No. 868
   2013年5月28日

公務労働者の賃下げ、解雇の自由化を許すな

= 「5・28中央行動」に公務・民間の1,000人が結集 =

 全労連・国民春闘共闘は5月28日、労働法制の規制緩和反対、パート労働法や労働者派遣法の抜本改正と 労働契約法の適正な運用による正規・非正規すべての働く労働者の働くルールの確立を求めて中央行動にとりくみました。
 早朝宣伝行動にはじまり、厚生労働省・人事院前の要求行動、日比谷公会堂での総務決起集会、国会請願デモ、国会議員要請などを終日にわたって展開、全国 から公務・民間の1,000人が参加しました。
公務部会・公務労組連絡会は、この行動を13年夏季闘争のスタートに位置づけ、「賃下げ法」の廃止、地方公務員の賃下げの押しつけに反対して、独自に総務 省前要求行動や安倍首相にあてた賃下げ反対署名の提出行動も配置し、全国の仲間が奮闘しました。


(厚労省・人事院前)「人勧・最賃」一体の夏季闘争がスタート

 11時からスタートした厚生労働省・人事院前行動で主催者あいさつにたった国民春闘共闘の伊藤代表幹事は、アベノミクスによる円安や物価上昇が中小企業 の経営にも影響を与えていることやデフレ脱却のためにも賃金引き上げが必要であることを強調し、公務員賃金引き上げや生活保護制度の改悪中止、非正規労働 者の労働条件引き上げ、労働法制改悪阻止などのとりくみ強化を訴えました。
 全労連の井上事務局次長は、情勢報告で「自民党は、世界で一番企業が活動しやすい国づくりを参議院選挙の公約にすると言うがとんでもない。きっぱり審判 を下すたたかいをつくろう」と切り出し、現在、規制改革会議がすすめている労働法制の改悪内容を報告しました。
 続いて各単産・地域からの4名が決意表明に立ちました。公務部会の九後事務局次長は、公務員賃金をめぐる最新の情勢を報告しつつ、「官民を問わず、労働 者が人間らしく暮らせる賃金、やりがいの持てる賃金、落ち込んだ日本経済を立て直す原動力になる賃金の実現にむけてたたかう」と決意をのべました。
 生協労連ユーコープの佐伯かおり副委員長は、今年の静岡県の最賃審議委員任命にあたって、静岡県評が推薦した3人について任命せず理由も明らかにしな かったことをあげ、「今の状況は日本の危機。危機の時こそ基本に戻るべきであり、労働者の立場に立った最賃議論ができるようなメンバーを任命すべき」と訴 えました。
 静岡自治労連の青池特別執行委員は、非正規労働者から寄せられた「低賃金 考えなければ いい仕事」などの川柳を紹介し、低賃金や休暇制度、雇い止めな どの切実な要求実現が必要であることを強調しました。埼労連の諸井幹事は、埼玉でのとりくみを紹介しつつ、「埼玉からも政治を変えるためがんばる」と力強 く締めくくりました。
 最後に、人事院・厚生労働省に向かってのシュプレヒコールで、公務員賃金引き上げ、最低賃金1000円の実現などの要求をぶつけました。

(総務省前)国・地方の賃下げへの怒りの声が霞が関に響く

 公務部会・公務労組連絡会の主催による11時からの総務省前要求行動では、米田事務局次長が進行するもと、主催者あいさつした宮垣代表委員は、「デフレ 脱却と言いながら、公務員への賃下げは自己矛盾であり、道理がない。大企業奉仕のアベノミクスではなく、最賃を改善し、増税を中止せよ。来るべき選挙では 憲法を守る議席を増やそう」と呼びかけました。
 激励に駆けつけた全農協労連の国分書記長からは、「被災地では、農協の仲間も自治体労働者と力を合わせて復興にむけてがんばっている。そのなかでの公務 員賃下げは、冷や水をかけるもの。安倍内閣のねらう賃下げと解雇が当たり前の社会を許さないため、ともに力を合わせてがんばろう」と連帯のあいさつがおく られました。
 黒田事務局長の闘争報告では、賃下げに反対する政府あて署名が12万筆を超えるなど、安倍内閣による攻撃を職場・地域のたたかいが押し返していること や、人事院勧告制度が労働基本権制約の「代償措置」たりえなくなっていることなどが報告され、夏季闘争にむけて7月25日の中央行動への結集、人事院総裁 あての署名運動の強化などが訴えられました。
 3人の参加者から決意表明があり、「民間賃金への波及や市民の声を伝えて、市長に賃下げしないようねばり強く求めた。その結果、市長は『給与削減しない と腹をくくった』と明言。県内の各自治体とともにがんばる」(茨城自治労連常総市職労・濱野書記長)、「県当局の提案は、一時金は削減しないという内容 だったが、仲間たちの怒りは爆発している。撤回を求めて断固追及する」(富山高教組・荻生書記次長)、「賃下げ違憲訴訟提訴から1年が経った。政府は、 『労使交渉の義務はない』などと開き直っている。『賃下げ法』を延長させないためにも、この夏季闘争が重要だ」(国公労連全法務・浅野副委員長)など怒り とたたかう決意がのべられました。
 その後、安倍首相にあてた「景気回復にむけた賃上げを求める署名」(賃下げ反対署名)の提出・要請行動の参加者が紹介され、最後に、総務省にむけて怒り のシュプレヒコールをぶつけました。

(総決起集会)労働 法制の規制緩和許すなと「ミニ講演」で学習

 総務省前と厚生労働省・人事院前とで二手に分かれて要求行動にとりくんだ参加者は、12時すぎから日比谷公会堂で開催される「賃金と雇用の改善を!許す な、労働ビッグバン・TPP・消費税増税!5・28労働者総決起集会」に合流しました。
 全労連の大西玲子常任幹事、首都圏青年ユニオンの神部紅事務局次長の司会・進行ではじまった集会では、全労連の大黒作治議長があいさつし、「アベノミク スで生活は改善されず、そのうえ首切り自由、限定正社員など労働法制の大改悪をねらっている。働くものがたたかいの先頭に立ち、労働組合が社会的役割を発 揮しよう。憲法9条改悪を許さず、政治の転換へ奮闘しよう」と訴えました。
 反貧困ネットワーク代表で元日弁連会長の宇都宮健児弁護士が連帯のあいさつをのべ、「最賃は生活保護水準以下のうえ、自公政権は生活保護受給者へのバッ シングを強めている。安倍首相は生活保護水準、最低賃金で生活してみるべきだ」と怒りを込めて、貧困と格差是正の重要性を訴えました。
 その後、自由法曹団常任幹事の加藤健次弁護士から、解雇自由化など労働規制緩和にかかわって約20分間の「ミニ講演」があり、政府がねらう労働法制改悪 の現局面と問題点をわかりやすく報告しました。加藤弁護士は、「労働分野の規制緩和によって、雇用と生活が成り立たなくなる。憲法を焦点に据えてたたかお う」と強調しました。
 つづいて、行動提起を全労連の小田川義和事務局長がおこない、さまざまな経済指標も示して「アベノミクスの5本の矢」が国民に限りない痛みを迫ること や、安倍内閣の経済・財政政策は、小泉「構造改革」の焼き直しであることを明らかにし、国民世論に訴え、すべての労働者の共同をひろげるため、職場や地域 からの奮闘の重要性を訴えました。
 闘争報告をうけて4人から決意表明が続きました。「組合のない未組織職場、不安定労働者が増えている。正規も非正規も共同できるよう全国一律の最低賃金 制をつくろう」(全労連・全国一般東京・森治美書記次長)、「社会保険庁の不当解雇撤回で大島さんが解雇無効の人事院判定が出され、職場復帰した。社保庁 職員の解雇撤回とJAL・IBMにみられる乱暴な解雇は許さない」(国公労連・全厚生闘争団:國枝孝幸事務局次長)、「派遣労働者の権利を守るいすゞの裁 判闘争が重要な局面にさしかかっている。原告は15年で時給わずか60円しか上がっていないものもいる。原告とサポーターで神奈川一緒に支援してほしい」 (いすゞ裁判原告団・神奈川労連青年部の三浦慶範書記長)、「『骨太方針』が復活することに、名古屋出身の『骨太おばちゃん』は怒っとる。年収180万円 のヘルパーや260万円の学童指導員やトラックドライバーも人間らしく生きるルールを確立しよう」(建交労・角田季代子副委員長)など、それぞれ応援団を 従えながら決意を力強く表明しました。
 閉会あいさつで、国民春闘共闘の松本秀典事務局次長は、「最賃の引き上げは世界の流れであり、人勧闘争と一体でたたかおう」とのべ、団結がんばろうを全 員で三唱して夏季闘争勝利への決意を固めあいました。
 参加者は、国会に向けて請願デモに出発し、シュプレヒコールを響かせました。デモ解散後は、解雇自由化など「労働ビッグバン」反対、パート労働法・均等 法改正、最低賃金改善、公務員賃金引き下げ反対で、すべての国会議員に要請しました。要請行動にむけて、意思統一集会を参議院議員会館講堂で開き、日本共 産党の大門みきし参議院議員が激励あいさつにかけつけ、国会情勢報告を受けました。公務部会として480人の衆議院議員を訪問し、職場の声を国会議員に届 けました。

賃下げの押し付けは許さない!署名12万3千筆を提出

 中央行動では、安倍首相あての「景気回復にむけた賃上げを求める要求署名」の提出・要請行動にとりくみました。
 公務労組連絡会の関口事務局次長を責任者に、自治労連千葉県本部の竹内敏昭書記長、自治労連愛知県本部の伊藤慎次委員長、福島県立高教組の岡田哲夫さ ん、山口県教組の林淳生執行委員、国公労連・全厚生川名健書記長、国公労連・全経済渡邊忠一書記長の8人が参加し、内閣府大臣官房総務課の佐野美博調査役 ほかが対応しました。
 署名は123,655筆(自治労連62,639筆、全教33,192筆、国公労連24,951筆、その他2,873筆)を提出しました。要請団からは 「このままでは家計が賄えない。地方の状況を甘くみてもらっては困る。地域経済に大ダメージだ」「学校現場はいじめや学力向上の問題などで疲弊しながら時 間外労働が日常化している。働く意欲の低下につながる賃下げは撤回せよ」「千葉の市町村では議会が不況打開のため削減阻止の決議をあげている。今回のやり 方は酷すぎる」「愛知県内32人の国会議員に要請した。どこにも道理がない」などとのべ、「この憤りをぜひ総理大臣へ伝えてほしい」と強い怒りをもって仲 間の声を届けました。
 これにたいして、佐野調査役は、「みなさんの要請は真剣に受け止める。署名はしっかりとあずかった。いただいた意見は官邸にかならず届ける」と約束しま した。
以 上