No. 753
2010年5月20日
公務員制度改革関連法案が参議院で審議入り

= 国会会期末(6/16)にむけて与党は審議を加速 =

 5月13日に衆議院を通過した国家公務員法改正法案など公務員制度改革関連法案は、5月19日の本会議で趣旨説明され、翌20日から内閣委員会での審議が始まりました。
 6月16日の通常国会の会期末まで1か月を切るなかで、政府・与党は、公務員制度改革関連法や労働者派遣法改正法、郵政改革関連法など重要法案の今国会での成立を確認しています。
 その一方で、民主党は、参議院選挙の日程との関係で、国会会期を延長しない方向を固めたと伝えられており、国会最終盤にむけて、「数の力」を使った強行も予想されます。
 こうしたもとではじまった参議院の公務員制度改革関連法案の質疑も、予断を許さない状況が続いています。

「目の子で2割くらいは削減が必要」と場当たり的答弁に終始

 19日の参議院本会議では、自民党が衆議院で否決された改正法案を参議院に再提出したことから、政府法案とともに2つの法案が趣旨説明されました。
 趣旨説明後の質疑では、姫井由美子(民主)、岩城光英(自民)、山下栄一(公明)の各議員が各党を代表して質問しました。
 また、翌20日午前10時から開かれた内閣委員会では、金子恵美・行田邦子(民主)、泉信也・古川俊治(自民)、山本香苗(公明)、小池正勝(改革)、糸数慶子(無所属)の各議員が質問に立ちました。
  質疑では、衆議院と同様に、公務員総人件費削減にかかわるやりとりがつづきました。自民党の古川議員は、欧米の主要各国とくらべても、人口千人あたりの公 務員数が日本はいちじるしく少ないという実態を明らかにしたうえ、「日本はOECD諸国中で公務員数は最低だ。なのに、なぜいま公務員の数を削減しなけれ ばならないのか。それで、行政サービスが十二分に行き届くのか」と追及しました。
 これに対して、仙谷公務員制度改革担当大臣は、「この10年間 で国民の可処分所得は、年収で約100万円落ちている。絶対的ではないが、公務員の給与もそれにあわせて落とさなければならない」などとして、「下方平準 化」が必要だと主張しました。古川議員が、「給与は民間レベルでもいいが、国際的にも少ない公務員を削減して、諸外国と同じような行政サービスが十分行き わたるのか」とせまりましたが、仙谷大臣は、「これ以上、根こそぎはぎ取っていくと、行政サービスや治安の問題で大変なことが起こってくる可能性があると は思っている」などと、まるで他人事のように答弁しました。
 これに対して、古川議員が、「民主党は公務員2割削減をマニフェストにかかげている が、2割という数字の根拠を示せ」とせまると、階(しな)総務大臣政務官は、「はじめは1割削減だったが、マニフェストを見直す途中で数字が2割に変わっ てきた」とのべ、仙谷大臣も「所得が2割下がっているから、目の子で(大まかに数えて)2割くらいが今の水準ではないか。あるいは、地方分権をすすめれば 2割くらいのムダは出る」などと、政府側は、驚くほど場当たり的な答弁に終始しました。

「地方自治体は交渉で賃下げしている」と「実例」あげて主張

 衆議院では、公務員に協約締結権を「付与」して、労使交渉を通して給与を引き下げるとの考え方が、仙谷大臣から繰り返し主張されました。
  このことにかかわって、古川議員が「労使交渉すれば、人件費が上がることも考えられる。それを削減の根拠とするのはどういう考えがあるのか」と質すと、仙 谷大臣は、「地方財政の悪化などで、給与引き下げを首長が提案し、非常に真摯な団体交渉を繰り返して、労働組合の理解のもとに給与削減が実現している」な どとのべ、地方自治体で人事委員会勧告を無視した独自の給与カットが強行されていることを「実例」にあげて、あくまでも「労使交渉による賃下げ」に固執し ました。

以 上