが計画どおりに進んだら ガタガタになる。賃金を上げさせ、解雇自由を止めよう。世界最低の日本の最賃を、グローバル水準に押し上げよう。大きな飛躍を求めてがんばろう」とのべま した。

 決意表明に移り、「ダブルワークしていたパートの仲間が、契約更新の時期に自宅で亡くなっていた。悔やまれてならない。生協の最賃は760円。生活でき る賃金にすることが仲間への償いだ」(生協労連コープあいち労働組合・野々山書記長)、「賃下げ特例法で4・7%の賃下げとなった。20歳以下の職員は 10万円ほどしか手元に残らず、青年層は危機的状況にある。賃下げ法の早期廃止と初任給の改善を求める」( 国公労連全司法愛媛支部・藤田執行委員)、「神奈川の最賃裁判の原告は123人になった。時給850円で5時間で4日間働いても6〜7万円しかならない。 裁判の勝利で運動の突破口にしたい」(神奈川労連最賃裁判原告の岩森さん)など力強い発言がつづきました。最後に東京春闘の菊池友里事務局員のリードで、 参加者はシュプレヒコールをぶつけました。

本 来の役割を投げ捨てた人事院に怒りが爆発

 厚労省前・人事院前要求行動の終了後、公務各単産の参加者は人事院前に集合し、公務労組連絡会・公務部会主催による人事院前要求行動にとりくみました。 九後事務局次長の司会進行ではじまり、主催者あいさつした宮垣公務労組連絡会副議長は、「憲法違反の賃下げは断じて許さない。デフレ脱却のためにも公務員 の賃下げをやめせ、人事院は、実際に減額された支給額で比較をおこなうことが役割だ」と怒りを込めてのべました。

 連帯あいさつに駆けつけた建交労の赤羽書記長は、「国民の怒りを公務労働者へむけさせることで賃下げを強行しているが、それは民間労働者にも直結してい くことになる。憲法を生かし、国民の生存権を守る立場で奮闘する」とのべました。
 人事院勧告をめぐる状況や、人事院との交渉の現状を中心に情勢報告した黒田事務局長は、「実際の賃金額で官民比較して改善勧告するのが、人事院勧告の唯 一の役割だ。それを実行しないのなら、人事院は必要ない。高齢者いじめを許さず、臨時・非常勤職員の賃金・労働条件の改善にむけて、残された2週間を全力 でたたかおう」と呼びかけました。

 続く決意表明では、「賃下げ特例法が延長されれば、将来の設計が崩れてしまう。震災後も組合員は業務に邁進してきた。怒りは頂点に達している。人事院に は実額ベースの賃上げをあらためて求める」(国公労連・全通信東北支部・渋谷執行委員)、「賃下げの片棒を担いできた人事院に恨みつらみをのべる。労働基 本権制約の代償措置として、実額比較するのが人事院の道ではないのか。」(特殊法人労連・竹内事務局長)、「安倍首相の故郷の山口から来た。県内の市町村 での賃下げを許していない。今後とも賃下げ反対でがんばりたい」(山口自治労連・周南市職労・吉武さん)、「ジャンボハガキ行動にとりくみ、13時間にお よぶ深夜の交渉でも合意せず、『終結』という形で交渉を打ち切った。人事院は、役割をしっかり果たしてほしい」(長野高教組・吉田書記次長)など、各地で のたたかいの報告をふくめた発言がありました。
 公務員賃金改善署名提出のため、人事院に要請団を送り出したあと、郵政産業ユニオン兼子中央執行委員のリードでシュプレヒコールをおこないました。

 人事院前のほか、財務省前、農水省前に分かれて、消費税増税中止、TPP交渉参加反対などの課題を掲げ、同時進行で各省への要求行動にとりくみました。
 また、3か所で行動していた参加者は、ふたたび日比谷公園に集合し、15時すぎから銀座デモに出発しました。大勢の通行人や買い物客で混雑する銀座の通 りを、最低賃金引き上げ、公務員賃金改善などを訴えて、東京駅近くまで元気よくデモ行進しました。
以 上