最終回
答にむけて引き続き努力するよう求める
総務省との交渉には、公務
労組連絡会から黒田事務局長、蟹澤・鈴木の各事務局次長が出席し、総務省側は人事・恩給局総務課の遠山課長補佐ほかが対応しました。
はじめに、黒田事務局長は、以下の点を主張しました。 ○ 未曾有の災害発生という状況はあるが、すでに2月に提出した春闘要求に対
して、4月をむかえようとしている現在になっても回答が示されないのは、きわめて異例の事態だ。引き続き、誠意ある回答が示されるよう使用者としての努力
を求める。 ○ マスコミ報道では、震災復興を目的として「国家公務員給与5%カット」が伝えられている。被災地の住民支援、復旧・
復興のために予算が必要なことは理解できるが、その財源を公務員賃金に求めていいのか、十分な議論が必要だ。とりわけ、労働条件の不利益変更となれば、労
使間の話し合いは不可欠だ。その点はあらためて指摘しておく。 ○ 民間大手の春闘回答は軒並みベアゼロとなり、震災で回答が先送り
されている組合も多数ある。公務員をとりまく環境も厳しさが予想されるが、一方では、被災地で家や家族を失った自治体職員はもとより、全国から被災地に赴
いて不眠不休で住民を守るため日夜を分かたず業務する多くの公務労働者が存在する。その奮闘に応えるうえで、使用者として、労働条件の改善にむけて全力を
あげるべきだ。そのためにも、春闘要求に対して誠意を持って回答せよ。
これに対して、遠山課長補佐は、「最終
回答は遅れているが、引き続ききちんとした回答をみなさんに示すため努力したい。震災復興を目的とする公務員給与カットは、政治レベルで急に出てきた話で
あり、見解は持っていない。ただ、指摘があったように、たとえそうしたことがあっても、労使間の十分な話し合いのもとですすめていくことは、この間、片山
大臣も繰り返し申し上げてきたとおりだ。労働条件の改善にむけては、総務省としても努力していきたい」とのべたうえ、現時点の検討状況として、以下のよう
な回答を示しました。 ● 労働基本権回復の要求は、近々公務員制度の「全体像」が推進本部決定されるものと承知している。そのなか
で、自律的労使関係が措置されることとなり、引き続き総務省として注視をしつつ、必要な対応をすすめる。 ● 非常勤職員の労働条件
改善では、期間業務職員制度が新設され、「日々雇用」が改善された。総務省としては、当面、新しい制度の運用がきちんと確保されるよう努めたい。その上
で、引き続く労働条件改善にむけて、みなさんとも話し合っていきたい。 ● 退職手当は、民間支給額の実態調査を来年度から開始する
ため、準備をすすめている。状況に応じて、みなさんの意見を聞きながらすすめていきたいが、現在のところ具体的なものを示すまでになっていない。 ●
労働時間短縮は、超過勤務の縮減を重要課題にして、部下の勤務時間管理を管理職の人事評価の対象にするなどの措置をとってきた。実際に効果もあがってお
り、さらに縮減に努めたい。 ● 定年延長は、人事院が「意見の申出」を検討している。公務員制度改革の検討課題ともなっており、
「意見の申出」が出されれば、総務省としても、関係機関と連携して政府全体として取り組んでいくこととなる。 ● 心の健康に関して
は、今年が国家公務員福利厚生基本計画の5年ごとの見直しの年となる。メンタル不全を起こさないような職場づくりへ、管理職への教育などで充実をはかって
きたが、より対策を拡充させる方向で検討をすすめている。
これらの回答に対して、「自治体職員をはじめ多くの
公務員が、いまこの瞬間にも、被災地で必死に仕事を続けている。その職員の賃金をなぜカットする必要があるのか」「過去の例にない大変な事態であることは
理解できるが、それと公務員給与削減は別の話だ。とりわけ、昨年来、国の財政状況を口実にして公務員総人件費削減をたびたびねらってきた政府の姿勢は認め
られるものではない。それを棚上げにして、震災復興に公務員賃金をあてることは不当であり、まず、ゼロから話し合いができるテーブルづくりに努力すること
は使用者として当然だ」と追及しました。 遠山課長補佐は、「みなさんの意見はうかがった」と回答しました。
最後に黒田事務局長は、「繰り返しになるが、被災地で泥まみれになって奮闘する職員、各地の避難所をはじめ震災にかかわって全国で仕事をしている公務労働
者の努力にどう応えるのかが使用者の責任だ。その立場から真摯な検討を求める」とのべ、交渉を閉じました。
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