No. 741 
2010年3月3日
賃上げ、 非常勤職員の労働条件改善などを求める

= 春闘要求をめぐり総務省・人事院と中間交渉 =

  春闘ヤマ場の「3・4中央行動」を前に、公務労組連絡会は3日、統一要求をめぐって総務省・人事院と交渉しました。
 交渉では、不況 打開にむけた公務員賃金の積極的な改善、臨時・非常勤職員の雇用や労働条件の改善、パワハラやメンタル不全対策などの前進を強く求めました。
  これに対して、「人事院勧告制度の尊重」(総務省)、「民間賃金の精確な把握」(人事院)とする従来通りの回答をのべるにとどまりました。
  公務労組連絡会は、引き続き交渉を積み重ね、3月23日頃に春闘期における最終交渉を配置し、政府・人事院からの誠意ある回答をせまっていきます。

非常勤職員の「日々雇用」の見直しへ検討をすすめ る

 総務省との交渉には、公務労組連 絡会から野村副議長を先頭に、黒田事務局長、蟹澤・松本の各事務局次長、木原・門田の各幹事が出席、総務省側は、人事・恩給局総務課の竹中総括課長補佐、 遠山課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、野村副議長は、「大企業を中心に業績の改善はあるが、政府がデフレを宣言したように、 消費は低迷している。賃上げで消費を拡大して不況打開をはかるため、政府として、公務員賃金の積極的な改善を求める」として、2月に提出した統一要求に対 する現段階での検討状況をただしました。
 竹中総括課長補佐は、「中間的な検討状況」として以下のように回答しました。
●  公務員給与の決定にあたっては、社会一般の情勢適応の原則がある。官民の賃金格差を調査し、その結果として人事院勧告が出される。総務省としては、人事 院勧告を尊重することが基本姿勢だ。給与決定の過程では、みなさんの意見もうかがいつつ、政務三役とも相談していく。
● 非常勤職員 は、2年前に給与に関する指針が人事院から示された。これをふまえて改善に努力していく。また、日々雇用などの勤務形態の見直しについて、昨年の人事院勧 告の報告でその必要性が示された。総務省として、関係機関と協力して検討作業をすすめる。
● 労働基本権回復は、公務員制度改革の重 要課題として推進本部が検討をすすめているが、総務省としても積極的に関与し、協力をはかりたい。
● 労働時間の短縮については、一 昨年に改正された「国家公務員の労働時間短縮対策」にもとづき、超過勤務の縮減や年次休暇の計画的使用の促進に努める。とりわけ管理者の意識を変える必要 もあり、政府をあげてとりくむ課題だ。
● その他の要求についても、各担当で検討しているところだ。いただいた要求は真摯に受けと め、引き続き検討をすすめていきたい。

 これに対して黒田事務局長は、以下の点を指摘し、さらなる検討を求めま した。
○ 景気回復が政府としての重要課題になっているなか、賃上げでこそ景気回復をとの声に、総務省がどう応えていくのかが問われ ている。その点で、これまでと同じ「人事院勧告の尊重」とする回答が示されたことは不満だ。
○ 所定勤務時間は短縮されたが、依然と して異常な超過勤務の実態は改善されない。さまざまな対策はとられているが、それが改善につながっていると感じられない。実効ある対策を求める。
○  公務員制度改革の課題として、65歳までの定年延長が検討されている。年金給付が65歳に延長されるなかで重要な問題だが、定年延長には職場でさまざま な意見もあり、今後、労働組合との話し合いにもとづいた制度化を求める。
○ 非常勤職員では、本年度を目途にその性格に応じた適切な 任期と再任ルールを検討するとしている。春闘回答では、その具体化の方向を明確に示してもらいたい。

 交渉参加 者は、「地方公務員の賃金は、『制度は国準拠、水準は地場準拠』とする総務省の圧力のもとで、地域間に格差を生み出し、地域経済が疲弊している。民間から も公務員賃金引き下げに反対する声が出ている。生計費を原則にして、地域間の格差を解消すべき」「正規職員が減り、非正規職員が増えている。非常勤職員 は、正規職員と同じ仕事をしており、公務・公共サービスの質を確保するうえでも均等待遇を求める」「国よりも優れた制度は見直せという総務省の圧力があ り、生理休暇が病休になるなど休暇制度の切り下げが強行されてきている。地方への『技術的助言』に名を借りた地方への圧力について、撤回・廃止するとの原 口大臣の国会答弁をふまえて改善せよ」などと追及しました。

 竹中総括課長補佐は、「定年延長は、雇用と年金の 結合にむけて、政府をあげてとりくむべき重要課題だ。また、民主党のマニフェストでも、公務員が定年まで働くことのできる職場の確立を公約している。みな さんの意見も聞きながら、政府として真摯に検討をすすめる」と回答し、最後に、野村副議長が、「本日は中間的な回答としてうかがった。公務・公共サービス の切り捨てや公務員制度改革がすすむなかで、働きがいを持って仕事ができる職場環境を作ることが使用者としての総務省の役割だ。要求の実現にむけて引き続 き誠意ある検討を求める」とのべて、交渉を閉じました。

経済情勢の厳しさのみ強調し、「民間準拠」に固執

  人事院との交渉では、給与局給与第1課の近藤課長補佐、職員福祉局職員福祉課の柳田課長補佐が対応しました。
 野村副議長は、「昨年 の勧告は、史上最大規模の年収減となった。また、昨年5月には、異例の一時金引き下げの臨時勧告まで強行された。職員の生活は悪化し、将来への不安がひろ がっており、今年こそ賃上げをという切実な願いを多くの組合員が持っている。とりわけ年々増加している臨時・非常勤職員をふくめて、すべての公務労働者の 賃金改善を強く求める」とのべ、人事院の検討状況をただしました。
 人事院側からは次のような回答が示されました。
●  日本経済は、持ち直してはきているが、失業率が高く、雇用情勢も厳しい。民間の賃金動向では、労働側はベア要求見送りが多く、経営側も定期昇給の抑制・ 凍結など厳しい状況だ。3月中旬以降に回答日をむかえることから、その動向に注目していく。
● 公務員給与水準は情勢適応の原則によ り、4月時点で官民の給与水準を比較したうえで決める。その過程では、各方面の意見をふまえて対応していく。みなさんとも意見交換していきたい。
●  定年延長は、昨年の勧告時の報告をふまえて、10年度中の意見の申出にむけて検討しているところだ。60歳前の給与カーブや昇給制度のあり方の見直しな どが検討課題となる。
● 超過勤務の縮減は、不必要な在庁時間の削減などが課題だ。また、育児休業では、法律改正にともなって、関係 規則の整備にむけて検討をすすめている。
● パワハラ防止にむけて、今年1月に各省に事例を示した「通知」を発出した。今後とも、社 会動向を見極めて対応していきたい。
● 非常勤職員問題については、雇用形態の見直しにむけて関係府省と検討している。休暇制度の改 善にむけては、民間の動向を注視していきたい。

 この回答に対して、黒田事務局長は以下の点を指摘しました。
○  民間準拠の考え方は極めて不満だ。それにとどまらない改善を求める。とくに、この1年間で民間の大卒初任給は196,280円から197,440円へ、 高卒は157,429円から158,558円へと上がっているが、公務員は2年連続で据え置きだ。官民の格差は広がる一方だ。積極的な賃金改善を強く求め る。
○ 長時間・過密労働は健康破壊にも結びついており、行政組織全体にとってもマイナスであり、勤務時間の管理強化にむけて人事院 として真剣な検討を求める。
○ 定年延長は、給与制度にもかかわる問題であり、労働組合との十分な交渉・協議は不可欠だ。第三者機関 である人事院として、職員の利益擁護を基本にして検討を求める。
○ 非常勤職員にかかわって、常勤職員と同じ職場で同様の仕事をして いることをふまえて、給与をはじめ、労働条件は均等待遇を原則にした対応を求める。

 交渉参加者からは、「公務 員賃金の引き下げは、経済への影響が大きい。民間準拠ではなく、あくまでも生計費を原則として賃金の改善を求める」「職場で実施したアンケートでは、 12.8%が何らかのパワハラをうけているとの結果が出た。そのなかで、人事院のパンフレットや各省への通知は、一歩前進と言える。しかし、まだまだひど い実態もあり、パワハラでメンタル不全になり、休職に追いやられる人もいる。自治体などではすすんでいるパワハラ指針の策定や罰則規定などを強く求める」 などの要求が示されました。

 これをうけて、人事院側は、「公務員給与は、情勢適応の原則がある。民間準拠にも とづいた勧告を出す必要があることは理解いただきたい。生計費原則の指摘があったが、民間賃金には、生計費も考慮されており、それに準拠することで生計費 原則の考え方もふまえられている。初任給は、民間との均衡も必要だが、給与体系のバランスもある。また、昨年の民調では8割が初任給改定を見送っている」 などと回答するにとどまりました。
 その他の要求では、「定年延長では、指摘があったようにみなさんの意見をうかがいながら検討をす すめる。パワハラ対策は、1月に出した通知にそって、各省に徹底をはかっていきたい」と回答しました。
 最後に、野村副議長は、「人 事院からは、民間賃金の厳しい動向がさまざまのべられたが、マイナス勧告は、公務関連労働者はもとより、民間賃金にも悪影響をおよぼす。『民間準拠』にと どまらない改善をあらためて強調する。人事院勧告が、労働基本権制約の『代償措置』であることをふまえて、公務員の生活改善にむけた積極的な賃金改善を求 める」とのべ交渉を終えました。

以 上