「報告」を尊重して法案作成作業をすすめる
推進本部事務局への申し入れには、全労連闘争本部の小田川本部長を先頭に、黒田事務局長、闘争本部委員の野村自治労連書記長・東森全教書記長・岡部国公労連書記長が参加、推進本部事務局は、岡本次長をはじめ、渕上審議官、堀江参事官ほかが対応しました。
はじめに、小田川本部長は、別掲の「申入書」を提出し、今回の報告の取りまとめは、議論の経過があまりにも拙速であること、現状の公務員制度を前提に検討すべきこと、人事院の機能の一部を内閣人事局に移管するなどとした部分は全面的に撤回することなどを申し入れたうえ、「報告」の性格や今後の取り扱いについて質しました。
岡本次長は、「全労連からの申し入れはうけたまわった。今回の報告は、顧問会議が有識者としての意見を甘利担当大臣に提出したものだ。この報告を尊重しつつ、大臣が関係各方面と協議して、取り扱いを政治的に判断することとなる。今後のことはこれからであり、何をやるのかを決定したわけではない」と回答しましたが、小田川本部長が「顧問会議が確認した以上、拘束力が出てくるのではないか」と質すと、「尊重する以上、まったく違うことをはじめる訳にはいかない。今後の法案作成作業にいかしていくこととなる。ただし、その過程では、みなさんとも十分な協議が必要だ」とのべ、「報告」にもとづいて内閣人事局の設置法案などが検討されていく方向性を明らかにしました。
労働基本権を棚上げにする議論は認められない
こうした考え方が示されたことから、小田川本部長は、「報告で示された内閣人事局の機能は、労働基本権ともかかわってくる。その議論を棚上げにするならば、憲法上の問題がでてくる」と厳しく迫ると、岡本次長は、「労働基本権制約のもとで、どこまで内閣人事局ができるのか、現行の枠内で議論されたものだ。時間の制約があるなかで議論して取りまとめたもので、次に何ができるのかは、次の判断となる」とのべつつも、「2001年からの公務員制度改革議論で解決できなかったことを、これから解決していかなければならない。それを基本法が求めている。憲法上の問題も議論すべきであり、その点でみなさんと協議すべきだと考える」とのべ、「報告」が憲法とも関わる新たな方向に踏み出そうとしていることも否定しませんでした。
これを受けて、小田川本部長が、2001年からはじまった政府の「公務員制度改革」が、労働基本権の制約維持を前提としてきたために、ILOから度重なる是正勧告も出され、頓挫した経過を示し、「基本権を棚上げにした改革議論を、ふたたび繰り返すのか。並行して、労使関係制度検討委員会で、労働基本権回復にむけた議論をきちんとすすめるべきだ」と強く求めました。
検討過程では労働組合との話し合いを約束
岡本次長が、「基本法で決められたスケジュールがある。来年の通常国会に内閣人事局の設置法案を提出する必要があり、労使関係制度検討委員会の結論を待つのではなく、先行して議論すべきと考える」とし、「議論の過程でみなさんと意見交換する」と繰り返しました。
野村書記長は、「顧問会議の報告をそのまま議論していけば、憲法との関わりがいろいろでてくる。公務員制度改革における従来の懸案もそこにあったはずだ。その懸案を十分に考えて次にすすむべきだ。今回の報告はあまりにも拙速だ」と指摘しましたが、岡本次長は、「労使関係制度検討委員会の議論に先行してやっている。その点で、どこが憲法(労働基本権)との関わりがでてくるのか、また、何が憲法に関わらず法案化できるのかよく議論していく必要がある。憲法上の問題を無視してまで議論できないのは当然だ」との考え方を示しました。
これらのやりとりの後、小田川本部長が、「公務員制度改革には、国民的な議論が必要だ。労働組合と十分に話し合うことをふくめてオープンな議論を求める」と申し入れたことに対して、「今後、来年2月か3月頃に通常国会へ提出するために作業をしていく。節目ごとに、こうしてみなさんの話を伺うこととなる」とのべ、労働組合と協議していくことを重ねて表明しました。
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