年収が300万円減っても構わない、国会議員なら落選すればゼロだ
12日の内閣委員会では、
高木美智代(公明)、小渕優子・平井たくや・小泉進次郎(自民)、塩川鉄也(共産)、浅尾慶一郎(みんな)の各議員が質問に立ちました。
質疑に先立ち、高木議員から、公明党の修正案が趣旨説明されました。修正案は、1)幹部職員人事の公正性を担保するため、職制上の段階の見なし規定を削除
する、2)適格性審査および幹部候補者名簿にかかわる政令は、人事院の意見を聞いてさだめる、3)官民人材登用・再就職適正化センターは設置しない、4)
早期退職勧奨制度を禁止し、再就職あっせん規制の実効性を高めるため、罰則規定を設けることなどを内容としています。 また、これら
に加えて、国家公務員の総人件費を抑制するため、給与法改正など必要な法制上の措置を講ずるとしています。 各党質疑では、自民党の
小渕議員は、事務次官から部長級への降任にかかわって、「国公法の基本である身分保障の考え方とは相いれないのではないか?」と指摘し、人事院に意見を求
めました。江利川人事院総裁は、「新しい法律のうえでは転任であり、降任にはあたらないが、下位の官職に転任させる場合には、異動の合理性や納得性を高め
る必要がある」との考え方をのべました。 小渕議員が、人事院に不服申し立てをした場合はどうなるのかと質すと、江利川総裁は、「公
務員の身分保障から、国公法は、本人の意に反した降任や免職はできないとしており、本人が著しく不利益な処分を受けたと思う場合には、不服申し立ては可能
だ」との見解が示されました。 これらのやりとりに対して、仙谷公務員制度改革担当大臣は、「年収で200万円、300万円減っても
やむを得ない。国会議員ならば、落選すればたちまちゼロになる。アメリカでは、政権が変われば数千人の公務員がやめていく」「日本の公務員の世界も、そう
いうものになっていただきたい。文化が変わってもらいたい」などと、公務員ならば降給や降任されても文句を言うなとばかりの乱暴な答弁を繰り返しました。
分限免職を前提にする「適正化センター」設置は認められない
公明党の高木議員は、公務
員の高年齢層の給与や退職手当を民間にあわせて引き下げるべきと主張し、これに対して階総務大臣政務官が、「退職手当は、これから精査すべき課題ではある
と思う」とのべ、平野官房長官も、「給与体系の見直しは、公務員制度の抜本改革のなかで検討する」と応じました。 さらに、「労働基
本権を回復すれば給与削減できると答弁してきたが、総人件費削減について、労働組合側からの内諾や感触を得ているのか?」と高木議員が質すと、仙谷大臣
は、「労働組合と賃下げを話し合えるような段階ではない。交渉すれば2割削減できるなどと安易なことを申し上げたつもりはない」と否定しました。また、組
織率の低い労働組合との交渉問題に質問がおよぶと、平野官房長官が、「組織率が低い組合との交渉が全体の代弁と言えるのかどうか、しっかりと受けとめなが
ら対応していく」などとのべ、少数組合を排除するかの答弁も示されました。 共産党の塩川議員は、分限免職の際の再就職先あっせんを
再就職適正化センターに委任していることに対して、「国の出先機関の地方への移管にともなう場合の分限免職も想定しているのではないか」と追及しました。
仙谷大臣は、「現在、国の出先機関のどの機能や職務を地方に移管するか調整がすすめられている。その結果いかんでは、指摘されたような事態がまったくない
とは言い切れない」と答弁したことから、塩川議員は、「まったくないという答弁はきわめて重大だ。地方移管の受け皿となる全国知事会が、組織・定員のスリ
ム化など公務リストラを要求しているときに、こうした規定が法律に盛り込まれていること自体がきわめて重大であり、撤回を求める」と厳しくせまりました。
内閣委員長の解任決議を提出して強行採決に抗議
その後も各党議員による質疑が続き、自民党の小泉議員の質問の最中に田中内閣委員長(民主党)が、「予定の質問時間がすでに経過した」として発言をさえぎ
ると、突然、質疑終局を宣言、採決に入りました。 この採決強行に対して、野党議員が委員長席に詰め寄り、質問の続行を求めて激しい
抗議をつづけましたが、田中委員長が政府法案の「賛成多数」を宣言、一方で、自民党案と公明党の修正案を否決し、ヤジと怒声に包まれるなかで委員会が散会
しました。 翌日の13日午後に開かれた本会議では、こうした強行採決に抗議した野党各党が「委員長解任決議」を提出して
対抗しましたが、記名投票では、民主・社民・国民新の反対多数で決議は否決されました。 これを受けて、公務員制度改革関連法案の採
決がおこなわれ、政府法案は、民主・社民・国民新の賛成多数で可決しました。 |