独立行
政法人化後も労使関係が激変するようなことはない
独立行政法人国
立病院機構からのヒアリングには、同機構の清水副理事長、佐藤職員厚生部長、廣井労務専門職が出席しました。 国立病院機構は、機構
の概要及び対応する労働組合・全日本国立医療労働組合(全医労)との交渉概況などについて説明しました。とくに、有識者委員の関心事であった独法化前と後
の労働組合との対応の変化については、「独法前から丁寧に対応してきた。権限等法律上の制度的変更はあったが、大きな変化はない。独法前、交渉後の結果に
ついてメモや口約束など紳士協定であったものが、書面として残すようになっただけで大きな変化のないように運営してきた」とのべました。
有識者委員からは、本部・支部段階での交渉回数やその当事者、人勧廃止後の影響、中央交渉結果の全体への反映などについて質問がありました。人勧廃止後の
影響について「診療報酬や受診患者数などによって決まっていくので、大枠としては、常識的なところで決まっている。影響はあると思うが、そうした財政制約
があるので、勧告がなくなった場合、途方に暮れるということではない」と回答しました。 公務公共サービス労働組合協議会(公務労
協)からのヒアリングには、同協議会の加藤議長、吉澤事務局長が出席し、はじめに主に以下の3点を発言しました。
○
次期臨時国会で、また法律が成立しないということになるならば、社会的、政治的、国際的に日本という国では改革はできないと断じられるという危機感を
持っている。「政治の覚悟と決断」が求められている。90年代以降、多くの団体で給与削減措置が行われてきた。地方三団体がいうようにそのすべてが「良好
な労使関係」というわけではなかった。一方的な賃金削減の動きもあった。地方三団体の意見は首長全体の意見ではなく、自律的労使関係を歓迎する首長もい
らっしゃる。 ○ 国家公務員制度改革基本法附則第2条では、国家公務員の労使関係制度に係る措置にあわせ、これと整合性をもって地方
の制度を検討するとしており、同様の制度的措置が講じられる以外に選択肢はない。国と地方の公務員制度が根幹的に違うということはありえず、地方公務員に
ついての法案が提出されていないのは根本的な問題だ。 ○ 消防職員の団結権付与に関し、政府内に検討会を設置してきた経過を考えるな
らば、この問題についてこれ以上何を論議する必要があるのかと言わざるをえない。仮に総務省が自立した会議に判断を求めるならば、政府の政治決断が一体ど
うなっているのか。この間の消防職員の団結権に関する論議を否定することにつながりかねない。
これに対して、委員からは、複数組合の共同交渉、警察職員・上級管理職の労働基本権の考え方、中央交渉の内容と効力などについて質問があり、公務労協は、
「統一交渉や複数組合による個別交渉など、実態は様々。協定の相違については使用者の権限として想定できない」「まずは消防職員の団結権獲得までを目標と
しており、警察職員は次のステージだ」「中央交渉ですべて決めることは考えていない」と回答しました。
協約締
結権回復は「公務員優遇」、職場も混乱(全国知事会)
10月3日
の第4回の有識者会議では、全国知事会からヒアリングがおこなわれ、知事会からは総務常任委員会の石井正弘委員長(岡山県知事)が出席しました。
ヒアリングで石井知事は、はじめに、地方公務員の新たな労使関係制度について「これまで国との意見交換の場で、国が検討している案の問題点を指摘してきた
が、国からは納得できる明確な説明がされていない」とのべ、「地方の意見を反映した見直し案でなければ法案化には反対であると、全国知事会として決議して
いる」と発言しました。 さらに、石井知事は、「現行制度のどこに問題があり、導入後はそれがどう改善されるのか、具体的に明らかに
すべき」とし、「現行のシステムは有効に機能しており、住民目線にも合致している」「協約締結権を付与することは、『公務員優遇』との批判を招く」「現行
の『国公準拠』や『情勢適応の原則』を存置するとしているが、その整合性はとれるのか」「国家公務員の措置を先行し、その検証に基づき地方公務員の制度を
検討すべき」「行政コストは増大するのは明らかで、現場も混乱する」などと主張し、強い反対の姿勢をしめしました。 また、消防職員
への団結権等の回復についても、「警察職員と同様、団結権および協約締結権については、付与すべきではない」と正面から反対しました。
有識者委員からは、「現在でも、現業などは協約締結権を持っているが、現場は混乱しているのか」「公務員の身分保障は、労働基本権とは制度上は関係ないも
のではないか」「財政事情により独自のカットを行っているが、こうした不利益変更の場合は納得を得るための時間を惜しむべきではないのではないか」など質
問が出されました。 これに対しては、石井知事は、「客観的な指標である人勧がなくなることで、交渉のよりどころがなくなる」とし、
そのための交渉の長期化や、労働委員会による仲裁が常態化することの行政コストの増大などを指摘しました。 |