No.689
2008年11月13日
時短勧告の実施を最終回答

= 第2次中央行動を背景に総務省と最終交渉 =

 秋季年末闘争の第2次中央行動がとりくまれるもと、公務労組連絡会は13日、08年人事院勧告の取り扱いにかかわって、総務省との最終交渉に臨みました。
  交渉で、総務省は、所定勤務時間を15分短縮する時短勧告をふくめて、14日の閣議で勧告通りに決定すると回答しました。
  解散・総選挙がからんだ政治情勢が反映し、勧告の取り扱い決定が先延ばしにされるなか、「完全実施」の回答を受けて、関連法の早期成立、労働時間短縮の早期実施などを強く求めました。

 

3か月以上も棚上げにされた勧告の取り扱いを追及

 総務省との交渉には、公務労組連絡会から米浦議長を先頭に、若井副議長、黒田事務局長、蟹沢・鈴木両事務局次長、柴田幹事が出席、総務省は、人事・恩給局総務課の山村総括課長補佐、遠山課長補佐ほかが対応しました。
  はじめに米浦議長は、「解散・総選挙がからんだ政治情勢もあり、勧告から3か月以上も取り扱いの決定が引き延ばされている。政治の動きに左右されることなく、とりわけ時短勧告は早期実施することが使用者としての責任だ」とのべ、回答を求めました。
  山村総括課長補佐は、以下のように回答しました。

【総務省回答】
 本年度の国家公務員の給与改定については、8月11日に人事院勧告を受け取って以来、関係府省間で検討をすすめてきたところだ。総務大臣としては、国の財政事情をはじめ国家公務員給与を取り巻く環境が極めて厳しいなか、給与関係閣僚会議で、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重すべきとの立場で意見をのべてきた。
 その結果、明日14日、第3回目の給与関係閣僚会議が開かれることになり、そこでは、給与および勤務時間について勧告どおり改定する旨の決定がなされるものと思う。また、その後の閣議において政府として取り扱い方針が決定されると承知している。
 みなさんには、今回の決定が現下の厳しい諸情勢の下でなされたものであることを十分理解し、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率および行政サービスの一層の向上に努めていただきたい。

臨時・非常勤職員の給与改善、労働基本権回復を求める

 この回答に対して、黒田事務局長は、以下の点を主張しました。
  ○ 「15分の短縮が国民に受けいれられるかどうか」などという町村官房長官(当時)からの発言があるなど、政府部内からは、時短勧告の実施にきびしい意見はあったが、政府が、勧告通りの4月実施を判断したことは受けとめる。関連法の早期成立に全力をあげるよう求める。
  ○ しかし、急激な物価高など国民の生活不安がひろがるなかで、給与改訂が見送られたことは不満であり、霞が関に限定した本府省業務調整手当の問題は多く、2005年の給与構造改革の一環だとしても、政府としての慎重な検討があってしかるべきだった。この手当は、中央・地方間の格差のさらなる拡大を招く問題点を重ねて指摘しておく。
  ○ 非常勤職員の給与改善で、人事院からは8月に「指針」が通知されたが、地方人事委員会の勧告では4県しか言及されていない。すべての公務職場の臨時・非常勤職員の改善をめざして、使用者・政府として引き続き改善にむけて努力せよ。
  また、若井副議長は、「労働基本権制約の『代償措置』としての人事院勧告が、政治状況によって決定まで3か月ものばされたことは不当だ。あらためて、労働基本権の回復を求める。また、閣議決定とあわせて総務省から地方自治体に出される通達は、地方に賃下げをせまる不当な圧力であり、やめるべきだ」と指摘しました。
  さらに、参加者からは、勤務時間短縮にかかわって、労働時間の厳正な管理とともに、根本的な解決にむけて人員・予算措置の必要性が指摘されました。
  これをうけて、山村総括課長補佐は、「本府省業務調整手当をふくめて、勧告は尊重すべき。非常勤職員の給与等の改善は、各省で適切に取り扱われるものであり、総務省としても必要に応じて対応したい」とのべ、また、時短にともなう予算・要員要求に対しては、「サービスの低下をさせないことが必要だが、仕事の工夫で対応してもらいたい」とのべるにとどまりました。
  最後に米浦議長は、「所定勤務時間短縮が数年がかりでようやく実現することとなったが、連年の定員削減によって、長時間・超過密労働は深刻であり、超過勤務は依然として解消される方向にない。17年ぶりという労働時間短縮を契機にして、真の労働時間短縮にむけて全力をあげるべきだ」と求めたうえ、ILO・ユネスコ共同専門家委員会の「中間報告」にもふれ、労働基本権確立にむけて、今後とも、労働組合との話し合いを重視しつつ、使用者・政府としての検討を深めるよう求め、本日の交渉を閉じました。

以 上