No.711
2009年5月7日
8日の閣議決定、来週中の法案提出ねらう

= 夏季一時金削減に反対して総務省と交渉 =

 公務労組連絡会は7日、夏季一時金「凍結」の人事院勧告の取り扱いをめぐって、総務省と交渉しました。
  交渉では、勧告日(5月1日)に提出した要求書をふまえて、勧告実施の閣議決定や、給与法案の国会提出をしないよう強く求めました。しかし、総務省側は、「人事院勧告制度の尊重」を強調しつつ、8日午前中の給与関係閣僚会議で勧告の実施を決定することを明らかにしました。
  政府は、来週中(15日頃)にも法案の国会提出をねらっています。

 

職場からFAXで届いた「要求決議」を積み上げて交渉

 総務省との交渉には、公務労組連絡会から山口議長を先頭に、若井副議長、黒田事務局長、蟹澤・柴田の両事務局次長、国公労連から橋本中執が参加、総務省は、人事・恩給局総務課の山村総括課長補佐、遠山課長補佐ほかが対応しました。
  はじめに、山口議長が、「メーデーの日に出された凍結勧告に対して、職場の怒りが急速にひろがっている」として、勧告日以降に職場からFAXなどで届いた「要求決議」や寄せ書き150通を提出し、「今回の勧告は道理のないものであり、勧告制度の尊重にとどまらない判断を強く求めてきた。こうした職場の怒りの声をふまえて、使用者としての責任ある対応を求める」として、見解をただしました。
  これに対して、山村総括課長補佐は、以下のように回答しました。

【総務省回答】
 政府は、去る5月1日に、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、明日、給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取り扱いについて検討いただくこととしている。
 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、政府としては、同制度を尊重するとの基本姿勢を堅持してきた。総務省としては、こらの基本姿勢のもと、人事院勧告制度を尊重すべきとの立場で意見をのべることを予定している。
 その結果、明日の給与関係閣僚会議において、国家公務員の期末・勤勉手当について勧告どおりの取り扱いとする旨の決定がなされるものと思う。
 職員のみなさんには、今回の決定が現下の厳しい経済社会情勢等のもとでなされたものであることを十分ご理解いただきたい。

聞く耳を持たない回答に交渉参加者の追及が集中

 黒田事務局長は、「回答は認められない。人勧尊重が基本姿勢というが、今回の勧告は、通常の勧告ではない」とのべたうえ、「わずか10日間で2千社程度の調査で、人事院さえ不確定性を認めざるを得ない勧告を、総務省として妥当なものと判断したのか。『凍結』や『暫定』などと言っても、来年や再来年に戻ってくるものではなく、ごまかしにすぎない。実際に一時金が減ることが、職員の生活や働く意欲にどのような影響をおよぼすと考えたのか」と厳しくせまりました。
  これに対して、山村総括課長補佐は、「人事院が調査の結果をふまえて勧告したものであり、妥当と考える。また、みなさんにとって大変厳しいことは理解している。しかし、民間の一時金がかつてなく減っているなかで、このまま支給したのでは、国民の信頼は得られない。その点はご理解をいただきたい」などと回答し、あくまで勧告尊重との立場に終始しました。
  若井副議長は、「使用者としての責任が感じられない回答だ。引き下げるのなら、労働組合との十分な話し合いが必要だ。なのに、5月1日の勧告以降、すでに明日、閣議決定するのでは、誰が納得するのか。もっと話し合いの時間を持て」と追及し、蟹澤事務局次長も「不十分な調査であり、勧告内容を労使間でお互い検討すべきだ。政府の決定は延期せよ」と強く求めましたが、山村総括課長補佐は、「決定を延ばすことは考えていない。予定通りにやらせてもらう」と強弁したことから、「誰が予定を決めたのか」「時間がないとは何ごとだ。労働組合の意見を聞くつもりがないと言うことか」「説明責任を果たせ」などと、交渉参加者からの激しい追及がつづきました。
  こうしたやりとりの後、山口議長は、「聞く耳持たずの回答で、とても認められない」と表明したうえ、鳩山大臣が、4月3日の記者会見で、「民間の状況を国家公務員の給与にできるだけ速やかに反映させることは絶対やらなければならない」と述べたとされる報道について、「これが事実だとすれば、『絶対やらなければならない』などと公言する鳩山大臣には、使用者の資格がない。民間の状況が厳しいなかで、公務員の生活をどう守り、職務に精励できるようにするのかを考えるのが使用者ではないのか。明日の給与関係閣僚会議では、あくまでも使用者として意見をのべよ」と強く求め、勧告実施には、断固、反対することをあらためて主張し、交渉を閉じました。

以 上