「民間準拠」や「国準拠」にとどまらない賃金改善を求める
全人連への申し入れには、公務労組連絡会からは、野村副議長(自治労連委員長)、黒田事務局長、全教から杉浦副委員長、蟹沢中執、自治労連から柴田副委員
長、鈴木中執が出席しました。 全人連は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、中澤(北海道)、石附(宮城県)、宮崎(横
浜市)、佐川(茨城県)、高田(愛知県)、吉村(大阪府)、佐古(広島県)、木村(愛媛県)、常盤(福岡県)の各人事委員会代表ほかが出席しました。
はじめに、野村副議長が別添の「要請書」を関谷会長に手交し、昨年、公務員給与が過去最大規模の減収となり、地方自治体では独自の賃金カットもおこなわれ
るなど、公務員をめぐる状況の厳しさを示しながら、「公務員の給与が下がれば、民間賃金や地域経済にも影響し、不況をいっそう深刻にさせる。労働者の賃上
げでこそ、景気回復、地域活性化が実現できる」として、人事委員会勧告にあたって、「民間準拠」や「国準拠」にとどまらない積極的な検討を強く求めまし
た。 自治労連の柴田副委員長は、最低賃金ギリギリの賃金に加え、身分も不安定な臨時・非常勤職員が、懸命に仕事に向き合っている実
態を明らかにしつつ、賃金・労働条件の早急な改善を求めました。また、高齢者の雇用対策にかかわって、国と地方では雇用実態も違うなかで、自治体独自の対
策の重要性を主張しました。 全教の杉浦副委員長は、教職員が月40時間にのぼる超過勤務を強いられながら、2年連続で義務教育等教
員特別手当が削減されており、専門性を持つ教職員など人材確保の面からも、勤務実態に応じた給与改善を求めました。
公務員賃金の適正な水準確保へ全人連の使命を果たす
これに対して、関谷会長からは、次のような回答が示されました。 (全人連会長回答) ただいまの皆様からの要請
につきましては、確かに承った。さっそく役員府県市を通じて、全国の人事委員会に伝える。 去る1月20日に発表された月例経済報告
において、政府は、景気の基調判断を「持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」とし、先行きについ
ても、「雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある」とし、警戒感を示
している。 また、民間賃金の状況については、2月2日に発表された「毎月勤労統計調査」において、09年の労働者一人当たりの現金
給与総額は、前年から3.9%と大幅に減少している。その要因として、残業代などの所定外給与やボーナスなど特別に支払われた給与が大幅に減少しているこ
とが報告されており、依然として厳しい状況にあることがうかがえる。 このような厳しい情勢の中、本年の春季労使交渉においては、
「賃金カーブの維持」や「定期昇給制度のあり方」が焦点となるものと見られ、その行方が注目されるところです。 今後、各人事委員会
においては、こうした社会経済の動向などを踏まえながら、本日の要請内容を含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになる。現在、人事院及び各人事
委員会では、本年の民間給与実態調査の実施に向け、民間給与実態を的確に把握できるよう、その準備を進めているところだ。 あらため
てのべるまでもなく、人事委員会の重要な使命は、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することであると認識している。
公務員の給与を取り巻く環境は、さらに厳しさを増しているが、私ども人事委員会は、本年も中立かつ公正な第三者機関として、その使命を果たしていく。
また、全人連としても、人事院や各人事委員会との意見交換に、十分努めていきたいと考えている。
以 上
2010年2月12日
全
国人事委員会連合会委員長 会 長 関谷 保夫 殿
公 務 労 組 連 絡 会 議 長 山口 隆
地方公務員の給与等の改善にか
かわる要請書
日頃から地方公務員の勤務条件の向上にご努力いただいていることに敬意を
表します。 完全失業率が5%を超える厳しい雇用情勢に加え、国民所得は減少しつづけ、年収200万円以下の労働者が3年連続で1千
万人を超えるなど国民の間に貧困がひろがっています。 公務労働者も、昨年は過去最大規模の賃下げとなり、そのうえ、地方財政の悪化
で多くの自治体では、地方人事委員会の給与勧告をないがしろに賃金削減が強行されてきています。 地方公務員の給与水準は、地場賃金
や地域経済にも影響を与えます。政府が、「デフレ」を宣言するもとで、内需拡大による景気回復をめざしていくうえで労働者の賃上げは不可欠です。その点か
らも、正規・非正規を問わず、公務職場に働く職員の賃金改善は、日本経済を活性化するという大儀ある要求と考えます。 こうしたも
と、厳しい地方の経済情勢の中で住民福祉の充実に日々努力している自治体・自治体関連職場で働く労働者の暮らしを改善するために、貴職が積極的な立場に立
ち、下記の要求事項の実現にむけて尽力されることを要請するものです。
記
1、民
間給与実態調査にあたっては、単に民間の給与水準と機械的に比較するのではなく、地方自治や地方公共団体のあり方、公務・公共サービスのあり方と密接不可
分であることに十分留意して調査をおこなうこと。とりわけ、勤続・経験年数の加味、民間一時金水準の厳正な把握をするとともに、比較対象企業規模を100
人以上にすること。
2、連続して引き下げられている教員給与について、子どもたちのさまざまな困難に対応してい
る教職員のモチベーションを支えるためにも、勤務実態に応じた適切な給与水準を確保すること。特に、義務教育等教員特別手当と調整額のさらなる引き下げは
勧告しないこと。
3、公務員総人件費削減のもとで増加している臨時・非常勤職員について、人事院の「指針」等を
ふまえつつ、給与をはじめ休暇制度など労働条件の改善、雇用の安定・均等待遇の実現などにむけて必要な対策をおこなうこと。
4、
新たな高齢期の雇用施策の基本方向について、「雇用と年金の接続」を大原則とし、制度設計にあたっては労使での十分な協議をおこなうこと。 |