No. 820
    2012年2月23日
賃下げ法案廃案求め雨中の国会前座り込み

= わずか2時間30分の審議で法案の採決強行、参議院へ =

 民主・自民・公明の3党の共同提出による「公務員給与臨時特例法案」(賃下げ法案)は、23日の衆議院総務委員会で採決が強行され、直後の本会議で可決し、参議院へと送付されました。
 全労連公務部会では、憲法違反の「賃下げ法案」の暴挙を許さないため、雨がふりしきる悪天候をついて国会前の座り込み行動でたたかい抜き、1日の行動に全国からのべ330人が参加しました。


採決強行にきびしく抗議、ただちに参議院へ議員要請

 座り込み開始にあたって、10 時のスタート行動で宮垣代表委員は、「政党助成金を温存したまま公務労働者に添加する暴挙を許さないため、雨の中だが廃案をめざして最後までたたかおう」 と呼びかけました。つづいて緊迫したなかの情勢報告を公務部会の黒田事務局長がおこない、参加者は時事刻々と進む法案審議のゆくえを共通の認識にしまし た。
 民間単産からかけつけたJMIUの西中央執行委員は、「本日、一斉に春闘要求の申し入れを行なっている。そうしたなかでの公務員の賃下げは交渉に直接の影響を与える。くらしも経済も悪化の一途をたどる」と民間への賃下げ波及を阻止するためにも連帯を表明しました。
 降りつづく雨の中、リレートークや各地から届いた激励メッセージを紹介しながら、昼前まで座り込みを続けました。
 12 時15分からの昼休み集会で、公務部会の北村代表委員は、「民主党の談合による修正協議で議員立法による「賃下げ法案」が可決されたことに対して怒りを込 めて糾弾する。1年にわたってたたかってきたが廃案にむけて最後までたたかおうと」呼びかけました。国公労連・自治労連・全教の決意表明や総務委員会への 傍聴参加者からは、審議内容の報告や感想などが述べられました。
 本会議の閉会後にかけつけた日本共産党の塩川鉄也衆議院議員から報告をうけ、憲法を二重三重に蹂躙する賃下げ法案の採決強行に抗議し、ひきつづく参議院でのたたかいに全力をあげる決意がのべられました。
  法案の参議院送付をうけて、さっそく午後からは約20人が参議院総務委員25人への要請行動を実施しました。意見は聞き置くが個人的には同意見である(国 民新党・秘書)、島根県の教職員組合から抗議のFAXやメールがたくさん届いている。(社民党・秘書)との報告がよせられました。
 参議院では28日に総務委員会質疑・採決がねらわれています。28日にも座り込み行動を配置し、最後まで取り組みを強化します。

以 上

【参議院各議員に提出した要請書】

「賃下げ法案」の廃案を求める要請書

 国会内外での貴職のご奮闘に敬意を表します。
  民主・自民・公明の3党共同提出の「公務員給与臨時特例法案」(賃下げ法案)は、23日の衆議院総務委員会で採決され、直後の本会議で可決、ただちに参議 院に送付されました。  法案の内容は、マイナス0.23%の11年人事院勧告にもとづいて昨年4月にさかのぼって公務員給与を引き下げ、さらに平均 7.8%まで給与を下げるものとなっています。
 私たちは、継続審議となってきた政府法案、自民・公明提出法案ともに、人事院勧告にもとづかず、 公務労働者に大幅な賃下げをせまる法案であることから廃案を求めてきましたが、それらの法案を土台にした修正法案は、当事者の労働組合さえ排除して協議さ れてきたという経過をふくめて認められるものではありません。
 とりわけ、議員立法によって法案を提出することは、使用者たる政府の責任放棄にほかならず、しかも、国会で自由に公務員の労働条件が決定されるとなれば、憲法上の重大な問題が生じることとなります。
  そのうえ、政府提出法案が廃案となることを通して、政府が「自律的労使関係の先取り」と強弁して、一部の労働組合との「労使合意」を口実にして賃下げを強 行しようとしてきた根拠さえも崩れ去ることになります。加えて、「先取り」とする国家公務員制度改革関連法案も、政調会長合意では「合意形成にむけての環 境整備を図る」との扱いにとどめ、協約締結権回復にむけた関連法案の審議・成立を後景に追いやろうとしていることも重大です。
 このように、いか なる修正がほどこされようとも、「賃下げ法案」は憲法28条で保障された公務労働者の労働基本権を二重三重に踏みにじるものです。公務員の大幅な賃下げ は、今春闘における民間の労使交渉にも否定的な影響を与え、「賃下げの悪循環」でデフレ不況をさらに悪化させることとなります。また、野田内閣が、消費税 増税で国民に犠牲をせまる突破口として、公務員の賃下げを強行することは国民的にもきわめて重大です。
 以上の点から、下記事項について貴職に要請します。


1、「賃下げ法案」は、すみやかに廃案にすること。
2、公務労働者の賃金・労働条件の決定システムについて、憲法とILO条約・勧告に沿った制度を確立すること。

以上