自公政権がゆがめた人事院勧告制度への検証を求める
20日午前の衆議院総務委員会では、塩川鉄也(共産党)、重野安正(社民党)、皆吉稲生(民主党)の各議員が質問に立ち
ました。
日本共産党の塩川議員は、はじめに、不正常な事態を招いた与党の国会運営をきびしく批判したうえ、「民主党など与党の横暴で、昨日の財務金融委員会で法
案の採決を強行したことが異常事態の出発点となっている。本日の本会議でも、各種法案の採決を強行するようなことはあってはならない」と強く抗議しまし
た。
塩川議員は、こうした国会運営に対する原口大臣としての見解を求めましたが、「委員会や国会で決められた運営については、言及する立場にない」などとの
べ、原口大臣は言明を避けました。塩川議員は、「自公政権時代には強行採決に抗議してきた民主党が、いま、与党になって同じことを繰り返している。きびし
い声が国民からあがるのは当然だ。国会の正常化へ力を尽くせ」と重ねて強調しました。
給与法案にかかわって、塩川議員は、「人事院勧告制度が本当に労働基本権制約の代償措置たるかが問われている。小泉『構造改革』路線のもと、公務員総人
件費が削減され、マイナス勧告が繰り返されてきた。給与構造改革、比較対象企業の見直しなどは、政府から人事院への圧力によっておこなわれたものだ。今年
5月の一時金カットも、自公政権の押し付けであると、当時、民主党の小川議員(現・総務大臣政務官)も追及していた」と指摘したうえ、「人事院への『構造
改革』路線の押しつけが、どのように人事院勧告をねじまげてきのか、新政権として検証が必要だ。大臣にその認識はあるのか」と質しました。
原口総務大臣は、「人事院は、独立性、中立性が重要だ。指摘されたことは、今後、与党として検証し、一定の結論を得ていきたい」と答弁しました。
労働基本権の回復にむけて検討の推進を約束
さらに、塩川議員は、勧告の影響について質問し、「15万4千円の年収減は公務員には大きな打撃だが、その影響は約
600万人のおよぶとされる。そもそも、比較対象になる民間の低賃金は、財界と手を組んで労働者いじめをすすめてきた自公政権によって生み出されたもの。
それに準拠して公務員賃金が下がり、賃下げの悪循環が起きている。その実態について、新政権としてしっかりと調査すべきだ」と求めました。
原口大臣は、「問題意識は、塩川議員と共有している」とのべつつ、その一方、「人事院勧告の正当性については尊重するのが政府の立場であり、理解いただ
きたい」などと答弁したことから、塩川議員は、「8月の人事院勧告そのものが、前政権のもとで歪められたものだ。新政権として検証もないまま、それをその
まま給与法案にして国会に提出してもいいのか」ときびしくせまりました。しかし、原口大臣は、「検証はしたい」としながらも、「代償措置としての人事院勧
告は尊重すべき」と繰り返すだけでした。
最後に塩川議員は、「自公政権によって歪められてきたものだ。何の検証もなく、新しい政権が国会提出したことは認められない」と重ねて主張し、質問を終
えました。
社民党の重野議員は、6割を超える地方自治体が、独自の賃金カットを繰り返している実態を示し、見解を求めたことに対して、原口大臣は、「大事な指摘
だ。問題意識を共有していきたい」と答弁し、また、公務員の労働基本権回復を求める質問では、「民主党のマニフェストでは、労働基本権を回復し、民間と同
様の仕組みをつくることを掲げている。その方向で検討の俎上にのせて推進したい」と前向きに答弁しました。
民主党の皆吉議員は、超過勤務縮減、定年延長、非常勤職員などで大臣の見解を質しましたが、「マイナス勧告」に言及することもなく、わずか10分程度で
質問を切り上げました。
民主党など連立与党の異常な国会運営にストップを
この日の総務委員会は、委員40名中、自民10、公明2、みんなの党1の13名の議員が最後まで欠席のまま散会となりま
した。
「中小企業金融円滑化法案」の強行採決に抗議してボイコットしたものですが、与党は、野党議員が欠席しているにもかかわらず、アリバイ作りをするかのよ
うに各党の質問時間のみ確保したことから、自民40分、公明30分など合計1時間半近くにわたって、「無言の審議」がつづきました。
かつてない異常な国会運営を目の当たりにした傍聴行動の参加者からは、民主党を中心にした与党の横暴への怒りや不安の声も出されました。
国民批判もひろがるなか、この日の委員会採決は押しとどめましたが、週明けからは、与党は、ふたたび採決をねらってくることとなります。
不当な賃下げ給与法案に反対し、引き続き、連立与党の横暴に批判の声を高めつつ、給与法審議の行方に監視を強めていく必要があります。
|