生活保護の増大に対応できる人員体制の確立が必要
総務省の要求書提出には、公務労組連絡会から黒田事務局長、蟹沢・松本の両事務局次長が参加、総務省は、人事・恩給局総務課の遠山課長補佐ほかが対応しま
した。 「統一要求書」提出にあたって黒田事務局長は、「昨年は、史上最大規模の公務員賃金の減少により、生活はさらに厳しくなって
いる。働きがいも奪っている。デフレ不況といわれるなか、賃上げで景気回復をはかっていくために、使用者・政府として、民間準拠にとどまらない積極的な公
務員賃金の改善を検討すべきだ」と要請しました。 松本事務局次長(自治労連)は、「地方財政が悪化する一方で、仕事は増えている。
責任が臨時・非常勤職員に集中する事態ともなっている。それに追い打ちをかけるように、各地で賃下げが強行されている。働きがいある職場づくりへ、総務省
としても努力すべきだ」とのべ、蟹澤事務局次長(全教)は、「公務の非正規労働者の実態には、マスコミも注視している。安定した公務サービスを提供するた
めには、雇用の安定は必要だ。地域経済とも直結する大きな問題だ。また、メンタル不全が職場で急増しており、特段の対応が必要だ」と求めました。
遠山課長補佐は、「いただいた要求は重く受けとめたい。原口大臣も、職員の労働条件改善の重要性を発言してきた。誠意ある回答にむけてよく検討したい」と
のべました。
また、人事院への要求書提出では、人事院職員福祉局の小林主任職員団体調査官
が要求書を受け取り、「要求はうけたまわった。関連の各部局の担当に伝え、検討をすすめたい」とのべました。 公務労組連絡会では、
今後、交渉を積み重ね、3月下旬に最終的な回答を求めていくこととしています。
【資
料:政府・人事院への要求書】
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 殿 総
務 大 臣 原口 一博 殿
公 務 労 組 連 絡 会 議 長 山口 隆
2010年公務労組連絡会統一要求
昨年の公務員給与は、月例給・一時金の引き下げで史上最大規模の減収となり、公務労働者の生活はもとより、関連する多くの労働者にも多大な影響を与えまし
た。 失業率が5%を超え、国民所得は減りつづけ、多くの国民が貧困にあえいでいるなかで、国民の暮らしといのちを守る公務・公共
サービスの拡充が求められています。公務サービスを支える公務労働者が安心して職務に専念するために、賃金と労働条件の整備は不可欠です。
しかし、繰り返される賃下げをはじめ、公務員削減による長時間・過密労働など労働条件の悪化が多くの公務労働者から働きがいを奪い去っています。また、公
務員の賃下げは民間労働者にも否定的影響を与え、消費低下で景気をさらに悪化させる悪循環に陥っています。鳩山内閣が「デフレ」を宣言するなかで、政府は
使用者責任を果たし、「人勧制度の尊重」の立場にとどまらない積極的な賃金・労働条件の改善をはかるべきです。 2010年春闘を迎
えるにあたり、公務労組連絡会は臨時総会を開催し、春闘方針とともに、正規・非正規を問わずすべての公務労働者に共通する切実な要求をまとめました。
政府が、公務労組連絡会の要求を真摯に受けとめ、使用者としての責任を自覚し、要求に対する誠意ある回答を強く求めるものです。
記
1、国民本位の行財政・司法の確立と要員確保等について (1)
国民の安全・安心の確保に資する国民本位の行財政・司法を確立すること。 (2)行政サービスの拡充と職場の労働条件改善をはかるた
め、総定員法・行革推進法を廃止すること。 (3)「地域主権」の名の下に、国の責任を放棄することにつながる事務・権限の移譲や地方
出先機関などの廃止・自治体への委譲を行わないこと。 (4)公共サービスを破壊する「市場化テスト」や民営化を行わないこと。 (5)
定員削減計画を中止するとともに、総人件費の削減ではなく、必要な予算・要員を確保すること。 (6)独立行政法人の事務・事業は、国
の責任で存続・拡充すること。 (7)「定員外職員の常勤化の防止について」の閣議決定を撤回すること。 (8)社
会保険庁の組織改廃にともなう「分限免職」を撤回するとともに、安定した雇用を確保すること。
2、民主的な公務員制度と労働基本権の確立について (1)
公務員制度改革にあたっては、関係するすべての労働組合と真摯な議論を行うとともに、公務員労働者の労働基本権を全面的に回復すること。 (2)
ILO勧告に基づいて、専従期間を制限する規定を含む国公法第108条の6を廃止すること。 (3)公務における団結権の保護及び雇用
条件決定手続に関するILO第151号条約を批准すること。 (4)ILO勧告に基づき、消防・監獄職員に団結権を回復すること。 (5)
中立・公正な行政を確立するために、公務員の身分保障を形骸化させないとともに、不当労働行為制度を確立すること。 (6)T種採用職
員の特権的人事運用を改め、U種・V種職員の大幅な登用を図ること。 (7)評価制度は、評価結果の全面開示、短期の評価結果での給与
反映を行わないとともに、苦情処理システムに労働組合の参画を認めること。 (8)65歳までの定年延長を行い、「天下り」をなくして
定年まで働き続けることができる適正な給与水準を確保した制度設計を行うこと。 (9)希望者全員の雇用が可能となるよう再任用制度の
適正化を図ること。 (10)労働条件にかかわる事項はすべて交渉対象とし、最高責任者による交渉対応など、労働組合との団体交渉を誠
実に実施すること。
3、賃金・昇格等の改善について (1)
国家公務員の賃金を月額10,000円、臨時・非常勤職員の時給を100円以上引き上げること。 (2)民間初任給との格差を是正する
ため、行政職(一)高卒初任給(18歳)を159,000円、大卒初任給(22歳)を198,000円に引き上げること。 (3)臨
時・非常勤職員をはじめ、公務職場で働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額7,500円」「月額150,000円」以上に引き上げること。 (4)
比較企業規模を1,000人以上に引き上げるなど、同種・同等比較を徹底した官民賃金比較方法に改善すること。 (5)俸給水準の引き
下げを行わず、生計費や公務員としての専門性の高まりを反映した水準とすること。 (6)一時金の支給月数を引き上げ、改善部分をすべ
て期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。 (7)退職手当は、退職時に実
際に支給されている俸給を元に算定する方式に改め、「調整額」を廃止すること。 (8)諸手当については、以下の要求を実現すること。 @
地域間格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。 A 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。 B
住居手当の全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること。 C 通勤にかかわる自己負担を軽減するため手当の改善を行うこと。 D
単身赴任手当の支給要件・支給額を改善すること。 E 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を
200%に引き上げること。 F 寒冷地手当の支給要件を改め、支給額等を改善すること。 (9)昇格改善につい
て、以下の要求を実現すること。 @ 級別標準職務表を抜本的に改正し、各職務の評価を引き上げること。 A 行
(二)職員の部下数制限を撤廃し、職務の特性にふさわしい昇格基準を確立すること。 B 本省・地方の機関間格差や府省別、組織別、世
代間、男女間の昇格格差を是正すること。
4、労働時間短縮、休暇制度改善等について (1)
所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。 (2)交替制勤務者の連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保
すること。 (3)看護師の夜勤について、3人以上・月6日以内に改善すること。 (4)勤務時間管理を徹底し、超
過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。 (5)短時間勤務制度の拡充・改善を図ること。 (6)介護休暇
の取得期間を延長し、取得方法、要介護期間の制限撤廃などを改善すること。 (7)新設される短期介護休暇の要介護家族の定義及び範囲
を見直し、拡充すること。 (8)子の看護休暇を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢を引き上げること。 (9)
育児休業や介護休暇中の所得保障を充実すること。 (10)経済的措置を含めて長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を早期に制度化するこ
と。 (11)年次有給休暇、夏季休暇、結婚休暇を拡充すること。 (12)休暇・休業制度が取得しやすい環境を整
備するよう各府省を指導すること。
5、
男女平等、母性保護等について (1)雇用の全ステージにおける男女差別を禁止すること。 (2)
役職段階別に占める女性の割合を男女の構成比に応じたものとすること。 (3)女性の採用を拡大するとともに、数値目標を設定して大幅
な登用を図ること。 (4)産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替要員を確保す
ること。 (5)軽易な業務への転換、勤務時間短縮など妊産婦の負担を軽減すること。 (6)更年期障害に関わる措
置等を制度化すること。
6、
健康・安全確保等について (1)職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。 @
労使協議で超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等の実効ある基準を策定すること。 A 心の健康づくり対策を強化すること。 B
パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を講じること。 C 行政対象暴力に対する安全対策を確保すること。 (2)
一般健康診断・特別健康診断を充実させること。 (3)国家公務員災害補償制度を以下のとおり改正すること。 @
被災者等による請求を原則とする制度に改めること。 A 災害認定については、使用者が挙証責任を負うこと。 B
公務・通勤災害の各種給付水準を大幅に引き上げること。
7、非常勤職員の処遇改善について (1)
非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などを図る法制度を整備すること。 @ 任用形態を見直し、少なくとも日
々雇用はなくすこと A 短期の任用を繰り返し行う脱法的行為を行わないこと B 更新回数制限や合理
性、納得性のない一方的、一律的な雇い止めを行わないこと (2)非常勤職員の休暇等を常勤職員と同等の制度に改善すること。 (3)
加入要件を満たす非常勤職員を雇用保険、健康保険、厚生年金などに加入させること。
8、独立行政法人の運営等について (1)
「独立行政法人の抜本見直し」による整理合理化を行わないこと。 (2)独立行政法人の運営に支障が生じないよう運営費交付金を保障す
ること。 (3)労使自治による賃金・労働条件決定を保障すること。 (4)独立行政法人・国立大学法人の人員削減
や人件費削減を強行しないこと。
以 上
******************************************
人
事院総裁 江 利 川 毅 殿
公 務 労 組 連 絡 会 議 長 山口 隆
2010年公務労組連絡会統一要求
09
年人事院勧告は、史上最大規模の減収をもたらし、公務労働者の生活はもとより、関連する多くの労働者にも多大な影響を与えました。労働基本権制約の「代償
措置」として、公務労働者の権利を守る責任を持つ人事院は、生活水準の改善を図る役割を発揮すべきです。 失業率が5%を超え、国民
所得は減りつづけ、多くの国民が貧困にあえいでいるなかで、国民の暮らしといのちを守る公務・公共サービスの拡充が求められています。公務サービスを支え
る公務労働者が安心して職務に専念するために、賃金と労働条件の整備は不可欠です。 しかし、繰り返される賃下げをはじめ、公務員削
減による長時間・過密労働など労働条件の悪化が多くの公務労働者から働きがいを奪い去っています。また、公務員の賃下げは、民間労働者にも否定的影響を与
え、消費低下で景気をさらに悪化させる悪循環に陥っています。政府が「デフレ」を宣言するなかで、2010年の人事院勧告では、「民間準拠」にとどまらな
い賃金・労働条件の改善が求められます。 2010年春闘を迎えるにあたり、公務労組連絡会は臨時総会を開催し、春闘方針とともに、
正規・非正規を問わずすべての公務労働者に共通する切実な要求をまとめました。 人事院が、公務労組連絡会の要求を真摯に受けとめ、
公務員労働者の権利を守るという積極的な役割を果たし、要求に対する誠意ある回答を強く求めます。
記
1、賃金・昇格等の改善について (1)
国家公務員の賃金を月額10,000円、臨時・非常勤職員の時給を100円以上引き上げること。 (2)民間初任給との格差を是正する
ため、行政職(一)高卒初任給(18歳)を159,000円、大卒初任給(22歳)を198,000円に引き上げること。 (3)臨
時・非常勤職員をはじめ、公務職場で働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額7,500円」「月額150,000円」以上に引き上げること。 (4)
比較企業規模を1,000人以上に引き上げるなど、同種・同等比較を徹底した官民賃金比較方法に改善すること。 (5)俸給水準の引き
下げを行わず、生計費や公務員としての専門性の高まりを反映した水準とすること。 (6)一時金の支給月数を引き上げ、改善部分をすべ
て期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。 (7)退職手当は、退職時に実
際に支給されている俸給を元に算定する方式に改め、「調整額」を廃止すること。 (8)諸手当については、以下の要求を実現すること。 @
地域間格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。 A 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。 B
住居手当の全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること。 C 通勤にかかわる自己負担を軽減するため手当の改善を行うこと。 D
単身赴任手当の支給要件・支給額を改善すること。 E 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を
200%に引き上げること。 F 寒冷地手当の支給要件を改め、支給額等を改善すること。 (9)昇格改善につい
て、以下の要求を実現すること。 @ 級別標準職務表を抜本的に改正し、各職務の評価を引き上げること。 A 行
(二)職員の部下数制限を撤廃し、職務の特性にふさわしい昇格基準を確立すること。 B 本省・地方の機関間格差や府省別、組織別、世
代間、男女間の昇格格差を是正すること。
2、労働時間短縮、休暇制度改善等について (1)
所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。 (2)交替制勤務者の連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保
すること。 (3)看護師の夜勤について、3人以上・月6日以内に改善すること。 (4)勤務時間管理を徹底し、超
過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。 (5)短時間勤務制度の拡充・改善を図ること。 (6)介護休暇
の取得期間を延長し、取得方法、要介護期間の制限撤廃などを改善すること。 (7)新設される短期介護休暇の要介護家族の定義及び範囲
を見直し、拡充すること。 (8)子の看護休暇を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢を引き上げること。 (9)
育児休業や介護休暇中の所得保障を充実すること。 (10)経済的措置を含めて長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を早期に制度化するこ
と。 (11)年次有給休暇、夏季休暇、結婚休暇を拡充すること。 (12)休暇・休業制度が取得しやすい環境を整
備するよう各府省を指導すること。
3、
民主的な公務員制度の確立について (1)公務員制度改革にあたっては、関係するすべての労働組合と真摯な
議論を行うこと。 (2)ILO勧告に基づいて、専従期間を制限する規定を含む国公法第108条の6を廃止すること。 (3)
公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関するILO第151号条約を批准すること。 (4)中立・公正な行政を確立するため
に、公務員の身分保障を形骸化させないとともに、不当労働行為制度を確立すること。 (5)T種採用職員の特権的人事運用を改め、U
種・V種職員の大幅な登用を図ること。 (6)評価制度は、評価結果の全面開示、短期の評価結果での給与反映を行わないとともに、苦情
処理システムに労働組合の参画を認めること。 (7)65歳までの定年延長を行い、「天下り」をなくして定年まで働き続けることができ
る適正な給与水準を確保した制度設計を行うこと。 (8)希望者全員の雇用が可能となるよう再任用制度の適正化を図ること。 (9)
労働条件にかかわる事項はすべて交渉対象とし、最高責任者による交渉対応など、労働組合との団体交渉を誠実に実施すること。
4、男女平等、母性保護等について (1)
雇用の全ステージにおける男女差別を禁止すること。 (2)役職段階別に占める女性の割合を男女の構成比に応じたものとすること。 (3)
女性の採用を拡大するとともに、数値目標を設定して大幅な登用を図ること。 (4)産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6
週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替要員を確保すること。 (5)軽易な業務への転換、勤務時間短縮など妊産婦の負担を軽減する
こと。 (6)更年期障害に関わる措置等を制度化すること。
5、健康・安全確保等について (1)
職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。 @ 労使協議で超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等の実効ある基準を策定す
ること。 A 心の健康づくり対策を強化すること。 B パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を
講じること。 C 行政対象暴力に対する安全対策を確保すること。 (2)一般健康診断・特別健康診断を充実させる
こと。 (3)国家公務員災害補償制度を以下のとおり改正すること。 @ 被災者等による請求を原則とする制度に改
めること。 A 災害認定については、使用者が挙証責任を負うこと。 B 公務・通勤災害の各種給付水準を大幅に引
き上げること。
6、
非常勤職員の処遇改善について (1)
非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などを図る法制度を整備すること。 @ 任用形態を見直し、少なくとも日
々雇用はなくすこと A 短期の任用を繰り返し行う脱法的行為を行わないこと B 更新回数制限や合理
性、納得性のない一方的、一律的な雇い止めを行わないこと (2)非常勤職員の休暇等を常勤職員と同等の制度に改善すること。 (3)
加入要件を満たす非常勤職員を雇用保険、健康保険、厚生年金などに加入させること。 |