公務・公共サービス拡充にむけた運動を熱く討論
全労連公務部会の総会は、議長に国公労連の阿部春枝副委員長と全教の杉浦洋一副委員長を選出、主催者あいさつにたった山口代表委員(全教委員長)は、「ど
のような政権であろうと、国民の願いにそむく政権には国民の厳しい審判が下る。この流れに重なってこそ私たちの運動も前進すると確信する」とあいさつしま
した。 来賓として全労連・大黒作治議長、全労連民間部会・三木陵一幹事(JMIU書記長)、日本共産党・山下芳生参議院議員が出席
し、それぞれ激励・連帯のあいさつをしました。 議事では、@2010年度運動方針案、A2009年度決算・2010年度予算案、
B2010年度役員体制案が提案され、討論では13名(単産9人・地方4人)から発言があり、黒田事務局長の討論のまとめの後、すべての議案が満場の拍手
で採決されました。 その後「総会宣言」(別添)を満場の拍手で採択。最後に、野村代表委員(自治労連委員長)による閉会のあいさつ
と団結ガンバローの三唱で、公務大産別の2010年度の運動を意気高くスタートしました。 討論での発言(要約)
宮崎県国公 工藤 哲三議長
口蹄疫被害の現状と地域経済の復興にむけて 宮崎の口蹄疫の問題では県民ネットワークを通じて全国から支援をいただいた。非常事態宣
言は非常に重く、居酒屋やパチンコ店にもマットが敷かれて、母親大会や平和行進も中止になり大変不便をかけた。 責任は当初の政治判
断の遅れにあり、政治の無責任さにある。口蹄疫は川南町で発生したが初動の遅れが広がりの原因である。また人件費の削減や市町村に温度差がありうまくいか
なかった。行政のあり方が問われている。宮崎県内で食い止め外に出なかったことがせめてもの救いだ。非常事態宣言は解禁されたが畜産農家の7割は続けたい
と思っている。出荷までには2〜3年かかって育てる。再生の保障がないという不安を抱ええての再出発になるが、何とかしてあげたいという人と人との暖かさ
に感謝するとともに、政治的解決に向けて頑張る決意だ。
兵庫県公務共闘 熊澤 哲也事務局長
兵庫の取り組みについて 6月20日に「地域主権シンポジウム」を開催し、各職場の現状と問題点を報告し、民間・民主団体にアンケー
トもとり、どの程度知っているか聞いてみた。各パネラーがそれに応えたのだが、その結果民間の方からは、分からない、伝わってこないとの厳しい意見をも
らった。継続して開催していきたい。兵庫県労連とも共同しながら進めていかなければならないと総括している。 高校生の就職問題につ
いても7月に2回教組と労働局への要請申し入れをおこなった。地域公務共闘の一員としてさらにがんばっていきたい。
特殊法人労連 小林 良史幹事
人気取りの事業仕分けに断固反対する 消費税3%→5%のときに特殊法人の民営化が行われ、今回も消費税増税の議論とあわせるかのよ
うにねらわれている。政府は22法人を民営化して今後公務のリストラ、国家公務員定数削減など国民の生活に犠牲が押し付けられようとしている。
国民生活を支えるUR住宅の解体、水資源開発機構のダム建設中止、民事法務協会労組の市場化テストで700人が職場をさることになった。6月に支援共闘会
議が結成されたが、今後も入札が予定されている。行政機構の廃止については自由法曹団のまとめた意見書を活用しながら国民と利用者とともに公務・公共サー
ビス拡充にむけて全力をあげる。
大
阪公務共闘 中町 裕一事務局次長 大阪での通年の取り組みについて 大阪公務共闘
では毎月幹事会を開きながら、人勧期・確定闘争・春闘と通年でたたかいをすすめている。昨年、最悪の人勧ではすべての民間労組によびかけ、官民共同でたた
かった。国追随の人事委員会勧告のなか、住宅手当については削減を阻止するなど成果をあげた。 春闘時には非正規の処遇改善に力を入
れた。賃金・労働条件改善のために共同し、確定期から取り組んできた要求をつみあげ、「何でも相談会」は定例化して行うようになり、会場のダイエーが看板
を準備してくれるまで定着化した。 人勧期闘争では要求書提出、交流集会、最賃への意見書提出、ハンガーストライキなどにも取り組ん
でいる。自治労連では大阪府下でアンケートにとりくんでいる。地域に出て行き、激励も含めて差し入れがくる。目標の5,000枚を達成する見込み。地域は
われわれ自身が打ってでれば共感が得られる。
全厚生闘争団を支える会 国枝 教幸
厚生労働省の首切り許さず不当解雇撤回を 社会保険庁の職員の525人の首切りは許さない人事院に39人が不服申請をおこなったが、
審議が遅れており2011年と先に伸びそうだ。7月23日京都の15人が京都地裁に提訴した。順次協議をすすめていくが絶対に許せない立場で訴えていかな
ければならない。 わたしは2009年6月にどこにもいけないことがわかり、12月には首を切られた。民間の就先斡旋もないままに解
雇された。政府の責任はどこに行ったのか。 一生懸命仕事をし、職員が一丸となって年金記録再整理の作業をしてきたのに許せない。多
くの人々に大きく広く本質を訴えていきたい。そしてなにより現場に戻って働きたい。支援・協力をよろしくお願いする。
郵産労 上平 光男中央執行委員
郵産労の秋から春の運動について 昨年の大会以降職場の実態アンケート調査を行いながら方針を決めてきた。“変化をチャンスに”を合
い言葉に「郵政民営化見直しにむけたQ&A」を作成し6回の国会行動、政府からのヒアリングで考え方を主張してきた。 亀井大臣の発
言で46万人の社員の中で、10万人の正社員化が浮上してきた。5月〜6月にかけて全労連とともに全国キャラバンを行い、組織も前進した。
非正規社員の正社員化と均等待遇の実現とともに求めて200万円以下の労働者をなくすため、正社員化などを求め、郵政改革関連法案の見直しに対し政策を提
示しながら、金融のユニバーサルサービスを守るため、公務・公共サービス拡充のために頑張る。
国公労連・全建労 恵藤 英昭委員長
「地域主権改革」の本質・狙いについて 全建労の職場は真っ先に廃止するといわれ、最大のターゲットにされている。不安が先にたち足
を出せない状況に追い込まれている。 地域主権改革関連法案は中身がなく、全国知事会などに拒否権を与え、首長の権限を強くするもの
で、地域主権の名による規制緩和であり、本質を見極めることが大事だ。 公務員の評価は国民がする。国公総対話マップで運動をひろげ
ていく。
国公労連 上田 宗一中央執行委員
非常勤職員の制度にかかわって 非常勤職員の処遇改善に関わっては、この間、不十分ではあるが「指針」などにより休暇、健診をふくめ
て一定前進してきた。今回、人事院から日々雇用の廃止とあわせて雇用の「3年上限」などが当初示されたが、公務・民間一体の「雇い止めするな」の声によ
り、規則への明示をやめさせ、公募の例外規定、再応募も可、雇用中断期間をなくさせることができた。これは我々が声を上げ運動を広げた結果だ。 56
歳以上の賃金削減は、公務と民間の働き方の違いをまったく無視したものであり、定率カットは処分に値する。データも示されず不誠実団交、不当労働行為だ。
人事院は公務員総人件費削減の先頭に立っている。はね返すたたかいをともにがんばろう。
自治労連 山口毅副委員長
政治を動かし「ワーキングプア」をなくそう たたかいの柱となる憲法を生かし、住民とともにいのちと暮らしを守る共同行動を全面的に
支持する。 いま「官製ワーキングプア」といわれているが、民間も含めた「ワーキングプア」をなくす運動が大事。生活保護の申請や最
賃程度で14時間近く働いている状況が見られ、最低賃金の引き上げは重要課題だ。大いに官民共同で推進し現状打開していくことが大事だ。「有期雇用」その
ものをなくす運動で広げていきたい。3分の1以上の地方議会での請願採択をめざし、政府を動かしていこう。 自治労連は8月の定期大
会で「いっせい雇い止めを阻止しよう!雇用の安定と均等待遇実現で、より良い住民サービスめざす『誇りと怒り』大運動」を提起する。非正規労働者の誇りと
怒りの大運動として大集会も開きたい。全労連へも要請する。 茨城県の茂木町での学校用務員は、偽装請負で直雇用を勝ち取った。とも
に民主的な職場づくりをめざそう。 全
教 吉田 正美書記次長 臨時非常勤職員の処遇改善について 臨時教職員の問題を重
視し、3月には討議資料を作成し6月にはビラ・機関紙で取り上げ、月刊「クレスコ」では“なぜふえる臨時教職員”の特集も組んだ。秋には地方確定闘争とあ
わせて中央行動、12月にはシンポジウムを開く予定だ。このように集中的に全教全体として取り組むのは初めてであり、マスコミも注目している。人件費の抑
制は生徒にツケが回り、教育に穴があく事態が広がっている。 臨時・教職員が安心して働き続けられ、子どもたちに行き届いた教育が受
けられるようにしたい。 問題は安上がりの教育であり、解決するには正規の教員の配置を増やしていくしかない。「3,000万筆教育
全国署名」の流れを広げ文科省あての「みんなの笑顔署名」100,149筆を提出することができた。この秋も教育全国署名など秋闘争で前進させたい。
全教 北村 佳久書記長
公務・公共サービス拡充と労働基本権の確立について いま教員は、長時間過密労働でギリギリで働いており、いのちと健康が脅かされて
いる。教員の仕事へのモチベーションを高め、父母・国民の信頼に応えるためにも労働基本権の回復は必要。PTAなどから教員の増員を求める声が高まってお
り、父母・国民との共同がさらに求められている。公務公共サービス拡充のため全国でたたかう。
北海道公務共闘 上川 明保事務局長
雇用・賃金・組合のあり方について 北海道の高校生の就職内定率は80%と過去2番目に悪くなっており6人に1人は就職できない。
63%の地域もある。就職に関わって道に要請に行ったが、道は政府の問題として責任逃れしている。 北海道では寒冷地手当が年間13
万円支給されている。これは非正規労働者には出ない。高齢世帯の福祉灯油などとあわせて、この問題についてあらゆる人たち、官民の共同で取り組める課題と
なっている。 北海道の教育委員会は組合活動の調査を行った。ものをいわない職員をつくり、憲法改正へとつながるものだ。政党、資本
からの独立を大事に、無関心層をいかにとりこむか、多くの労働者と連帯し、励ましあいながら運動をやっていきたい。
日高校 坂本 次男副委員長
高校生の就職問題について 日高教では子どもたちの就職と就学問題について力を入れており、高校生の就職保障を求め、各地で自治体要
請を行っているが、年々変化が見られる。昨年は九州、今年は四国と全国に広がっている。卒業したけど失業者、就職したけど派遣労働、自己責任に追い込まれ
ていく子どもたちに明るい未来をつくっていきたい。7月27日から北海道・東北ブロックで就職キャラバンをおこなっている。 子ども
たちをめぐる格差と貧困について、家庭の経済的な格差が教育の格差に直結している。2〜3割が生活保護世帯で半数が片親となっている。またその子が成長し
て同じ道をたどることになる。定時制の授業料減免にも取り組んでいく。ねらわれている特定扶養控除の廃止は絶対に阻止しないといけない。
■討論のまとめ・黒田事務局長 社保庁職員の分限免職は、すべての公務労働者にかか
わる課題として、解雇撤回にむけて公務部会全体で支援を強める。秋年闘争にかかわっては、職場から賃金確定闘争を前進させるとともに、11月18日に中央
行動を配置し、民主団体・民医連・農民連にも呼びかけて成功させたい。 また、当面するたたかいとして、マイナス
勧告と55歳以上の賃金削減の阻止に全力をあげる決意を固め合いたい。大企業中心社会からの転換を運動の柱にすえ、労働基本権回復のたたかいでは、学習・
討議をすすめながら、権利回復を求める国会請願署名にとりくみ、公務・公共サービス拡充のたたかいと一体での運動をよびかける。
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全労連公務部会2010年度役員体制
役
職 氏 名 新・再 出身単産・役職 代表委員 山口 隆 再
全教中央執行委員長 代表委員 野村 幸裕 再 自治労連中央執行委員長 代表委員
宮垣 忠 再 国公労連中央執行委員長 代表委員 岩井 孝 再 特殊法人労連議長 代
表委員 廣岡 元穂 新 郵産労中央執行委員長 事務局長(専従) 黒田 健司
再 国公労連中央執行委員 事務局次長 松本 英雄 再 自治労連中央執行委員 事務局次長
蟹澤 昭三 再 全教中央執行委員 事務局次長 秋山 正臣 再 国公労連書記次長 幹
事 中川 悟
再 自治労連書記次長 幹
事 水谷 文 再 自治労連中央執行委員 幹 事
木原 秀子 再 全教中央執行委員 幹 事 米田 雅幸
新 全教中央執行委員 幹 事 門田 敏彦 再 国公労連中央執行委員 幹
事 堤 和馬 再 特殊法人労連副議長 幹 事
兼子 隆 新 郵産労中央執行委員 会計監査 續 修二
再 郵産労中央執行委員
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総会宣言
消費税増税を最大の争点としてたたかわれた7月の参議院選挙では、民主党は議席を大幅に減らし、連立与党が参議院で過半数を割る結果となった。
これは、大企業減税と引き替えの消費税の引き上げを選挙公約にしたことへの国民の厳しい審判であるとともに、普天間基地をめぐる「日米合意」の強行や「政
治とカネ」の問題、さらには、後期高齢者医療制度廃止の先送りなど、政権交代に込められた国民の期待と願いを裏切り続けてきた民主党政権を、国民の怒りが
包囲した結果である。 総会では、消費税増税を断固阻止するとともに、大企業中心の社会を転換し、暮らしや福祉、平和など切実な願い
の実現にむけて全力をあげる決意を固め合った。 経済状況を見ると、完全失業率は依然として5%を超えるなか、消費拡大による景気回
復が強く求められている。今年の人事院勧告をめぐっても、「賃上げでこそ景気回復を」と単なる「民間準拠」にとどまらない公務員賃金の改善を求めてきた
が、人事院は、民間の春闘結果や昨年冬の一時金の落ち込みを口実に、「マイナス勧告」さえもねらう重大な局面をむかえている。さらに人事院は、56歳以上
の職員の賃金を一律に引き下げる理不尽な給与制度改悪を持ち出し、職場からは急速に怒りの声がひろがるもとでも、あくまで賃下げに固執している。政府の総
人件費抑制政策にも追随・迎合する賃下げ攻撃に対して、最後まで一歩も引かずねばり強くたたかい、総力をあげて跳ね返していく必要がある。
菅政権は、「新しい公共」や「地域主権改革」の名のもとで、ナショナルミニマム保障の国の責任を放棄し、公務・公共サービスのいっそうの市場化・営利企業
化をすすめようとしている。これらは、公務・公共サービスの質の低下と、ワーキングプアをさらに拡大するものであり、とりわけ、民主党、自民党、みんなの
党などが、こぞって国民のいのちや暮らしにかかわる歳出の抑制、公務員総人件費削減や公務員制度改悪を競い合っていることはきわめて重大である。
総会では、このような「構造改革」への回帰をめざす流れに反対して、国民的な共同を飛躍的にひろげる必要性を確認し、この1年間、職場・地域からのさまざ
まな行動を通して、公務労働者の労働基本権回復のたたかいと一体で、公務・公共サービス拡充に全力をあげてたたかう方針を確立した。
人事院勧告とともに、最低賃金審議会の目安額答申が目前に迫っている。「人勧・最賃」を一体にしたたたかいを急速に強化しつつ、そのエネルギーを土台にし
て、秋季年末闘争、11国民春闘の勝利へと発展させていく必要がある。 公務・民間、正規・非正規を問わず、すべての労働者の賃金の
大幅引き上げ、住民のいのちと暮らし、教育を守り、拡充させるため公務労働者の力を発揮しよう。新しい政治局面を攻勢的な運動で前にすすめ、公務破壊の攻
撃をはね返そう。憲法を生かし、国民・住民とともにたたかう公務労働運動の発展へ仲間たちの奮闘を呼びかける。
2010
年7月29日
公務部会第5回・公務労組連絡会第39回定期総会
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