夏季一時金削減の給与法案の国会提出に抗議する(談話)
2009年5月15日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司
1、国家公務員の夏季一時金の0.2月分の「凍結」を求める人事院勧告をうけて、麻生内閣は本日、給与法「改正」法案を閣議決定した。
今年の夏季一時金の支給を6月に控えて、すでに確定していた支給額を削減するという公務労働者の暮らしや働きがいに直結する勧告にもかかわらず、使用者としての十分な検討もなく、勧告からわずか2週間で法案の国会提出が強行されることとなった。
公務労組連絡会は、使用者・政府に対して怒りを持って抗議し、法案の撤回を求めるものである。
2、突然かつ異例の一時金の減額措置は、与党による「議員立法」の動きを出発点にして、これに全面的に追随・迎合した人事院と政府が、従来の給与決定のルールを無視しながら、強引にすすめてきたものである。
それは、人事院みずからが「データ確保の精確性等の不確定要素」を認める信頼性を欠いた特別調査の結果を使ってまでも、「凍結」「暫定」「特例」などと言いながら勧告を強行したことや、一時金支給の基準日の6月1日から逆算した日程を前提に、調査実施から法案提出まできわめて性急で乱暴な対応がはかられた点からも明らかである。
3、そのことは、同時に、単に一時金削減強行だけにとどまらない、公務労働者の労働基本権ともかかわる根本的な問題を提起している。
労働基本権制約の「代償措置」として人事院勧告制度の信頼性を失墜させたこととあわせ、労働条件の不利益変更にもかかわらず、労働組合との十分な話し合いにもとづく合意や納得がないまま、使用者たる政府が勧告の実施を決定したことなどは、公務員の労働基本権を踏みにじるものであり、断じて認められない。政府はただちに、公務員労働者に憲法で保障された労働基本権を回復せよ。
4、政府は、国家公務員にとどまらず、地方公務員や独立行政法人等の職員にも同様の措置を求め、地方自治体や関係団体に不当な圧力をかけている。さらに、影響は民間労働者にもおよび、公務・民間の賃下げ競争が加速されようとしている。
労働者の賃下げは、消費を冷え込ませ、景気回復を遅らせる。公務員の一時金削減は、大型補正予算を組んでまで麻生内閣がめざす「景気対策」とも逆行するものでしかない。
公務労組連絡会は、一時金削減法案に反対し、廃案を求めてたたかいを継続し、「賃上げで景気回復を」の要求を高く掲げ、労働者・国民の生活改善へ全力をあげる決意である。
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