No. 806
    2011年10月7日
勧告の取り扱いめぐって衆参の両議長に申し入れ

= 憲法違反の賃下げ法案の慎重審議 などを求める =

 藤村官房長官が10月5日の記者会見で、「人事院勧告 より給与削減特例法案の成立を優先すべき」などとのべるもと、国公労連・自治労連・全教は7日、衆議院・参議院の両議長に対して、公務員給与にかかわる申 し入れをおこないました。
 政府は、4日に第1回の給与関係閣僚会議を開催していますが、その際も、「勧告制度尊重」とする政府の基 本的立場を確認しつつも、政府として「賃下げ法案」を提出していることから、法案審議を優先させるべきとの意見が出されたと伝えられています。
  人事院勧告が、内閣とともに国会にも提出されたことをふまえて、勧告の内容について十分な議論をおこなうよう申し入れました。


勧告取り扱い議論を棚上げさせず、立法府としてきち んと議論を

  両議院議長の要請では、別添の三単産委員長の連名による「申し入れ書」を両議院事務局に提出しました。申し入れでは、労働組合との合意もなく提出が強行さ れた「給与臨時特例法案」について、国会における慎重な審議を求めています。
 また、3年連続で月例給引き下げとなった「マイナス勧 告」の内容にかかわっては、政府が賃下げ法案を優先させ、勧告の取り扱いの議論を棚上げにしようとねらっているもとで、公務員賃金の社会的影響力からも、 立法府としての幅広い観点からの議論を要請しています。
 衆議院への「申し入れ書」提出にあたって、対応した衆議院事務局の議事部請 願課の担当者は、「みなさんからの申し入れは、確かにうけたまわった。国会としては、関連する総務委員会に『申し入れ書』が提出され、議論されることとな る」とのべました。
 また、参議院では、秘書課の担当者が国会内で対応し、「西岡議長にもご覧いただく」と「申し入れ書」を受け取り ました。

以 上

【衆参議長への申し入れ書】

2011年10月7日

衆 議院議長  横路 孝弘 殿
参議院議長  西岡 武夫 殿

日本国家公務員労働組合連合会
                             中央執行委員長  宮垣  忠
日本自治体労働組合総連合      
中央執行委員長 野村 幸裕
全 日 本 教 職 員 組 合          
中 央執行委員長 北村 佳久

公務員給与にかかわる申し入れ

  人事院は9月30日、国会および内閣に対して、国家公務員一般職の給与改定にかかわって、マイナス0.23%の官民逆較差による高齢層を重点とした月例給 の引き下げ、一時金の据え置き、給与構造見直しにともなう現給保障の廃止などを求めた勧告をおこないました。
 3年連続の月例給の引 き下げに加え、05年の給与構造見直しにともなう給与減額を補うために、現在まで続いてきた経過措置(現給保障)を廃止することは、高齢層を中心とした大 幅な賃下げにつながることなど、問題の多い勧告となっています。
  一方、国会には、国家公務員の給与を3年間にわたって5〜10%引き下げることなどを内容とした給与臨時特例法案が提出されています。法案は、労働基本権 制約の代償措置としての人事院勧告にもとづかないばかりか、国公労連との交渉を政府が一方的に打ち切り、労使合意もなく提出されたものです。
  法案は現在、継続審議となっていますが、公務員の労働基本権を蹂躙する点で憲法違反の疑いも指摘される法律であることからも、法案提出までの経過をふくめ て慎重な審議が必要であると考えます。
 公務員給与をめぐっては、公務・公共サービスを支える公務労働者の処遇改善はもとより、民間 賃金への影響、公務員給与削減が個人消費や景気や税収にも影響を与える側面など、幅広い視点からの議論が国会において求められています。
  以上の点をふまえ、下記事項について貴職に申し入れます。


1、 労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度にもとづかず、労働組合との合意なく国会に提出された給与臨時特例法案について慎重な審議をおこなうこ と。

2、3年連続の「マイナス勧告」となる11年人事院勧告にかかわって、給与引き下げによる国民生活への影響 をはじめ、その問題点について立法府としての幅広い観点から議論をおこなうこと。

以 上