No. 857
   2013年1月24日

12年人勧の来年度からの実施を閣議決定

= 地方自治体に対して国家公務員に 準じた賃下げ措置を要請 =

 安倍内閣は、24日夕刻に開いた給与関係閣僚会議とそ の後の臨時閣議において、55歳を超える職員の昇給抑制を内容とした12年人事院勧告を、来年度から実施する方針を決定しました。
  実際には直近の昇給日をふまえて1年遅れの実施となりますが、民主党政権下で決定された勧告実施見送りから一転して、勧告どおりに実施する方針を新政権が 決定しました。
 この決定をふまえて、28日から開会を予定している通常国会に給与法「改正」法案が提出される見込みです。
  とりわけ重大なことは、閣議決定では、独立行政法人職員・地方公務員に対しても昇給抑制を求めるばかりか、「給与臨時特例法(賃下げ法)」による国家公務 員への賃下げ措置をふまえて、「各地方公共団体において速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう要請する」として、地方公務員・教職員への賃下げをせ まっていることです。「賃下げの悪循環」を政府みずからがすすめる閣議決定は断じて認められません。

労使間のまともなルールもなく、閣議決定を強行

  閣議決定は、12年人勧の取り扱いにとどまらず、「長引く景気の低迷を受け、一層の地域経済の活性化を図ることが喫緊の課題となっている」として、地方公 務員にも7.8%引き下げられている国家公務員と同様の賃下げを求めるという矛盾した内容となっています。
 国・地方の公務員の賃下 げは、民間賃金に影響して「賃下げの悪循環」の加速で地域経済を冷え込ませ、税収減や交付金削減によって自治体財政も疲弊させます。安倍内閣が「デフレ脱 却」をめざしていることとも逆行する閣議決定にほかなりません。

 一方、同日開かれた経済財 政諮問会議では来年度予算編成の「基本方針」が確認され、臨時閣議でも了承されました。
 その内容は、国家公務員給与の平均7.8% の削減措置に準じた措置を講ずるように地方公共団体に要請するとともに、「それを反映して、来年度予算における地方交付税や義務教育費国庫負担金等を算定 する」との方針も盛り込まれました。
 さらに、「基本方針」には、国家公務員の定員について、「厳しく業務の見直しや効率化に取り組 み、可能な限り純減を図る」「地方公務員の配置についても、行財政改革の取り組みをふまえ対応する」として、国・地方の公務員総人件費削減を強調していま す。

 12年人勧にかかわっては、もとより、55歳を超える職員にいっそうの賃金抑制をせま ること自体が許されるものではなく、総務省交渉では、閣議決定に反対することを繰り返しのべましたが、政府はこうした主張には 耳を貸さず、問答無用で強行しました。労働基本権をないがしろにして、労使間のルールさえ踏みにじるも ので断じて認められません。

 閣議決定に怒りをもって抗議し、国・地方の公務員総人件費削減に反対し、公務労働者の賃金改 善、正規・非正規すべての労働者の賃金底上げをめざして、13年春闘での官民共同・国民共同のたたかいを大きくひろげていく必要があります。

以 上



公務員の給与改定に関する取扱いについて

平成25年1月24日
閣 議  決 定

1、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、 平成24年8月8日に高齢層職員の昇給抑制に関する人事院勧告が行われたところであるが、平成25年度(直近の昇給日である平成26年1月1日)から人事 院勧告どおり改定を行うものとする。

2、特別職の国家公務員の給与については、1の趣旨に 沿って対応するものとする。

3、独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)第4 条第13号に規定する独立行政法人をいう。)の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準と するよう厳しく見直すことを要請する。独立行政法人及び主務大臣は、総務大臣が定める様式により、役職員の給与等の水準を毎年度公表する。
   また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準となるよう厳しく対処すると ともに、必要な指導を行うなど適切に対応する。特殊法人等の役職員の給与等についても、その水準を毎年度公表する。

4、 地方公務員の高齢層職員の昇給抑制に関する措置については、各地方公共団体において1の趣旨及び人事委員会勧告を踏まえ、必要な措置を講ずるよう要請す る。

5、各地方公共団体においては、これまでも自主的な給与削減措置や定員削減などの行財政改革の取組が進められてきたところである が、一方で、東日本大震災を契機として防災・減災事業に積極的に取り組むとともに、長引く景気の低迷を受け、一層の地域経済の活性化を図ることが喫緊の課 題となっている。
 こうした地域の課題に迅速かつ的確に対応するため、平成25年度における地方公務員の給与については、国家公務員 の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成24年法律第2号)に基づく国家公務員の給与減額支給措置を踏まえ、各地方公共団体において速やかに国に準じ て必要な措置を講ずるよう要請する。(以 上)


以 上