No. 865
   2013年3月26日

「賃下げ法廃止」の要求はあくまで拒否

= 春闘統一要求をめぐって政府・人 事院と最終交渉 =

 「月額1万円」の賃金底上げ、「最低賃金1,000円 以上」の実現などを求めた春闘要求をめぐって、公務労組連絡会は26日、総務省・人事院との最終交渉にのぞみました。
 安倍首相が財 界には賃上げを要請しながら、公務員には賃下げを押しつける矛盾した態度をとりつづけているもとで、交渉では、賃下げ法を廃止し、地方公務員への賃下げの 押しつけをやめるようせまりました。
 これに対して、総務省は「法律の廃止は考えていない」との回答に終始し、また、人事院は、今年 の勧告も、昨年と同様に減額前の賃金で比較して官民較差を出すとの不当な回答をおこないました。

  春闘における最終回答をうけて公務労組連絡会は同日、幹事会声明を発表しました。


(総務省交渉)「みなさんの給与削減分は復興財源にあてる」と強弁

  総務省との交渉は、公務労組連絡会から野村議長、北村副議長、黒田事務局長、米田・関口の各事務局次長、松井書記が参加、総務省側は、人事・恩給局総務課 の黒田忠司総括課長補佐、小泉課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、野村議長は、「デフレ脱却にむけて労働者の賃上げが国政上の 課題となる一方、政府は公務労働者の賃下げをせまっている。使用者として公務労働者の賃金改善をはかる責任があることはもとより、政府全体として労働者の 賃上げをめざしているなかで、公務員だけに賃下げを押しつけるのは矛盾している」と指摘し、最終的な回答を求めました。
 これに対し て、黒田総括課長補佐は、以下の通り回答しました。

【総務省最終回答】
(賃 金・昇格等の改善について)大変厳しい状況の下、みなさんが日夜業務に精励していることは承知しているが、給与減額支給措置は、わが国の厳しい財政状況及 び東日本大震災に対処する必要から来年3月までやむを得ず行うものであり、政府として直ちに廃止することは考えていない。
 みなさん の給与を削減した分は、東日本大震災の復興財源として充てることとしており、改めて、今般の措置の必要性について御理解いただきたい。
  その上で、平成25年度の給与改定に当たっては、本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと 考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行っていく。

(国民本位の行財政・司法の確立と要員確保等に ついて)公務員の総人件費抑制は、引き続き重要な課題と認識している。今後、その内容については政府において検討してまいりたい。
  国家公務員の定員合理化のとりくみは、事務・事業の見直し・効率化を行いつつ、行政需要の変化に対応し真に必要な部門に定員を再配置するための重要な仕組 みであることを理解いただきたい。

(民主的公務員制度と労働基本権の確立について)労働基本権の回復等について は、所管する国家公務員制度改革推進本部事務局において、過去の経緯の総括・検証を行った上で、真の改革を進めることとされており、我々としても、検証等 に協力していく。

(労働時間短縮・休暇制度など働くルールの確立について)超過勤務の縮減に当たっては、引き続 き、関係機関とも連携しつつ、政府全体の超過勤務縮減にとりくんでまいりたい。その際、皆様のご意見も伺いつつ、実効ある抑制策に努めていく。
  人事評価については、現在、制度の適正かつ公正な実施と円滑な運用に向けて、日常の業務管理を通じた職務行動等の的確な把握、評価者と被評価者のコミュニ ケーションによる認識の共有化、人材育成に資する適切な指導・助言等が適切に行われるよう評価者訓練を着実に進めているところである。
  引き続き制度の趣旨が浸透するようとりくみを進める一方、みなさんが取りまとめたアンケート結果等、みなさんの御意見を伺いながら、理解と納得を得られる よう努め、円滑かつ効果的に制度を運用していく。

(高齢期雇用・定年延長について)雇用と年金の接続について は、定年に達する職員が希望した場合、再任用するものとする旨の閣議決定を本日行った。
 今後は、これに基づき、総務省としても雇用 と年金の円滑な接続に向けて、みなさんのご意見も伺いながら取り組んでいく。

(非常勤職員の処遇改善について) 非常勤職員の処遇改善については、これまでの制度のとりくみ状況も注視しつつ、今後ともみなさんのご意見を伺いながら、関係機関とも相談しつつ検討してま いりたい。

(男女平等・共同参画について)今後とも、第3次男女共同参画基本計画(平成22年12月17日閣議 決定)で定める成果目標の達成に向け、意欲と能力のある女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けたとりくみを政府全体として進めていく。

(健 康・安全確保、母性保護等について)心の健康づくりの充実に当たっては、昨年度からe−ラーニングによる新任管理者のためのメンタルヘルス講習を開始した ところである。次年度においては、更なる内容の充実をはかっていく。
 また、いわゆるパワーハラスメント対策については、平成25年 度において、まずは、民間のとりくみについて勉強していきたい。

賃上げはもっとも有効な経済対策、「賃下げ法」廃止は当然

 この回答に黒田事務局長 は、「公務労組連絡会の『月額1万円』という要求にはまったく言及がない。きわめて不満な回答だ」として、次の点について追及しました。

○  「賃下げ法の廃止は考えていない」との回答が繰り返されたが、賃下げ交渉の出発点となる一昨年5月の交渉では、厳しい財政事情が強調され、いっそうの歳 出削減が必要なことが主張された。しかしながら、現在、自公政権のもとで、経済対策と称して赤字国債が発行されているなかで、その理屈は通用しない。賃上 げこそもっとも有効な経済対策だ。予算は賃金に回すべきで、賃下げ法は廃止して当然だ。
○ 地方公務員への賃下げの押しつけをやめる よう求めたことに対して、前回の交渉では、「担当部局に正確に伝える」との回答だったが、どのように伝えたのか。この点でも、一昨年5月の政府交渉で「国 と同様の措置をとるつもりはない」との回答が示されており、地方公務員に賃下げを押しつけることはそもそも間違っている。
○ 賃金改 善について、人事院勧告をふまえて検討するとの回答だったが、政府は、使用者として職員が職務に精励できるような賃金・労働条件改善をおこなう責任があ る。勧告をふまえるのではなく、切実な要求をふまえて使用者として真剣に検討せよ。
○ 高齢期雇用にかかわって、本日、政府方針が閣 議決定されたが、希望しても全員がフルタイムで再任用されるものとはなっていない。60歳を超えても無年金となることから、定年後の生活を確保するため、 希望者全員が再任用されることが必要最低条件だ。そもそもの問題として、法制化をめざしていたにもかかわらず、閣議決定にとどまったことは、法的な拘束力 を持たないなかで各省の対応がばらばらになり、地方自治体や独立行政法人の対応にも影響する。必要な法整備をおこなうべきだ。
○ 長 時間・過密労働でメンタル不全が増えていること、現在の人員体制では予算を十分にこなしきれない実態を改善するために公務員の増員が必要だ。とくに被災地 での人員不足は復興のさまたげになっており、特別な増員措置は政府をあげて検討すべき課題だ。
○ その他、労働基本権回復、労働時間 短縮、非常勤職員にかかわる回答が示されたが、どれも要求に正面から応えるものではなく、使用者として真剣に検討したとは思えず、きわめて不満だ。

  交渉参加者からは、とくに地方公務員の賃下げについて、「今年の春闘では民間は賃上げムードが出てきているのに、地方公務員の賃下げ押しつけはおかしい。 賃下げ法は一日でも早く廃止すべきだ。安倍内閣は賃上げをした企業をホームページで公表し、一方で、賃下げしない地方自治体を公表するとしている。おかし いと思わないか」「地方公務員の賃金を下げれば、地域経済は疲弊し、住民税の減少で自治体財政にも影響が出ることは明らかだ。復興財源にあてると言うが、 被災地で公務員ががんばっているという実態にもなじまない」「職場からは『公務員への風当たりは厳しいが、自信とプライドを持って仕事したい』という声が 寄せられている。こうした声に応えるのが、使用者としての責任だ」などと厳しい追及がつづきました。

 黒田総括 課長補佐は、「地方公務員の賃金にかかわっては、前回の交渉で出されたみなさんの意見を公務員部に正確に伝えた。給与減額は、必要な措置としておこなった ものであり、無定型に下げていない。減額された財源は、幾分なりとも被災地を助けることとなる。被災地で困っている人たちの役に立っている」などと強弁し ました。

 これに対して、交渉団は、「無定型ではないと言うが、5・8・10%という賃下げ率のどこに理屈があ るのか。復興に役立てるならば、被災地で圧倒的に不足している公務員の増員こそすべきだ」「赤字国債で予算のムダづかいするならば、総務省は使用者とし て、現政権に公務員の生活改善のために使うよう主張すべきだ」などの声が次々と上がると、黒田総括課長補佐は「みなさんの意見はうかがっておく」と追及を そらしました。

 最後に野村議長は、「本日の回答は、きわめて不満なものであり、使用者責任がまったく感じられ ない。使用者としての責任を持って、公務労働者の賃金・労働条件改善をはかるよう求める」とのべ、「政府みずからが労働者の賃上げを財界に要請し、赤字国 債を発行して経済対策をすすめているもとで、いまだに『厳しい財政事情』があるからと公務員に賃下げを押しつけることはまったく道理がない。そのことを総 務省として深く認識すべきだ」と厳しく指摘し、かさねて賃下げ法廃止と地方公務員への賃下げの押しつけをやめるよう要求し、交渉を閉じました。

(人事院交渉)今年も減額前の賃金で官民比較して勧告する

  引き続く人事院との交渉では、交渉団に国公労連の渡辺中執が加わり、人事院側は、給与局給与第1課の奈良間(ならま)課長補佐、職員福祉局職員福祉課の澤 田課長補佐が対応しました。
 野村議長は、「民間大手組合は13日に集中回答日をむかえ、一時金の改善は見られるが、例年通りベース アップなし、定期昇給維持にとどまっている。安倍首相が財界に対して賃上げを要請したが、結果的には労使ともに要請には応えることはなかった。一方、公務 労働者には、賃上げどころか、政府は地方公務員の賃下げを要請している。民間・公務ともに賃金が改善されなければ、安倍首相のめざすデフレ脱却も困難だ」 とのべ、「人事院が公務労働者の労働条件改善の立場に立つとともに、労働者の賃上げを求める世論がひろがっているという社会情勢もふまえて、民間準拠にと どまらない検討が必要だ」として回答を求めました。
 これに対して、人事院側は以下の通り回答しました。

【人事院最終回答】
(賃金等の改善について)
 国家公務員の給与につい て、人事院としては、労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の意義及び役割を踏まえ、情勢適応の原則に基づき、国家公務員の給与と民間企業の給与の実 態を精緻に調査した上で、その精確な比較を行い、必要な勧告を行うことを基本に臨むこととしている。
 職種別民間給与実態調査につい ては、例年どおり、5月から開始する方向で検討している。
 一時金については、民間の支給水準等の精確な把握を行い、適切に対処して いく。
 諸手当の見直しについては、民間の状況、官民較差の状況等を踏まえながら対応していく。
 50歳台職員 の給与については昨年の勧告時の報告において述べているように、官民の給与水準は、全体として均衡させているものの、50歳台、特に後半層における官民の 給与差が相当程度存在している状況にあることから、今後とも、民間賃金の動向を踏まえ、毎年の給与改定における措置等、必要な対応について検討を進めるこ ととしている。
 昨年の勧告においては、給与改定・臨時特例法に基づく給与減額が行われているという例年にない状況の下、減額前の較 差を算出し、併せて減額後の較差も算出し、その上で、勧告の前提となる官民比較については、給与法に定められた給与月額を基礎として行うことが適当と考え たところ。平成25年においても引き続き臨時特例の給与減額が行われている状況にあることから、昨年と同様の取扱いになるものと考えている。

(労 働時間、休暇制度等について)
 超過勤務縮減については、政府全体としてとりくみが進められており、人事院としても、重要な課題の一 つであると考えている。この課題については昨年の勧告時報告でも言及したが、管理職員による勤務時間管理の徹底などのとりくみを進めることが重要であり、 人事院としても、引き続き各府省と連携しながら、管理職員の意識啓発を図るなど、さらなる超過勤務縮減に向け、取り組んでいく。
 職 員の休暇、休業等については、従来より民間の普及状況等をみながら、必要な改善を行ってきたところである。みなさんの意見も聞きながら引き続き必要な検討 を行う。

(人事評価の活用について)
 人事評価は、職員の能力・実績等を的確に把握し、人 事管理の基礎とするものであり、その結果を任用や給与の決定などに活用することとされている。
 人事院としては、そうした評価結果の 活用が各府省において適正に実施されるよう今後とも必要な指導等を行っていく。

(非常勤職員の処遇改善につい て)
 非常勤職員の給与については、各府省において、人事院が平成20年8月に発出した指針に沿った運用がなされることが重要と考え ており、引き続き適正かつ円滑な運用がはかられるよう取り組んでいきたい。
 また、非常勤職員の休暇等については、従来より民間の状 況等を考慮し、措置してきたところであり、今後ともこうした考え方を基本に対応して参りたいと考えている。要求のあった休暇についても引き続き民間の動向 等を注視しつつ、必要な検討を行う。

(高齢期雇用問題について)
 人事院は、平成23年9 月、国会及び内閣に対して定年を段階的に引き上げること等を内容とする意見の申出を行ったところである。現在、政府においては、再任用を希望する者につい て、原則再任用することにより雇用と年金の接続を図る方向で検討が行われ、本日、閣議決定された。
 再任用により雇用と年金の接続を 図るという今回の対応は、当面の措置として行うものと理解しており、雇用と年金の接続を図るための再任用の運用状況を随時検証しながら、意見の申出を踏ま えつつ、雇用と年金の接続の在り方について再検討がなされる必要があるものと考えている。

(男女平等、共同参画 について)
 公務における男女共同参画の推進に関して、人事院は「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づき、各府省 における女性職員の採用・登用拡大のとりくみが実効性のあるものとなるよう、各府省人事担当課長会議を開催し、各府省における具体的とりくみについて意見 や情報交換等を行っているほか、研修への女性職員の積極的参加、メンター制度の導入、各府省のとりくみのフォローアップなどを行っているところ。引き続き 各府省において女性職員の採用・登用のとりくみが着実に実行されるよう支援して参りたい。

(健康・安全確保等に ついて)
 心の健康づくりをはじめとする健康安全対策については、人事院は従来より、各職場において推進すべき重要な事項であるとの 立場から、鋭意取り組んできたところである。特に、心の健康づくり対策については、「職員の心の健康づくりのための指針」を基に、管理監督者をはじめとす る職員に対する研修の充実・強化、「こころの健康相談室」の運営、「試し出勤」の活用などのとりくみの推進を図るとともに、平成25年度の実施に向けた 「心の健康づくり対策推進のための職場改善」の準備も進めているところである。
 また、セクハラ、パワハラ等についても、今後ともそ の防止のための施策等について検討を行っていく。
 人事院としては、引き続き、各府省と連携しつつ、これらの健康安全対策の推進に努 めていきたい。

賃下げ法を大前提にする回答は人事院の役割を放棄するもの

 この回答に黒田事務局長 は以下の点を主張しました。
○ 今年の勧告について、給与減額措置のもとでは「昨年と同様の取り扱いになるもの」との回答は、今年も 減額前の給与で比較して勧告するということか。「情勢適応の原則」に立てば、官民給与支給額を実額で比較して、その較差にもとづいて勧告すべきだ。そうで なければ、人事院勧告の役割すらも人事院みずからで放棄するものだ。賃下げ法を大前提にする回答は断じてみとめられない。
○ 50歳 代後半層は「官民の給与差が相当程度存在している」として、今年の勧告にむけて引き下げを検討することが表明された。50歳代後半層は、連年にわたって賃 金削減が続いているが、年齢による賃金差別にほかならない。年金支給年齢の繰り延べ、年金給付の引き下げなど定年後の生活への不安が高まるなかでの賃下げ は認められない。もともと、賃金体系が異なっている民間と公務を単純に比較すること自体が、公務員総人件費削減を前提としたものにほかならない。
○  その一方で、初任給の改善にはまったく言及がなかったが、勧告にむけても検討しないということか。民間との格差が広がっている初任給をすぐにでも改善す べきだ。優秀な人材確保の面でも待ったなしの課題だ。今年の勧告にむけて真剣な検討を求める。
○ 非常勤職員の賃金にかかわって、地 方自治体では公契約条例制定など、公共サービスに従事する労働者の賃金改善がすすんでいる。指針に沿った適正かつ円滑な運用をはかるとの回答だったが、指 針策定からすでに5年が経過しようとしているなかで、公務・公共サービスを拡充する立場から、指針の見直しを検討すべきだ。
○ 高齢 期雇用にかかわって、本日、政府方針が閣議決定されたが、人事院の「意見の申出」は棚上げにされた。労働基本権制約の代償措置である「意見の申出」に、人 事院としてしっかりと責任を持つべきだ。傍観する立場ではなく、政府と国会に対して人事院として意見表明せよ。

  交渉参加者からは、「賃金減額前で官民比較するのは、人事院が賃下げの実態を見て見ぬふりをすることだ。燃料費や食料品が値上がりしており、生活は厳しく なっている。生活実態を反映した賃金改善をおこなえ」「実際にもらってもいない給与額で民間賃金との比較をするのはおかしい」「50歳代の職員は、職場の 中心になって奮闘している。その人たちが仕打ちをうける理由はない。年齢による賃金差別をやめるべきだ」「減額前の架空の賃金で比較するのであれば、公務 員給与の『精緻な調査』をする意味はない」などと追及しました。

 人事院側は、「給与減額という異例の事態は今 年も続いている。だから今年も同様な扱いとなる」とのべ、初任給改善については、「全体がマイナスになったときでも、若年層は据え置いてきた」などと強弁 しました。
 最後に野村議長は、「本日の回答は賃下げ法を是認したものだ。政府の代弁者になることに等しく、労働基本権制約の代償措 置としての勧告制度そのものを踏みにじるものだ。協約締結権を回復させる公務員制度関連法案が廃案になるもとでは、公務労働者の賃金・労働条件改善にむけ て人事院の果たす役割と責任は大きい。その役割と責任に応えようとしない本日の回答はきわめて不満であり、認められない」と指摘したうえ、今年の勧告にむ けて、引き続き誠意を持って交渉・協議をおこなうよう求めました。


(回答に対する幹事会声明)

13年春闘における政府・人事院回答に対する声明

2013年3月26日
公務労組連絡会幹事会

1、 政府・人事院は本日、「月額1万円」の賃上げ、臨時・非常勤職員の最低賃金の「時間額1,000円以上」への引き上げなどを求めた13年春闘統一要求に対 して最終回答を示した。
 その内容は、切実な賃上げ要求への具体的な言及はなく、「民間給与との比較にもとづく勧告」(人事院)、 「人事院勧告をふまえて検討」(総務省)との回答にとどまったばかりか、人事院が50歳代後半層の賃下げを示唆するなど不当なものとなった。

2、 国家公務員には平均7.8%の賃金削減が強行され、これに準じた地方公務員の賃下げが押しつけられるもと、交渉では、憲法違反の賃下げ法廃止を強く求め た。しかし、政府は、「わが国の厳しい財政状況」を理由にあげて「廃止する考えはない」と拒否し、人事院は、今年も減額前の賃金で官民比較するとのべ、あ くまで賃下げ法に固執する姿勢を変えていない。
 デフレ脱却を政策の柱に据え、安倍首相みずからが財界に賃上げを要請するなかで、公 務労働者だけに賃下げをせまることには道理はない。そもそも、経済対策と称して赤字国債を大量に増発する政権下では、「厳しい財政状況」とする賃下げの理 由はもはや通用しない。
 賃下げ法はただちに廃止し、地方公務員への賃下げの押しつけを撤回するよう重ねて強く求める。同時に、政府 は公務労働者の労働基本権の全面回復をはかるべきである。

3、3月13日に集中回答をむかえた民間大手の妥結状 況は、一時金の改善は見られるが、ベアゼロ、定期昇給維持にとどまった。結果的には安倍首相の要請は労使双方から拒否され、今春闘でも財界の賃金抑制が貫 かれた。
 一方で、国民春闘共闘に結集する民間組合は、積極的な賃上げ要求を掲げてたたかい、昨年を上回る賃上げを勝ち取っている。 公務各単産も、「地域総行動」や「暮らしを守る総行動」、2次の中央行動などを通して職場・地域から奮闘してきた。
 膨大な内部留保 を労働者に還元せよという主張がいっそう道理のあるものとなっているとき、すべての労働者の賃上げへねばり強くたたかっていくことが求められている。引き 続き、13春闘における官民共同のたたかいに全力をあげるものである。

4、自民党は、国と地方の公務員総人件費 2兆円削減を公約に掲げ、道州制導入や公務・公共サービスの切り捨てをねらっている。本日閣議決定された公務の高齢期雇用方針も、総人件費削減を前提にし たもので、定年後の雇用不安をもたらす点で認められるものではない。
 いま、大企業奉仕・軍事費拡大の13年度予算案が審議され、 TPP交渉参加を表明するなど安倍内閣が国民生活無視の暴走を続けている。労働者・国民の暮らしを置き去りにする「アベノミクス」は、いずれ破綻せざるを 得ないことはすでに歴史が証明している。
 公務労組連絡会は、安倍自公政権と正面から対決して、すべての労働者の賃上げ、公務労働者 への賃下げ攻撃阻止、労働基本権回復にむけて国民と結びついてたたかう決意である。
以 上