「地域主権改革」は「この国のかたち」を変えるねらいがある
宮城公務関連共闘では、政府のすすめる「地域主権改革」問題で毎年、県内各地域でシンポジウムを開催してきました。 今年は、宮城県
内でも日本有数の稲作地帯を抱え、1市6町が合併した人口約14万人の大崎市で「民主党政権のすすめる地域主権改革を考えるつどいinおおさき」を開きま
した。集会開催にあたっては、昨年12月に現地の実行委員会を立ち上げ、宮城県労連・宮城県春闘共闘、大崎地方労連が集会を後援しました。
当日は、地元を中心に50人を超える参加があり、現地実行委員会からのあいさつのあと、全労連公務部会の黒田事務局長が「地域主権改革の現局面とたたかい
の方向」と題して講演しました。講演では、自公政権時代からすすめてきた「地方分権改革」の流れが、民主党政権の「地域主権改革」へと忠実に引き継がれて
いることや、財界の要請にももとづいてすすめられてきた「改革」の目的や背景が明らかにされました。とりわけ、この攻撃が、「地域」を変えることを目的と
したものではなく、憲法改悪も視野にして「この国の形」を変えるねらいを持ったものであり、それだけに国民共同の運動が必要であることが強調されました。
また、「地域主権改革」が各地域ですすむとどうなるのかに触れ、国の出先機関の廃止や道州制の動きが、結果的に福祉や教育などは住民の自己負担とされかね
ないことが指摘されました。 こうした流れに反対して、全国町村会が道州制導入に反対する決議をあげたり、「小さいから輝く自治体」
づくりが全国で広がっていることが紹介され、大崎から、地方切り捨てにつながる「地域主権改革」に反対していく世論づくりをすすめようと呼びかけました。
地元からの発言で「地域主権改革」の実態が明らかに
その後、参加者の発言では、「地域主権改革」によって教育や国の行政、医療の職場でどのようなことがおこっているのかが報告されました。
教育の現場からは、大崎市の教育予算に触れ、国の予算で措置されている教材費が市の予算では長年計上されてこなかった実態が出され、子どもたちの教育条件
改善のために教職員組合が声を上げるなかで、来年度は1500万円の予算がつくことになったと報告されました。 国公の職場からは、
国の道路整備に触れて、宮城県国公の全建労から報告があり、維持管理予算の削減は、管理レベルの引き下げに直結し、地元の建設業の疲弊・倒産につながると
の指摘がありました。また、除雪や災害復旧の緊急工事を行わなければならない時に対応する地元業者がいなくなり、復旧に時間を要して住民生活や経済活動に
支障をきたすことなど、具体的事例がいくつも報告されました。 医療の現場からは、地元の民主病院のケースワーカーをつとめる参加者
から、保険料を払うことができず、国民健康保険の「資格証」を取得せざる得をない若者や40・50代の住民が増えていることが紹介され、宮城県内でも大崎
地域は厳しい生活を強いられている住民が多数いることが明らかになりました。また、自公政権時代にすすめられてきた「介護型療養ベッド」の廃止問題に触
れ、高齢者の医療に対する国家の責任を放棄し、地方や個人に転嫁しよういう計画だとし、「高齢者の行き場のない介護難民を生まないよう国に削減を中止させ
ていかなければいけないし、私たちも地域医療を守る観点でとりくんでいきたい」と決意をこめた発言がありました。
「自分たちの足元から運動をすすめていこう」と確認
参加者の感想文では、「講演は大変参考になった。現在の情勢についてよく理解することができた」「地域主権改革は地域を変えることではなく国家の形を変え
ることである。『地域』への痛みの増加、地域破壊、住民自治破壊、このことをもっと広める必要がある」「憲法の観点から、国の責任放棄を許さないとりくみ
の強化を」などの声が寄せられています。 また、「どの分野も悪政の影響が大きく困難を抱えていることは勉強になりました」「国は国
民の生活を守らなければならない。これは憲法でも証明されている。自民でも民主でも状況が変わらない。国民一人ひとりがたたかって改革を阻止していくべ
き」などの感想もあり、これらの声に示されるように有意義な集まりとなりました。 集会終了後も、地元、大崎労連や国公、教組、医労
連をはじめ、年金者組合、民商の参加者のみなさんも会場に残って、アルコールもまじえながらの交流会でさらに団結を深め合い、このつどいを契機に普段の交
流を大切にしながら、自分たちの足元から運動をすすめていこうと確認しあいました。 |