No.702
2009年4月6日
地方人事委員会は人事院の調査に追随するな

= 公務労組連絡会が自治労連・全教ともに全人連に緊急申し入れ =

  公務員の一時金引き下げの動きにかかわって、公務労組連絡会は8日、自治労連・全教と共同して、全国人事委員会連合会(全人連)に対して申し入れました。
  特別調査の開始をうけて、総務省が、各地の人事委員会に対して、独自の追加調査を促すかのような通達を出しています。こうしたなかで緊急にとりくんだ全人連要請では、人事院の特別調査や与党の議員立法の動きに追随することなく、地方公務員の賃金改善につとめるよう求めました。

 

なぜこの時期に調査するのか職場の仲間は理解できない

 全人連への要請には、公務労組連絡会から黒田事務局長、全教の蟹沢中央執行委員、自治労連の柴田書記次長が参加、全人連は宮川事務局次長(東京都人事委員会事務局任用公平部長)、斎田書記(同総務課長)、恒松書記(同任用給与課長)ほかが対応しました。
  はじめに黒田事務局長は、別添の要請書を提出し、「今回の人事院の調査は、従来のルールを破るものだ。また、これから交渉の大詰めを迎える民間中小の賃金動向にも影響を与えるもので、断じて認められない。地方の人事委員会は、独自調査をはじめ、一時金引き下げの動きに追随すべきではない」とのべ、要請事項の趣旨を伝えました。
  自治労連の柴田書記次長は、「人事院の調査は、通常の民間給与実態調査に比べてきわめて限定的、概括的なものであり、大企業に偏っているため調査対象の企業数にも各県でばらつきがある。人事院は、勧告するかどうかは結果次第などと言っているが、地方でも、一時金引き下げの流れがひろがることは明らかだ。地方にとって納得性のない調査は、認められない」とのべ、蟹沢全教執行委員は、「通常の5月からの調査を目前にして、なぜ調査をするのか組合員にとっては疑問だ。地方人事委員会も、この時期に調査をできるような体制は備わっていない。もともとは与党の議員立法から出てきたもので、地方から始まった話ではない。毅然とした対応を求める」と申し入れました。
  これにたいして、宮川全人連事務局次長は、「みなさんの要請は、たしかにうけたまわった。本日の申し入れの内容は、いただいた要請書とともに、さっそく全人連の内田会長をはじめ、全国の人事委員会に伝えたい」とのべました。
  全人連は、4月13日に全国の主要な人事委員会の代表による会議を予定しています。公務労組連絡会では、この会議にあわせて、かさねて全人連への申し入れにとりくむこととしています。(以上)

【別添資料:全人連への要請書】

2009年4月8日

全国人事委員会連合会会長 内田 公三 様

公務労組連絡会議長 山口  隆
日本自治体労働組合総連合中央執行委員長 大黒 作治
全日本教職員組合中央執行委員長 山口  隆

公務員の夏季一時金に関わる要請書

 地方公務員の給与・人事行政の充実に向けた貴職の日頃の努力に敬意を表します。
  今年の春闘の大手企業の回答の特徴は、経済危機を乗りきるために昇給凍結・ベアゼロ回答とともに、一時金の大幅削減を強いるものとなっています。こうした民間の厳しさを公務員にも反映させようと、与党による「議員立法」の動きも表面化するなか、人事院は4月7日から民間の一時金の「特別調査」を開始しました。
  調査結果をふまえて、人事委員が臨時的な勧告をおこなうならば、すでに昨年の08勧告を通して確定している夏季一時金のカットという極めて異例の事態となります。労働基本権制約の代償機関としての人事院が与党に追随することは、断じて認められません。
  とりわけ、「特別調査」は、夏の一時金回答だけに限定した概括調査にすぎず、これによる一時金カットは、前年の冬と当年の夏の民間支給実態の精緻な調査にもとづく勧告の実施というこれまでのルールを無視するものです。
  また、6月30日支給となる夏の一時金を一方的に直前で切り下げることは、公務員労働者の生活設計に於ける「期待権」を侵害するものです。さらに、景気と雇用の悪化が進むもとで、自治体労働者を含む300万人の公務員の一時金削減が実施されれば、臨時・非常勤職員の賃金、中小企業に働く民間労働者の一時金支給、最低賃金への影響をもたらすものであり、景気悪化にさらに拍車をかけることとなります。
  以上の点からも、地方公務員労働者と国民全体の生活改善をはかり、国民・住民サービスの拡充をめざす立場から、貴職が第三者機関として積極的な役割を果たすよう下記のとおり要請します。

1、人事院が「特別調査」をすすめるもとで、独自の追加調査などをおこなわないこと。
2、国の夏の一時金削減の動向に追随することなく、地方公務員賃金の改善に努めること。

以 上