No.669 2008年6月6日 |
|||||||
仲間の期待に応える賃金・労働条件改善を | |
= 「夏季重点要求書」を人事院・政府に提出 = | |
|
|
第三者機関としての役割を発揮した積極的な改善勧告を人事院・総務省への要求書提出には、公務労組連絡会から、黒田事務局長を先頭に、蟹沢・熊谷両事務局次長、柴田・木原の各幹事が出席しました。午前11時00分からおこなわれた人事院への要求書提出では、職員福祉局の小林主任職員団体調査官が対応しました。 黒田事務局長は、要求書を小林調査官に手交し、「来年から新人事評価制度がスタートしようとしているが、それだけに働きやすい職場・労働条件のために人事院の役割を発揮することが重要だ」とのべ、初任給や手当など賃金の改善、勤務時間の縮減、非常勤職員の処遇改善につながる指針策定など公務労組連絡会の要求への誠意ある検討を求めました。 続いて、参加した幹事からも、「国が廃止を含めた見直しを検討している持ち家に対する住居手当は、地方ほど影響が大きい。燃料費の高騰のもと通勤手当や寒冷地手当の改善こそ必要」「現場の教職員は子育てや親の介護などに追われており、勤務時間縮減が本当に待たれている」と積極的な改善を求めました。 これに対して、小林主任職員団体調査官は、「本日みなさんからいただいた要求書は、さっそく関係部局に伝え、検討したい」とのべました。 労働基本権の回復へ向け労働組合との十分な協議をつくせまた、人事院に先立ち10時30分からのおこなわれた総務省への要求書提出には、総務省から、人事・恩給局総務課の西野課長補佐が対応しました。黒田事務局長は、要求書を西野課長補佐に手交したうえで、「成立する『公務員制度改革基本法』では労働基本権の保障は不充分なものとなった。公務員労働者の権利が制限されているもと、賃金・労働条件の改善とともに労働基本権の回復について、労働組合との十分な協議をつくし政府として使用者責任をふまえた検討を求める」とのべました。 参加した幹事からは、地方・現場の実態を踏まえ「賃金抑制が続くなか、職員の働く意欲だけでなく地域経済にさえ影響が出ている。人材確保の意味からも地方に暖かい改善を」と求めました。 西野課長補佐は、「要求書の趣旨はうかがった。誠意をもって検討し、回答したい」とのべました。 【人事院あて夏季重点要求書】 人事院総裁 谷 公士 殿 公 務 労 組 連 絡 会 公務労組連絡会2008年夏季重点要求書 公務労組連絡会は、08年春闘において、月額11,000円の水準要求をはじめ、「誰でも1万円以上」の賃金底上げ要求、勤務時間の短縮、非常勤職員の賃金・労働条件改善などを強く求めてきました。しかし、春闘期に人事院から示された回答は、「官民較差にもとづく適正な給与水準の確保」とするもので、私たちの要求からすればきわめて不満な内容にとどまりました。「公務員制度改革」がすすむもとで、来年にも新たな評価制度の導入がめざされ、また、「骨太の方針」を策定してきた経済財政諮問会議では、「ムダのない政府」などとして、ことさら公務員総人件費削減に目をむけた政府機関の「見直し」議論もすすめられています。 このような状況のもとで、働きがいのある職場をめざして、第一線で働く公務労働者の賃金・労働条件の改善が、正規・非正規を問わず重要となっています。なかでも、民間を下回る初任給の引き上げや、「官製ワーキングプア」と称される非常勤職員の賃金・雇用の改善は、急務となっています。 また、人事院勧告は、公務関連労働者はもとより、民間労働者の賃金や地域最低賃金、さらには、地域経済にも影響がおよぶことからも、単なる「民間準拠」にとどまらない積極的な立場での賃金改善が求められています。 こうした問題意識に立って、8月の人事院勧告にむけた重点要求を下記の通りまとめましたので、公務員労働者の労働基本権制約の「代償措置」としての人事院の役割を発揮するとともに、民主的行政・教育の確立を求める国民の期待をふまえ、公務労組連絡会の要求を真摯にうけとめて誠意ある回答を求めるものです。 記 1、賃金等の改善について(1) 公務員給与について、生活と労働の実態をふまえた改善を行うこと。 (2) 官民賃金比較方法については、比較企業規模1,000人以上への引き上げ、勤続・経験年数の加味、民間一時金水準の厳正な把握など抜本的な改善を図ること。少なくとも、官民給与の比較対象企業規模を「100人以上」に戻すこと。 (3) 賃金底上げの観点から初任給を改善し、民間初任給との較差を是正すること。 (4) 一時金の支給月数を引き上げるとともに、改善部分は全て期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。 (5) 較差の配分、手当のあり方などについては、労働組合と十分な交渉・協議を行い、合意すること。その際、較差については、俸給表全体への配分を基本とし、初任給周辺に厚めに配分すること。そのことを前提に、諸手当については、以下の要求を実現すること。 @ 扶養手当について、支給範囲及び支給額を改善すること。 A 住居手当について、その負担実態に即して支給内容を改善し、全額支給限度額・最高支給限度額の引き上げを行うこと。 なお、自宅に係る住居手当については、その目的や地方公共団体及び民間における支給実態等をふまえ、廃止を前提とせず慎重に検討すること。 B 通勤にかかわる一切の自己負担をさせないよう通勤手当を改善すること。 また、燃料費の高騰等をふまえ、マイカー通勤等交通用具利用者に対する支給額を改善すること。 C 単身赴任手当の支給額を改善すること。なお、単身赴任手当については、「別居手当」に改め、全額を比較給与対象外とすること。 D 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。 また、出張中の超過勤務手当については、正規の勤務時間を超えて移動に要した時間に対しても支給すること。 E 寒冷地手当について、燃料費の高騰等をふまえ、支給額等を改善すること。 F 特地勤務手当の支給基準の「見直し」にあたっては、離島・僻地の生活不便度、物価・生計費など都市部との相対的な格差を十分に反映した改善をはかること。 G 本府省手当の新設は行わないこと。 (6) 新たな人事評価制度の任用・給与への活用の在り方等にかかわって、評価結果を直接給与等に反映する仕組みとしないこと。 また、活用にあたっては、評価制度の信頼性について十分な検証を行うとともに、労働組合と十分な交渉・協議を行い、合意すること。 2、勤務時間等について (1) 所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。当面、以下の要求を実現すること。 @ 07年勧告時報告にもとづき、所定勤務時間の1日7時間45分、週38時間45分への短縮をただちに勧告すること。 A 交替制勤務者の連続勤務時間を短縮し、連続拘束時間について上限を設けるなど必要な改善措置を講じること。 (2) 厚生労働省が示した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき基準」(2001年4月)、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(2003年5月)、「過重労働による健康障害を防止するため事業主が講ずべき措置等」(2006年3月)、及び「労働時間等設定改善指針」(2006年4月)に準じて勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業の根絶を図ること。 「超過勤務の縮減に関する指針」を改正し、超過勤務時間の上限規制を明示するなど、実効ある対策を盛り込むこと。 また、超過勤務縮減などにかかわる労使による協議機関の設置を義務づけること。 (3) 介護のための短時間勤務制度について早急に制度化を検討すること。 3、非常勤職員の処遇改善について (1) 画一的・一方的な「雇い止め」を規制するなど、非常勤職員制度を抜本的に見直すこと。 (2) 非常勤職員の勤務や処遇の実態を調査すること。その調査結果に基づき、職務や勤務形態、経験等に対応した類型化を行い、常勤職員との均等を基本にそれぞれの類型に対応した処遇改善を図ること。具体的には、以下の要求を実現すること。 @ 非常勤職員の給与について、独立して生計が維持できるよう最低基準や、俸給額や諸手当等を法定化すること。 また、常勤職員と同様の勤務実態にある職員については、同一労働同一賃金の原則に基づき、常勤職員と同等程度の給与を支給すること。 A 非常勤職員の休暇等については、常勤職員と同等の制度に改善すること。当面、無給とされている休暇を有給にするとともに、夏季休暇、結婚休暇及び育児休業などの制度化を図ること。また、年次休暇や忌引き休暇、病気休暇などの取得要件を緩和すること。 4、男女平等、母性保護の拡充等について (1) 公務における真の男女平等を実現するため、採用、任用、昇任・昇格をはじめ雇用の全ステージにおける間接差別を含めた男女差別を禁止すること。 また、制裁・罰則規定の新設、救済制度の拡充などの整備を行うこと。 (2) 次世代育成支援対策推進法にもとづき各府省が策定した「特定事業主行動計画」の進捗状況を把握するとともに、3年目の見直しにあたり、数値目標設定などにかかわって指導を徹底すること。 (3) 各府省が策定した「女性職員の採用・登用拡大計画」が実効あるものとなるよう、数値目標の設定を徹底させるなど指導すること。 (4) 産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けること。 (5) 産休代替要員を全職種、全期間確保するとともに、賃金引上げができるようにすること。 5、健康・安全の確保について (1) 職場の労働安全衛生にかかわる労使による協議機関を設置するよう指導すること。 (2) 過労死・過労自殺及び公務災害の根絶のため、産業医の配置や管理者研修など職場の「労働安全衛生」対策を強化するとともに、職員の「心の健康」の保持増進に必要な対策を強化すること。 (3) 一般健康診断の受診項目を拡大すること。 (4) パワーハラスメントに対する指針の策定など具体的な対策を講じること。 6、高齢対策について (1) 雇用と年金の連続性を確保する観点から、定年年齢を65歳とすること。 (2) 再任用制度の活用については、希望者全員の雇用が可能となるよう運用の適正化を図ること。また、再任用の定員管理については、弾力的な運用が可能な仕組みとすること。 (3) 「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」における検討にあたっては、高齢期の公務員労働者の生活実態をふまえ、労働組合の意見を反映すること。 7、その他 (1) 「被用者年金一元化」に関わる公務員等の新3階年金については、人事院が報告した調査結果と見解をふまえ、支給水準の改善を前提に創設されるよう関係機関に対する働きかけを行うこと。 (2) 国有財産の売却等に関わっては、職員の宿舎確保に支障が生じないよう関係機関に対する働きかけを行うこと。 |
|
以 上 |