No.696
2009年2月12日
きびしいときこそ公務サービスの役割発揮を

= 賃金・労働条件の改善へ、政府・人事院に春闘要求書を提出 =

 1万人規模でとりくまれる「2・13中央総行動」を翌日にひかえた12日、公務労組連絡会は、政府・人事院に対して、「09年春闘統一要求書」を提出しました。
  昨年末からの世界経済の急速な悪化、大企業を中心とした大規模なリストラ計画がひかえるもと、労働者・国民の雇用や生活を守るために、公務・公共サービスの役割発揮がこれまで以上に求められています。
  要求書提出では、「11,000円・2.8%」の水準要求とともに、誰でも1万円の賃金底上げ、「時給1,000円」の最低賃金の実現を柱に、正規・非正規を問わずすべての公務労働者の賃金・労働条件の改善を強く求めました。

 

生活保護の増大に対応できる人員体制の確立が必要

 総務省の要求書提出には、公務労組連絡会から黒田事務局長、蟹沢・鈴木の両事務局次長が参加、総務省は、人事・恩給局総務課の津村総括課長補佐、遠山課長補佐ほかが対応しました。
  政府・総務省への「統一要求書」(資料1)提出にあたって黒田事務局長は、「言うまでもなくきびしい情勢のなかでの09春闘だ。将来への不安から、生活改善を求める要求はより切実になっている。また、国民の生活を守るという公務労働の役割を発揮する必要がある。そうした観点から、賃金改善とともに、公務・公共サービスの拡充にむけて、要求書に沿って誠意ある検討を求める」と要請しました。
  鈴木事務局次長(自治労連)は、「『派遣切り』などで職と住がなくなり、自治体では生活保護の申請が増えている。その一方で、職員は減らされ、非正規に置き換えられるなどで必ずしも満足な対応ができないでいる。正規職員の増員を強く求める」とのべ、蟹澤事務局次長(全教)は、「経済や雇用が大変なとき、国・自治体が底支えする施策が必要だ。内需中心に日本経済を変えていくために積極的な賃金改善の声があがっている」と指摘しました。

  津村総括課長補佐は、「いただいた要求の趣旨は充分にうけたまわった。誠意ある回答にむけてよく検討したい」とのべました。
  この日は、春闘要求書とともに、「公務職場における雇用拡大に関する緊急要求」(資料2)を提出し、かつてない規模の失業者が予想されるなかで、定員削減計画の中止、新規採用枠の拡大など公務職場での雇用拡大を求めました。
  また、人事院への要求書(資料3)提出では、賃金・諸手当の改善とともに、民間よりも低い初任給の引き上げ、所定勤務時間の15分間短縮をふまえたさらなる時短の実現などを求めました。加えて、「公務員制度改革」の焦点となっている「内閣人事・行政管理局」の設置をめぐっては、憲法で保障された権利を守る立場から、人事院が積極的な役割を果たすよう求めました。
  人事院職員福祉局の小林主任職員団体調査官が要求書を受け取り、「要求はうけたまわった。関連の各部局の担当に伝え、検討をすすめたい」とのべました。
  公務労組連絡会では、今後、交渉を積み重ね、3月中下旬に最終的な回答を求めていくこととしています。

【資料1:政府あての春闘要求書】

内閣総理大臣
麻 生 太 郎 殿
総 務 大 臣
鳩 山 邦 夫 殿

公 務 労 組 連 絡 会
議 長  米浦 正

2009年公務労組連絡会統一要求

 世界経済の急速な悪化をうけて、製造業を中心にした大リストラ計画が次々と明らかにされ、中小企業の倒産件数も増大しています。こうしたときこそ、労働者・国民の暮らしと雇用を守るため、公務・公共サービスの役割発揮が求められています。また、景気の回復にむけて、内需主導で日本経済を立て直すうえで、労働者の積極的な賃金改善は欠かせません。
  公務労働者にとっても、生活改善にむけた賃上げは切実さを増しているなか、昨年の人事院勧告は、給与・一時金ともに据え置きとなるなど、きわめて不満なものとなりました。今春闘では、賃金改善をはじめ、中央・地方間の給与格差の解消、「官製ワーキングプア」と呼ばれる臨時・非常勤職員の待遇改善などが重要課題となっています。
  私たちは、国民の期待に応えて、働きがいを持って仕事ができる公務職場にしていくために、公務員労働者の賃金・労働条件の改善、さらには、労働基本権回復など民主的公務員制度の確立を求めて、2009年春闘における諸要求を下記の通りまとめました。
  公務労働者の生活の改善、諸権利の拡充、公務・公共サービスの充実をめざす立場から、政府が使用者としての積極的な役割を果たし、私たちの切実な要求に対する誠意ある回答を強く求めるものです。

1、国民本位の行財政・司法の確立と要員確保等について
(1) 格差と貧困を拡大する「構造改革」路線を転換し、国民の安全・安心の確保に資する国民本位の行財政・司法を確立すること。
(2)公務員の総人件費削減は行わないこと。
  また、官民比較方法の見直し要請など人事院勧告制度に対する不当な政治的介入を行わないこと。
(3)公共サービスを破壊する「官製市場の開放」のための「市場化テスト」を行わないこと。
  また、公的機関の民営化・独立行政法人化、業務の民間委託・委譲、医療や教育分野などの営利企業への開放を安易に行わないこと。
(4)総定員法を廃止するとともに、「5年間10%削減」の定員削減計画、「5年間5.7%以上」の定員純減方針、「国家公務員の配置転換、採用抑制等に関する全体計画」を中止すること。
  同時に、行政サービスの拡充と職場の労働条件改善をはかるため、必要な予算・要員を確保すること。
(5)行政サービスの切り捨てと公的責任の放棄につながる国民生活関連部門の「合理化」を行わないこと。独立行政法人の一方的な整理合理化は行わず、国民サービス向上へ向け、独立行政法人の業務を拡充すること。
(6)大幅な定員削減などを目的とし、国の責任放棄につながる地方機関の事務・権限の地方自治体への移譲を行わないこと。
  また、地方支分部局・付属機関等の統廃合やIT化による「合理化」を一方的に行わないこと。
(7)公的年金の記録不備問題が解決するまでの間は、社会保険庁「改革」関連法の施行を凍結すること。
  また、社会保険庁の「全国健康保険協会」「日本年金機構」への移行に際しては、職員の雇用・身分を十全に保障し、組織改廃にともなう「分限解雇」は行わないこと。

2、労働基本権の確立について
(1)公務員労働者の労働基本権を全面的に回復すること。
  当面、協約締結権の保障に向けて、次の制度を確立すること。
  @ 交渉による労使対等の労働条件決定システムを確立すること。
  A 勤務条件をめぐって発生する紛争は、交渉及び調停・仲裁制度によって解決すること。
(2)労働組合法に準じて、公務にも不当労働行為の禁止と救済の制度を確立すること。
(3)職員団体のための職員の行為の制限(国公法第108条の6)を廃止すること。当面、休職専従期間の「7年」を延長すること。
(4)公務労働に関する151号条約(公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関する条約)などILO未批准条約の批准を促進し、ILOに対する政府の責任を果たすこと。
(5)労働組合の団結と自治を破壊する組織介入、不当労働行為はいっさい行わないこと。
  また、労働組合所属による人事・給与、交渉、組合活動などへの差別的取扱いを行わないこと。
(6)最高責任者による交渉対応など、労働組合との団体交渉を誠実に実施すること。
  また、賃金・労働時間など労働条件にかかわる事項はすべて交渉対象とし、労使対等の交渉を行うこと。

3、民主的公務員制度の確立について
(1)「国家公務員制度改革基本法」の具体化にあたっては、公正・中立な行政の実現と民主的な公務員制度の確立に向けて、国民的な議論を保障するとともに、関係労働組合や専門家の意見をふまえ、民主的な検討を行うこと。
(2)公務員の政治的行為の制限を撤廃し、市民的権利を十全に保障すること。
(3)公務労働者が職務に専念できる中立・公正な給与・人事行政を確立し、公務員の身分保障を形骸化させないこと。
  また、T種採用職員の特権的人事をあらためるとともに、労働組合参加による公平で透明な人材育成・登用策のための民主的なルールを確立し、U種・V種職員の大幅な登用をはかること。
(4)「天下り」やこれを前提とした早期退職慣行を廃止し、定年年齢までの雇用を保障すること。
(5)女性の採用を拡大すること。また、女性職員の登用にあたっては、労働組合の参加のもとに民主的なルールを確立し、数値目標を設定して大幅な登用(当面30%)をはかること。
(6)企画立案部門と実施部門別の分割管理や、「能力・実績」に応じた昇進管理を強化するための複線型人事制度の導入などを行わず、公務一体の人事管理を徹底すること。
(7)新たな人事評価制度については、公平性、客観性、透明性、納得性を備えた職員参加、育成重視型の仕組みとし、評価結果は全面開示し、労働組合が参加する民主的な苦情処理システムを確立すること。
  評価結果を直接給与決定に反映するしくみとしないこと。なお、評価結果の活用にあたっては、評価制度の十分な検証を行い、制度の完成度(習熟度、信頼度)の高まりに応じて、その活用範囲を段階的に設定するようなしくみとすること。
  新たな人事評価制度にかかわる政令・規則等の策定にあたっては、労働組合との十分な交渉・協議をつくし、合意の上で実施すること。
(8)独立行政法人等への移行にあたっては、雇用・身分、労働条件の継承をはかること。

4、賃金等の改善について
(1)国家公務員、独立行政法人職員の賃金を月額平均11,000円・2.8%(国公行政職(一))引き上げること。
(2)民間初任給との較差を是正するため、行政職(一)高卒初任給(18歳)を158,000円、大卒初任給(22歳)を197,000円に引き上げること。
(3)臨時・非常勤職員を含め、公務職場に働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額7,500円」以上に引き上げること。また、非常勤職員の最低賃金額を明示すること。
(4)賃金体系について、初任給引き上げをはかるとともに、世帯形成にともなう生計費の増大や、経験・勤続(専門性向上要素)に応じた体系を維持すること。
(5) 官民賃金比較方法については、比較企業規模1,000人以上への引き上げ、勤続・経験年数の加味、民間一時金水準の厳正な把握など抜本的な改善をはかること。少なくとも、比較対象企業規模を100人以上に戻すこと。
(6)地域間の給与格差を拡大しないこと。当面、地域手当については、生計費、物価動向を重視し、格差の縮小、支給地域の拡大を行うこと。
(7)勤務実績の給与への反映にともなう昇格、昇給、勤勉手当制度の運用にあたっては、恣意的、権力的な運用を行わないこと。
(8)一時金の支給月数を引き上げるとともに、改善部分はすべて期末手当にあてること。   また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。
(9)退職手当については、「調整額」を廃止するとともに、支給水準を維持すること。
(10) 行政職(一)U種、V種及びA種、B種の初任給格付けを改善するとともに、必要な在職者調整を行い、他の俸給表についても、これに準じた改善措置を講じること。
(11)諸手当については、以下の要求を実現すること。
  @ 扶養手当について、支給範囲及び支給額を改善すること。
  A 住居手当について、借家・借間に係る負担実態に即して支給内容を改善し、全額支給限度額・最高支給限度額の引き上げを行うこと。
  なお、自宅に係る住居手当については、その目的及び地方公共団体や民間における支給実態等をふまえ、廃止しないこと。
  B 通勤にかかるいっさいの自己負担をさせないよう通勤手当を改善すること。
  特に、マイカー通勤等交通用具利用者に対する支給額を改善すること。
  C 単身赴任手当の支給額及び支給要件を改善すること。なお、単身赴任手当については、「別居手当」にあらため、全額を比較給与対象外とすること。
  D 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。
  また、出張中の超過勤務手当については、正規の勤務時間を超えて移動に要した時間に対しても支給すること。
  E 寒冷地手当について、諸物価の高騰等をふまえ、支給額等を改善すること。
  F 特地勤務手当の支給基準の「見直し」にあたっては、離島・僻地の生活不便度、物価・生計費など都市部との相対的な格差を十分反映し、改善をはかること。
(12)給与改善費について、2009年度の当初予算から必要な額を計上すること。 

5、労働時間短縮、休暇制度改善等について
(1) 所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。当面、以下の要求を実現すること。
  @ 所定勤務時間を1日7時間45分、週38時間45分へ短縮するために、必要な職場の環境整備をはかること。
  A 交替制勤務者の連続勤務時間を短縮し、連続拘束時間について上限を設けるなど必要な改善措置を講じること。
(2)すべての公務職場で年間総実労働1,800時間を早急に達成するための条件整備をはかること。交替制職場については、必要な職員増などの措置を講じ、「勤務を要しない日」の2日連続取得を保障すること。
(3) 厚生労働省が示した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき基準」(2001年4月)、「賃金不払残業の解消をはかるために講ずべき措置等に関する指針」(2003年5月)、「過重労働による健康障害を防止するため事業主が講ずべき措置等」(2006年3月)、及び「労働時間等設定改善指針」(2006年4月)に準じて勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業の根絶をはかること。
  「超過勤務の縮減に関する指針」を改正し、超過勤務時間の上限規制を明示するなど、実効ある対策をもりこむこと。
  また、超過勤務縮減などにかかわる労使による協議機関の設置を義務づけること。
(4)宿日直勤務における通常業務の規制を強化すること。
(5)公務員労働者の生活・労働実態を無視した勤務時間割り振りの弾力化、フレックスタイム制の適用拡大、裁量労働制の導入などの労働時間「弾力化」や、過重労働につながる制度改悪を行わないこと。
(6)育児のための短時間勤務制度及び自己啓発等休業制度の運用にあたっては、取得しやすい職場環境を整えるよう各府省を指導すること。とりわけ、育児短時間勤務の取得者が不利益な取扱いを受けることがないよう各府省を指導すること。
  また、介護のための短時間勤務制度について早急に制度化を検討すること。
(7)介護休暇の取得期間を365日とし、断続取得、同一疾病での再取得など取得方法の改善、要介護期間の制限撤廃などの改善を行うこと。
  また、現職復帰、代替要員の確保、無給規定の撤廃をはかること。時間取得による賃金カットを大幅に緩和すること。
(8)子どもの看護休暇制度を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢を義務教育年齢とするなどの拡充をはかること。家族看護休暇の創設、子どもの幼稚園・保育園、学校行事等への参加のための休暇制度を新設すること。
(9)育児休業制度の所得保障を充実するとともに、代替要員の確保、育児時間の対象となる子の年齢要件の緩和など取得しやすい制度に改善すること。
  また、男性の取得率を高めるための方策を講じること。当面、時間取得による賃金カットを大幅に緩和すること。
(10)長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を経済的措置を含めて早期に制度化すること。
(11)年次有給休暇を年間30日とし、要員確保など取得促進に向けた条件整備を行うこと。
  また、夏季休暇を10日間とし、結婚休暇も1週間以上に延長すること。

6、男女平等、母性保護等について
(1)公務における真の男女平等を実現するため、採用・任用・昇任・昇格をはじめ雇用の全ステージにおける間接差別を含めた男女差別の禁止すること。
  また、制裁・罰則規定の新設、救済制度の拡充などの整備を行うこと。
(2)役職段階別に占める女性の割合を男女の職員構成比に応じたものとすること。そのため、女性の採用、研修・育成、昇任・昇格にあたって積極的な改善策を講じるとともに、苦情処理制度やセクシュアル・ハラスメント防止対策の拡充をはかること。
(3)各府省が策定した「女性職員の採用・登用拡大計画」が実効あるものとなるよう、数値目標の設定を徹底させるなど指導を徹底すること。
(4)産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替措置を法定化すること。また、連続して育児休業を取得した場合は、代替職員当人の連続した任用を可能とすること。
(5)妊産婦について、深夜・時間外・休日労働や危険有害業務と交替・変則勤務の禁止、他の軽易な業務への転換、勤務時間短縮など労働軽減をはかること。
  また、そのための正規職員による代替措置を講ずるとともに、妊娠障害休暇を新設すること。
(6)更年期障害に関わる措置等を制度化すること。
(7)次世代育成支援対策推進法にもとづく「特定事業主行動計画」策定後の進捗状況を明らかにし、改善をはかること。

7、高齢者雇用、再任用制度改善等について
(1)雇用と年金の接続をはかる観点から、定年年齢を65歳とすること。当面、年金の支給開始年齢の繰り延べに対応して、定年年齢を段階的に引き上げるなどの経過的な措置を講じること。
(2)再任用制度の活用については、希望者全員の運用が可能となるよう適正化をはかること。
  また、再任用の定員管理については、弾力的な運用が可能なしくみとすること。
(3)「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」における検討にあたっては、高齢期の公務員労働者の生活実態をふまえ、労働組合の意見を反映すること。
(4)「被用者年金制度の一元化」に関わって、人事院が政府に提出した「民間の企業年金・退職金等の調査結果及び新たな公務員年金に係る見解」をふまえ、職域部分に代わる新たな公務員年金のしくみを設けること。
  また、退職年金や退職手当など退職給付の支給水準を維持・改善すること。

8、健康・安全確保等について
(1)長時間・過密労働をなくし、過労死・自殺、疾病、公務災害の予防・根絶など職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。
  @ 超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等について、実効ある基準を労使協議で策定し、確実な実施を保障すること。
A 人事院規則10-4第14条をふまえ、任命権者ごとに「健康安全管理委員会」を設置し、「労働安全衛生」対策を強化すること。なお、当該組織の構成員に労働組合を参加させるとともに、必要に応じて、当該課題の専門家等も随時、参加・関与できる組織とすること。
  B 病気休職者等が発生した職場には、必要な要員を確保するなど対策を講じること。C パワーハラスメントに対する指針の策定など具体的な対策を講じること。
  D 看護師の夜勤について、複数・月8日以内を厳守させるとともに、夜間勤務条件の充実をはかること。
(2)職場の健康診断について、次の充実をはかること。
  @ 健康診断の受診を促進させるとともに、検診項目については、ガン・生活習慣病検診など職場と職員の実態、社会の要請に対応した項目を設定するなど内容の充実をはかること。
  A 特別定期健康診断の受診を義務づけ、指定範囲外職員についても希望者の受診を積極的に認めること。
(3)国家公務員災害補償法を次のとおり抜本的に改正するとともに、すべての職員に公務災害補償制度の周知徹底をはかること。
  @ 探知主義の問題点(不透明、恩恵的、抗告訴訟の対象外)の解消を図るため、被災者等による請求を原則とする制度に改めること。なお、請求主義への転換による時効については、被災者の不利とならないよう慎重に検討すること。
A 災害認定について、認定基準のより一層の明確化を図るとともに、認定の基本原則として「使用者挙証責任制」を確立すること。
B 申請手続きの簡素化を図るとともに、申請者の負担軽減をはかること。
C 脳・心臓疾患、精神疾患等の認定については、迅速、適切・的確な処理による災害補償の実施のため、実施機関と連携した災害補償業務の専門性を有した公正な第三者機関による統一した対応をはかること。また、将来的な一元化を含め実施機関の在り方を検討すること。
D 公務上外認定を行政処分と位置付け、被災者の救済に実効ある「行政不服審査」の道を設けること。
E 発生した傷病と公務との因果関係が不明確のため、認定までの間、私傷病として共済組合員証を使用して診察を受けざるを得ないなどの個人負担を解消すること。
F 傷病者の利便性の改善のため、国家公務員災害補償制度の指定病院の拡大をはかること。
G 災害補償制度や指名された災害補償事務主任者等を職員に周知し、災害認定手続きの円滑化をはかること。
  A 公務・通勤災害の各種給付水準を大幅に引き上げること。

9、非常勤職員の処遇改善について
(1)非常勤職員制度の抜本改善、雇用の確保などについて
  @ 非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。
  A 非常勤職員の契約更新等に際して「解雇権濫用法理」を適用するとともに、契約更新回数制限など合理性や納得性のない一方的・一律的な「雇い止め」を行わないこと。
  また、個別事情や職場実態を無視した「任用中断」を行わないこと。
  B 非常勤職員について、採用(任用)手続や人事配置などの人事管理を公正に行うこと。
  C 労働条件の決定にあたっては、人事院が労働基本権制約の代償機能を十全に果たすしくみを確立すること。
(2)賃金・諸手当について
  @ 賃金・諸手当等の決定にあたって、「非常勤職員の給与決定に関する指針」を下回ることがないように措置すること。
A 「一般職の職員の給与に関する法律第22条2項(常勤職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給)」の規定を廃止し、新たに非常勤職員の給与決定基準を給与法で定めること。
  給与法で規定するにあたって、職務内容、在勤する地域及び職務経験等に応じた賃金格付けとすること。
  また、それを裏付ける「予算措置」を講じること。
  B 非常勤職員の最低賃金を「時給1,000円」「日給7,500円」以上に引き上げること。
  C 通勤手当の支給額を改善するとともに、全ての非常勤職員を支給対象とすること。
  D 期末・勤勉手当を支給すること。
  E 退職手当を支給すること。
  F 超過勤務を行った場合は、超過勤務手当を全額支給すること。
(3)休暇制度等の拡充について
  @ 非常勤職員の休暇等を常勤職員と同等の制度に改善すること。当面、無給とされている休暇を有給にするとともに、夏季休暇、結婚休暇及び育児休業などの制度化をはかること。
  A 年次休暇や忌引き休暇、病気休暇などの取得要件を直ちに緩和すること。
(4)労働条件・職場環境等の改善について
  @ 共済組合への加入を認めること。
  A 加入要件を満たす非常勤職員を、雇用保険、健康保険、厚生年金などに加入させること。
  B メンタルヘルスを含む健康管理・確保対策を充実・強化すること。そのため、常勤職員と同等の各種健康診断を実施すること。
  C セクシャルハラスメント、パワーハラスメントの防止・被害救済のため、相談体制を含めすべての非常勤職員に周知徹底すること。
  D 福利厚生や安全衛生に関わる経費を予算化すること。

10、独立行政法人の運営等について
(1)独立行政法人制度について
  @ 独立行政法人制度を国民の安心・安全と社会の基盤を支える組織として、自主性・自律性が発揮できるように制度の趣旨にそって改善すること。また、法人運営に職員の意見が反映する仕組みに改善し、職員の創意発揮による効果的な業務執行をはかること。
  A 各法人の統合、業務見直しなど「整理合理化計画」の具体化にあたっては、当該法人や労働組合との合意のうえ、慎重に実施すること。評価機関の一元化と理事長任命に対する内閣の関与権限強化は、独立行政法人制度の趣旨をふまえて行わないこと。
  B 中期目標、中期計画の立案にあたって、国民へのサービス水準の維持・改善が可能な運営費交付金を保障するとともに、自己収入の拡大や人員削減等の減量化方針を押しつけないこと。
  C 中期目標の期間終了時に一方的な業務・組織の廃止・統合、非公務員化を行わず、当該労組、法人の意見と主務大臣の考えを最大限尊重すること。
(2)職員の賃金・労働条件改善について
  @ 労働条件の維持・改善の観点から、労使対等の関係確立を促すこと。
  A 非現業国家公務員との均衡を最優先する賃金決定への介入は行わず、労使自治による決定を保障すること。
(3)独立行政法人関連予算について
  @ 総人件費「改革」にもとづき、独立行政法人・国立大学法人の人員削減や賃金水準引き下げを前提とした人件費削減を強行しないこと。
  A 独立行政法人・国立大学法人のサービス水準を維持・拡充するために、必要な予算確保のための措置を講じること。運営費交付金については、効率化係数を撤廃して一律・一方的な削減を中止し、法人の運営に支障が生じないよう必要な予算措置をはかること。
  B 独立行政法人などの業務運営にあたっては、予算面からの押しつけは行わず、法人の自主性を尊重すること。

以 上

【資料2:政府への雇用対策緊急要求書】

内閣総理大臣 麻生 太郎 殿
総務大臣   鳩山 邦夫 殿

公 務 労 組 連 絡 会
議 長   米浦 正

公務職場における雇用拡大に関する緊急要求

 アメリカ発の金融危機を契機に、国際的な経済の収縮は日本経済にも多大な影響を与えています。とりわけ、派遣・契約などの形態で働く労働者の雇用は深刻となっており、いっそうの景気減退につながっています。
  こうした状況のもと、一部の地方公共団体による臨時的な雇用が行われていますが、厚生労働省の試算でも、3月末まで12万5千人もの非正規労働者が職を失うことが予測されています。多くの労働者は、失業した際の保障である雇用保険の給付も受けることができないことが考えられるため、雇用確保が最優先で求められています。
  一方、公務職場では、公務員総人件費削減のもとで、定員の純減がなされていますが、過密労働を背景にしたメンタル不全などで長期に休職する職員が増大するなど、現場には様々な矛盾が噴出しており、要員の確保は国民に対するサービス維持のうえでも重要課題となっています。
  経済と生活の危機が叫ばれるときこそ、公務・公共サービスの役割を発揮するため、行政サービスの向上をはかり、公務職場における雇用の拡大が求められています。
  このような問題意識に立ち、下記のとおり緊急要求をとりまとめましたので、貴職が積極的かつ機動的な対応をはかるよう求めます。

1.国の定員合理化計画を中止し、未曾有の危機にある経済・雇用情勢に対処できるよう必要な行政分野に臨時増員を含めた体制整備を図ること。
2.地方公共団体に対する集中改革プランを見直し、定員の純減目標を撤回すること。
あわせて、新規採用枠を拡大し、安定的な公務運営が行えるようにすること。
3.教員の新規採用枠を拡大すること。
4.現在在職している国・地方公共団体の非常勤職員の雇用を確保し、新たな失業者を生み出さないこと。さらに、緊急の雇用対策として、国・地方公共団体での非常勤職員の雇用枠を拡大すること。

以 上

【資料3:人事院あての春闘要求書】

人 事 院 総 裁
谷 公 士 殿

公 務 労 組 連 絡 会
議 長  米浦 正

2009年公務労組連絡会統一要求

(前文略)

1、賃金等の改善について
(1)国家公務員、独立行政法人職員の賃金を月額平均11,000円・2.8%(国公行政職(一))引き上げること。
(2)民間初任給との較差を是正するため、行政職(一)高卒初任給(18歳)を158,000円、大卒初任給(22歳)を197,000円に引き上げること。
(3)臨時・非常勤職員を含め、公務職場に働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額7,500円」以上に引き上げること。また、非常勤職員の最低賃金額を明示すること。
(4)賃金体系について、初任給引き上げをはかるとともに、世帯形成にともなう生計費の増大や、経験・勤続(専門性向上要素)に応じた体系を維持すること。
(5) 官民賃金比較方法については、比較企業規模1,000人以上への引き上げ、勤続・経験年数の加味、民間一時金水準の厳正な把握など抜本的な改善をはかること。少なくとも、比較対象企業規模を100人以上に戻すこと。
(6)地域間の給与格差を拡大しないこと。当面、地域手当については、生計費、物価動向を重視し、格差の縮小、支給地域の拡大を行うこと。
(7)勤務実績の給与への反映にともなう昇格、昇給、勤勉手当制度の運用にあたっては、恣意的、権力的な運用を行わないこと。
(8)一時金の支給月数を引き上げるとともに、改善部分はすべて期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。
(9)退職手当については、「調整額」を廃止するとともに、支給水準を維持すること。
(10) 行政職(一)U種、V種及びA種、B種の初任給格付けを改善するとともに、必要な在職者調整を行い、他の俸給表についても、これに準じた改善措置を講じること。
(11) 較差の配分、手当のあり方などについては、労働組合と十分な交渉・協議を行い、合意すること。その際、較差については俸給表全体への配分を基本とし、諸手当については、以下の要求を実現すること。
  @ 扶養手当について、支給範囲及び支給額を改善すること。
  A 住居手当について、借家・借間に係る負担実態に即して支給内容を改善し、全額支給限度額・最高支給限度額の引き上げを行うこと。なお、自宅に係る住居手当については、その目的及び地方公共団体や民間における支給実態等をふまえ、廃止しないこと。
  B 通勤にかかるいっさいの自己負担をさせないよう通勤手当を改善すること。特に、マイカー通勤等交通用具利用者に対する支給額を改善すること。
  C 単身赴任手当の支給額及び支給要件を改善すること。なお、単身赴任手当については、「別居手当」にあらため、全額を比較給与対象外とすること。
  D 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。また、出張中の超過勤務手当については、正規の勤務時間を超えて移動に要した時間に対しても支給すること。
  E 寒冷地手当について、諸物価の高騰等をふまえ、支給額等を改善すること。
  F 特地勤務手当の支給基準の「見直し」にあたっては、離島・僻地の生活不便度、物価・生計費など都市部との相対的な格差を十分反映し、改善をはかること。

2、権利確立について
(1)交渉による労使対等の労働条件決定システムを確立すること。
(2)労働組合法に準じて、公務にも不当労働行為の禁止と救済の制度を確立すること。
(3)職員団体のための職員の行為の制限(国公法第108条の6)を廃止すること。当面、休職専従期間の「7年」を延長すること。
(4)公務労働に関する151号条約(公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関する条約)などILO未批准条約の批准を促進し、ILOに対する政府の責任を果たすこと。
(5)労働組合の団結と自治を破壊する組織介入、不当労働行為はいっさい行わないこと。また、労働組合所属による人事・給与、交渉、組合活動などへの差別的取扱いを行わないこと。
(6)最高責任者による交渉対応など、労働組合との団体交渉を誠実に実施すること。また、賃金・労働時間など労働条件にかかわる事項はすべて交渉対象とし、労使対等の交渉を行うこと。

3、民主的公務員制度の確立について
(1)公務労働者が職務に専念できる中立・公正な給与・人事行政を確立し、公務員の身分保障を形骸化させないこと。
また、T種採用職員の特権的人事をあらためるとともに、労働組合参加による公平で透明な人材育成・登用策のための民主的なルールを確立し、U種・V種職員の大幅な登用をはかること。
(2)「天下り」やこれを前提とした早期退職慣行を廃止し、定年年齢までの雇用を保障すること。
(3)女性の採用を拡大すること。また、女性職員の登用にあたっては、労働組合の参加のもとに民主的なルールを確立し、数値目標を設定して大幅な登用(当面30%)をはかること。
(4)企画立案部門と実施部門別の分割管理や、「能力・実績」に応じた昇進管理を強化するための複線型人事制度の導入などを行わず、公務一体の人事管理を徹底すること。
(5)新たな人事評価制度については、公平性、客観性、透明性、納得性を備えた職員参加、育成重視型の仕組みとし、評価結果は全面開示し、労働組合が参加する民主的な苦情処理システムを確立すること。
  評価結果を直接給与決定に反映するしくみとしないこと。なお、評価結果の活用にあたっては、評価制度の十分な検証を行い、制度の完成度(習熟度、信頼度)の高まりに応じて、その活用範囲を段階的に設定するようなしくみとすること。
  新たな人事評価制度にかかわる政令・規則等の策定にあたっては、労働組合との十分な交渉・協議をつくし、合意の上で実施すること。

4、労働時間短縮、休暇制度改善等について
(1) 所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。当面、交替制勤務者の連続勤務時間を短縮し、連続拘束時間について上限を設けるなど必要な改善措置を講じること。
(2)すべての公務職場で年間総実労働1,800時間を早急に達成するための条件整備をはかること。交替制職場については、必要な職員増などの措置を講じ、「勤務を要しない日」の2日連続取得を保障すること。
(3) 厚生労働省が示した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき基準」(2001年4月)、「賃金不払残業の解消をはかるために講ずべき措置等に関する指針」(2003年5月)、「過重労働による健康障害を防止するため事業主が講ずべき措置等」(2006年3月)、及び「労働時間等設定改善指針」(2006年4月)に準じて勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業の根絶をはかること。
  「超過勤務の縮減に関する指針」を改正し、超過勤務時間の上限規制を明示するなど、実効ある対策をもりこむこと。
  また、超過勤務縮減などにかかわる労使による協議機関の設置を義務づけること。
(4)宿日直勤務における通常業務の規制を強化すること。
(5)公務員労働者の生活・労働実態を無視した勤務時間割り振りの弾力化、フレックスタイム制の適用拡大、裁量労働制の導入などの労働時間「弾力化」や、過重労働につながる制度改悪を行わないこと。
(6)育児のための短時間勤務制度及び自己啓発等休業制度の運用にあたっては、取得しやすい職場環境を整えるよう各府省を指導すること。とりわけ、育児短時間勤務の取得者が不利益な取扱いを受けることがないよう各府省を指導すること。
  また、介護のための短時間勤務制度について早急に制度化を検討すること。
(7)介護休暇の取得期間を365日とし、断続取得、同一疾病での再取得など取得方法の改善、要介護期間の制限撤廃などの改善を行うこと。
  また、現職復帰、代替要員の確保、無給規定の撤廃をはかること。時間取得による賃金カットを大幅に緩和すること。
(8)子どもの看護休暇制度を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢を義務教育年齢とするなどの拡充をはかること。家族看護休暇の創設、子どもの幼稚園・保育園、学校行事等への参加のための休暇制度を新設すること。
(9)育児休業制度の所得保障を充実するとともに、代替要員の確保、育児時間の対象となる子の年齢要件の緩和など取得しやすい制度に改善すること。
  また、男性の取得率を高めるための方策を講じること。当面、時間取得による賃金カットを大幅に緩和すること。
(10)長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を経済的措置を含めて早期に制度化すること。
(11)年次有給休暇を年間30日とし、要員確保など取得促進に向けた条件整備を行うこと。
  また、夏季休暇を10日間とし、結婚休暇も1週間以上に延長すること。

5、男女平等、母性保護等について
(1)公務における真の男女平等を実現するため、採用・任用・昇任・昇格をはじめ雇用の全ステージにおける間接差別を含めた男女差別の禁止すること。
  また、制裁・罰則規定の新設、救済制度の拡充などの整備を行うこと。
(2)役職段階別に占める女性の割合を男女の職員構成比に応じたものとすること。そのため、女性の採用、研修・育成、昇任・昇格にあたって積極的な改善策を講じるとともに、苦情処理制度やセクシュアル・ハラスメント防止対策の拡充をはかること。
(3)各府省が策定した「女性職員の採用・登用拡大計画」が実効あるものとなるよう、数値目標の設定を徹底させるなど指導を徹底すること。
(4)産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替措置を法定化すること。また、連続して育児休業を取得した場合は、代替職員当人の連続した任用を可能とすること。
(5)妊産婦について、深夜・時間外・休日労働や危険有害業務と交替・変則勤務の禁止、他の軽易な業務への転換、勤務時間短縮など労働軽減をはかること。
  また、そのための正規職員による代替措置を講ずるとともに、妊娠障害休暇を新設すること。
(6)更年期障害に関わる措置等を制度化すること。
(7)次世代育成支援対策推進法にもとづく「特定事業主行動計画」策定後の進捗状況を明らかにし、改善をはかること。

6、高齢者雇用、再任用制度改善等について
(1)雇用と年金の接続をはかる観点から、定年年齢を65歳とすること。当面、年金の支給開始年齢の繰り延べに対応して、定年年齢を段階的に引き上げるなどの経過的な措置を講じること。
(2)再任用制度の活用については、希望者全員の運用が可能となるよう適正化をはかること。
  また、再任用の定員管理については、弾力的な運用が可能なしくみとすること。
(3)「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」における検討にあたっては、高齢期の公務員労働者の生活実態をふまえ、労働組合の意見を反映すること。
(4)「被用者年金制度の一元化」に関わって、人事院が政府に提出した「民間の企業年金・退職金等の調査結果及び新たな公務員年金に係る見解」をふまえ、職域部分に代わる新たな公務員年金のしくみを設けること。
  また、退職年金や退職手当など退職給付の支給水準を維持・改善すること。

7、健康・安全確保等について
(1)長時間・過密労働をなくし、過労死・自殺、疾病、公務災害の予防・根絶など職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。
@ 超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等について、実効ある基準を労使協議で策定し、確実な実施を保障すること。
A 人事院規則10-4第14条をふまえ、任命権者ごとに「健康安全管理委員会」を設置し、「労働安全衛生」対策を強化すること。なお、当該組織の構成員に労働組合を参加させるとともに、必要に応じて、当該課題の専門家等も随時、参加・関与できる組織とすること。 
  B 病気休職者等が発生した職場には、必要な要員を確保するなど対策を講じること。C パワーハラスメントに対する指針の策定など具体的な対策を講じること。
  D 看護師の夜勤について、複数・月8日以内を厳守させるとともに、夜間勤務条件の充実をはかること。
(2)職場の健康診断について、次の充実をはかること。
  @ 健康診断の受診を促進させるとともに、検診項目については、ガン・生活習慣病検診など職場と職員の実態、社会の要請に対応した項目を設定するなど内容の充実をはかること。
  A 特別定期健康診断の受診を義務づけ、指定範囲外職員についても希望者の受診を積極的に認めること。
(3)国家公務員災害補償法を次のとおり抜本的に改正するとともに、すべての職員に公務災害補償制度の周知徹底をはかること。
  @ 探知主義の問題点(不透明、恩恵的、抗告訴訟の対象外)の解消を図るため、被災者等による請求を原則とする制度に改めること。なお、請求主義への転換による時効については、被災者の不利とならないよう慎重に検討すること。
A 災害認定について、認定基準のより一層の明確化を図るとともに、認定の基本原則として「使用者挙証責任制」を確立すること。
B 申請手続きの簡素化を図るとともに、申請者の負担軽減をはかること。
C 脳・心臓疾患、精神疾患等の認定については、迅速、適切・的確な処理による災害補償の実施のため、実施機関と連携した災害補償業務の専門性を有した公正な第三者機関による統一した対応をはかること。また、将来的な一元化を含め実施機関の在り方を検討すること。
D 公務上外認定を行政処分と位置付け、被災者の救済に実効ある「行政不服審査」の道を設けること。
E 発生した傷病と公務との因果関係が不明確のため、認定までの間、私傷病として共済組合員証を使用して診察を受けざるを得ないなどの個人負担を解消すること。
F 傷病者の利便性の改善のため、国家公務員災害補償制度の指定病院の拡大をはかること。
G 災害補償制度や指名された災害補償事務主任者等を職員に周知し、災害認定手続きの円滑化をはかること。
  H 公務・通勤災害の各種給付水準を大幅に引き上げること。

8、非常勤職員の処遇改善について
(1)非常勤職員制度の抜本改善、雇用の確保などについて
  @ 非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。
  A 非常勤職員の契約更新等に際して「解雇権濫用法理」を適用するとともに、契約更新回数制限など合理性や納得性のない一方的・一律的な「雇い止め」を行わないこと。
  また、個別事情や職場実態を無視した「任用中断」を行わないこと。
  B 非常勤職員について、採用(任用)手続や人事配置などの人事管理を公正に行うこと。
  C 労働条件の決定にあたっては、人事院が労働基本権制約の代償機能を十全に果たすしくみを確立すること。
(2)賃金・諸手当について
  @ 「一般職の職員の給与に関する法律第22条2項(常勤職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給)」の規定を廃止し、新たに非常勤職員の給与決定基準を給与法で定めること。
  給与法で規定するにあたって、職務内容、在勤する地域及び職務経験等に応じた賃金格付けとすること。
  また、それを裏付ける「予算措置」を講じること。
  A 非常勤職員の最低賃金を「時給1,000円」「日給7,500円」以上に引き上げること。
  B 通勤手当の支給額を改善するとともに、全ての非常勤職員を支給対象とすること。
  C 期末・勤勉手当を支給すること。
  D 退職手当を支給すること。
  E 超過勤務を行った場合は、超過勤務手当を全額支給すること。
(3)休暇制度等の拡充について
  @ 非常勤職員の休暇等を常勤職員と同等の制度に改善すること。当面、無給とされている休暇を有給にするとともに、夏季休暇、結婚休暇及び育児休業などの制度化をはかること。
  A 年次休暇や忌引き休暇、病気休暇などの取得要件を直ちに緩和すること。
(4)労働条件・職場環境等の改善について
  @ 共済組合への加入を認めること。
  A 加入要件を満たす非常勤職員を、雇用保険、健康保険、厚生年金などに加入させること。
  B メンタルヘルスを含む健康管理・確保対策を充実・強化すること。そのため、常勤職員と同等の各種健康診断を実施すること。
  C セクシャルハラスメント、パワーハラスメントの防止・被害救済のため、相談体制を含めすべての非常勤職員に周知徹底すること。
  D 福利厚生や安全衛生に関わる経費を予算化すること。

 

以 上