公務・
公共サービス拡充のための予算確保を
財務省への申し入れには、公
務部会から黒田事務局長、九後(国公労連)・米田(全教)の各事務局次長、中川幹事(自治労連)が参加、財務省側は、大臣官房地方課の吉盛課長補佐、吉田
連絡係長が対応しました。 はじめに、黒田事務局長は、別掲の「要請書」を提出し、「この間、『義務教育費国庫負担金を1200億円
削減』との新聞報道(10/26、日経)などもあり、財務省が地方公務員や独立行政法人の人件費見直しにむけて歳出削減を検討していると伝えられてきた。
賃下げ法案と連動した動きだが、法案はいまだに審議もされておらず、こうしたもとで地方財政削減の検討は認められない」とのべつつ、公務員賃金の10%削
減がGDPを引き下げ、5400億円もの税収減につながると試算した労働総研の資料も手渡しながら、「公務員賃金削減は震災復興にもマイナスだ」と強調し
ました。 参加者からは、「もともと地方の財政基盤が弱いなかで、交付税などを削減すべきでない。義務教育費国庫負担金は、全国的な
教育水準を均等に維持するためのものであり、負担金削減は子どもたちの教育に支障が出ることからも認められない」「中小企業は、公務員賃金が下がれば確実
に賃下げの方向に走る。公務・民間の賃下げでデフレの長期化が避けられなくなる。また、地方公務員給与は地方が自主的に決定すべきであり、国からの圧力は
民主党政権がめざす地域主権改革とも逆行する」「独立行政法人は、自主的に交渉で賃金を決定できる仕組みにはなっているが、実際には国に準拠しているのが
現実だ。運営費交付金は来年度の予算のなかできちんと確保すべき。また、連年の定員削減で、現場ではメンタルヘルスも増えている。公務・公共サービス拡充
にむけた予算増を強く求める」などと要請しました。 これに対して、吉盛課長補佐は、「要請の趣旨はうけたまわった。いただいた資料
をふくめて関係部局に伝えたい」とのべ、最後に黒田事務局長は、「雇用状況が改善しないもと、公務員の賃下げはさらなる雇用悪化を招く。また、来年は本格
的な震災復興の出発点となるが、復興にむけては公務・公共サービスの果たす役割は大きい。そうした観点からの予算編成作業を求める」とのべました。 以 上
【財務省への要請書】
財務大臣 安住 淳 殿 全労連公務部会
2012年度予算の策定にかかわる要請書
国家公務員の給与を平均
7.8%引き下げることなどを内容とした「給与特例法案」は、6月3日に国会提出されて以降、この間の国会でも一度も審議されていません。政府は、公務員
総人件費削減や東日本大震災の復興財源捻出ために給与削減が必要としていますが、公務員の労働基本権が制約されているもとで、その代償措置である人事院勧
告に基づかない一方的な賃金引き下げは憲法違反にほかならず、半年以上にわたって審議もされない法案は廃案にすべきです。 また、東
日本大震災からの復興にあたっては、国や地方自治体の役割と機能が十全に発揮される必要があり、そのためにも、公務員労働者の勤務条件改善や公務・公共
サービス関連予算の拡充をはかるべきであり、公務員総人件費削減の方針は撤回されるべきです。 こうしたなか、国家公務員の賃金引き
下げに連動させて、地方交付税や義務教育費国庫負担金、独立行政法人に対する運営費交付金を削減しようとする動きも伝えられています。
しかし、地方交付税は、「使途の定めのない一般財源であり、国はその交付に当たり、条件を付け、又は使途を制限してはならない」とされていることから、特
定の支出の削減を義務付けることはできないはずです。また、義務教育費国庫負担金制度は、憲法が保障する教育の機会均等の原則にもとづき、地方自治体の財
政力によって子どもたちの教育に格差が生まれることのないように措置されてきたものです。国家公務員の賃下げに連動させて義務教育費国庫負担金を削減する
ことは、政府による地方への一方的な責任転嫁であり、教育と地方自治破壊の何ものでもありません。 独立行政法人は、通則法で「国民
生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること」が目的とされ「業務運営における自主性」が認められていますが、定員確保も含めた業務運営に必要不可欠
な運営交付金を削減することは制度の趣旨・目的に反することとなります。 とりわけ、公務労働者の賃下げは民間賃金や地域経済にも影
響し、結果的には税収減をまねき、震災の復興にとってもマイナスでしかありません。 こうしたことをふまえ、来年度予算の策定にあ
たって、下記事項が実現されるよう要請します。
記
1、国
家公務員の賃金切り下げを前提とした地方交付税、義務教育国庫負担金、運営費交付金の削減をおこなわないこと。
2、
公務・公共サービスの拡充に必要な予算を十全に確保すること。 |