No.677
2008年7月30日
異常な物価高に使用者として対応せよ

= 人事院勧告を前に「夏季重点要求」で総務省と最終交渉 =

 公務労組連絡会は30日、6月6日に政府に提出した「夏季重点要求」にもとづく、総務省との最終交渉をおこないました。
  総務省は、「人勧尊重という従来の考え方にかわりはない」などと使用者としての責任を放棄したかのような不誠実な回答に終始し、交渉団として、あらためて誠意ある努力を求めるものとなりました。

 

生活実態よりも「国民の理解、国政全般を考慮」する政府

 総務省との最終交渉は、公務労組連絡会からは米浦副議長を先頭に、黒田事務局長、熊谷・蟹沢事務局次長、鈴木幹事が出席、総務省側は人事・恩給局総務課の山村総括課長補佐、遠山課長補佐ほかが対応しました。
  はじめに、米浦議長は、「原油高騰などによる物価高が生活を直撃しており、7月15日には漁業関係者が『いっせい休業』に立ち上がるという状況だ。職場からの切実な声に応えよ」とのべ、「夏季重点要求書」に対する最終的な回答を求めました。

  これに対し、山村総括課長補佐は、以下のような回答を示しました。
●(賃金改善) 労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度を尊重するという従来からの考え方にかわりはない。賃金については、政府として国民の理解、国政全般を考慮したうえ、適切に対処していきたい。諸手当は、社会一般との均衡を考慮し、勧告の結果をふまえて対応したい。初任給は、「公務員制度改革基本法」などもふまえ、今後も検討していきたい。
●(人事評価制度) 昨年改正された国家公務員法により新たな評価制度の導入をめざして、現在リハーサル試行をすすめている。今後も各府省や職員団体と充分に意見を交換して、よりよい制度の構築をはかりたい。
●(労働時間短縮・超過勤務縮減) 所定内労働時間の短縮について、人事院の最終判断を見守っている。労働時間短縮への対策は、厳正な時間管理による超過勤務縮減や年休取得の促進など幅広いとりくみをすすめる。
●(非常勤職員) 勤務形態は様々であり、一律の扱いはなじまない。人事院で給与実態の把握をすすめており、その結果をふまえて必要な方策を検討したい。
●(男女平等) 男女共同参画計画にもとづき、いっそうのとりくみを各府省に要請している。採用・登用の拡大へ向け各府省とも連携してすすめたい。
●(健康・安全管理) 「国家公務員福利厚生基本計画」や人事院規則にもとづき実施していく。心の問題は、予防・早期発見が重要であり、管理職員対象のセミナーを増やすなど対策を強化する。
●(高齢対策) 職務に専念できる環境を整えるという意味でも、退職後の再任用拡大、定年延長などについて検討をすすめたい。
●(民主的公務員制度・労働基本権) 「公務員制度改革基本法」にある条文の趣旨をふまえ、「公務員制度改革推進本部」とも連携し対応をすすめる。
● 今後とも、安定した労使関係の確立へ、みなさんとも誠意を持って話し合いをすすめ、意思疎通につとめたい。

「人勧尊重だけでなく異常な物価高への緊急な対応を」と追求

 回答をうけて、黒田事務局長は、「国公法は民間賃金とともに生計費にもとづく賃金改訂をもとめている。目に見えて物価が上がっているもとで、『勧告尊重』という従来どおりの回答が繰り返されていることは極めて不満だ。本府省の長時間勤務は異常だが、「本府省手当」導入は本末転倒であり、長時間・過密労働の解消に向けた実効ある対策が必要だ」とのべ、評価制度や非常勤職員の賃金・労働条件についても、さらなる検討・改善を求めました。

  交渉参加者からは、「長時間勤務の解消は、重要かつ緊急な課題であり、総務省としての積極的な対応が必要だ。賃金改訂については、人勧尊重をいうだけでなく異常な物価高への緊急な対応策こそが求められる」「昨年の初任給などの改善が、若手職員の意欲を高めるものとなった。さらに自立できる賃金への改善を求める。地方でも正規職員が減らされる中で、臨時・非常勤職員ががんばってきた。総務省としても地方の実態をみて対応をすすめよ」と、さらなる改善を強く求めました。
これに対し山村総括課長補佐は、「物価上昇が生活を直撃していることは共通の認識だが、人事院勧告という制度から対応はむずかしい。勤務時間の短縮は時間当たりの賃金単価が上がるという見方もある」など極めて消極的な回答に終始しました。

 最後に米浦副議長は、「総務省は、使用者として職員の生活実態を把握して対応すべきだ。回答内容は、『人勧制度の尊重』とする従来の枠を出ないもので極めて不満だ」とした上で、「数日後には人事院勧告が出されるが、公務労組連絡会としてあらためて要求書を提出し、賃金・労働条件の改善を要求する。とりわけ、協約締結権付与に向けた論議が開始されようとしている中、誠意ある話し合いができるよう使用者としての努力を重ねて求める」とのべ交渉を終わりました。

以 上