No.667
2008年6月5日
「公務員改革基本法案」参議院内閣委で可決
= 参議院でもわずか2日間で審議を終結 =
 参議院内閣委員会で審議されている「公務員制度改革法案」は、5日、わずか2日間の委員会審議で自公民3党により可決され、明日(6日)の参議院本会議で可決・成立する見込みとなりました。
午後からの審議・採決がねらわれるもと、全労連「公務員制度改革」闘争本部と公務労組連絡会は、参議院議面集会を開催、引き続き傍聴監視行動をとりくみ、引き続くたたかいの強化を意思統一しました。

国民の権利を守るためには公務員自らの権利が尊重されるべき

 審議2日目となった内閣委員会は、午前中に参考人質疑を行い、午後2時半から神本美恵子(民主党)、松井孝治(民主党)、有村治子(自民党)、山下栄一(公明党)、山下芳生(日本共産党)、又市征治(社民党)の各議員が質問に立ちました。
 自公民各党の議員は、法案が修正合意されたことを最大限評価する一方で、政治主導がいわれ、新人事評価制度が導入されるもとで公務の中立性・公正性が守 れるのか、本当にキャリア制度をなくせるのかなど法案への疑問が次々とのべられるなど、まだまだ議論が尽くされていないことも明らかとなりましました。

 労働基本権問題にしぼって質問した山下議員(共産)は、「労働基本権は、労働者の生きる権利であり、団結権、団体交渉権、争議権は一体のもの。渡辺大臣も専門調査会で労働協約権と争議権の一部の付与について検討を要請している」として大臣の見解をただしました。
 これに対して渡辺大臣は、「労働基本権は憲法28条で保障されている」としつつも、「専門調査会では、そうした方向性を示してもらいたいと踏み込んだ発言をした」との回答にとどまりました。
 さらに山下議員は、「国民の権利を守るためには公務員みずからの権利が尊重されるべき」と指摘し、政府として、労働三権の回復にむけた検討をすすめるよう求めました。

  労働基本権については、自民・民主・社民の各党議員も質問。渡辺大臣は、修正合意された「国民に開かれた自律的労使関係制度を措置する」ことについて「法 案成立後1ヶ月以内に新たに設置される公務員制度改革推進本部のもとに、当事者の参加する検討体制をつくる」と答弁しました。
 質疑終了後、委員会は自公民3党の賛成で法案を可決。さらに、3党合意による付帯決議が議決されました。

労働基本権回復へたたかいはこれから〜議面集会で意思統一

 参議院での法案採決がねらわれる5日、全労連「公務員制度改革」闘争本部と公務労組連絡会の共催で、昼休みに緊急の参議院議員面会所集会を開き、70人が参加しました。
 国公労連の秋山中執の進行ではじまった集会では、公務労組連絡会の米浦副議長(全労連闘争本部副本部長)が主催あいさつし、「誰のための改革なのか、政 官財癒着の根絶など国民の願いは届いていない。基本法の成立を許しても、具体化はこれからであり、今日の集会をあらたなたたかいへの出発点へ位置づけよ う」と訴えました。
 国会から駆けつけた日本共産党の山下芳生参議院議員は、「ほとんど法案の内容が掘り下げられないまま、成立されようとしていることに怒りを持つ。公務員 の労働基本権は、国民・住民を守る権利であり、すみやかな回復が必要だ。そのことを、今日の質問で渡辺行革担当大臣に問い質したい」と、内閣委員会での質 疑を前にした決意がのべられました。
 参加者からの発言では、「基本法は、公務員の政治的中立性や全体の奉仕者としての役割を破壊するもの。労働基本権でも、争議権や消防職員の団結権など は、政府としてまったく検討されていない。公務員制度がねじまげられないよう全力で奮闘する」(国公労連・盛永副委員長)、「裁判所でも、能力・実績主義 が強まっている。裁判員制度が発足するなかで、誇りを持って働くことのできる公務員制度を求める」(国公労連全司法・牧山書記長)、「4月に来日した ILOユネスコの共同調査団は、教職員の労働条件は労使交渉で決着すべきであることや、争議権の必要性も指摘した。11月に予定している日本政府への勧告 に期待したい」(全教・新堰副委員長)、「国民の求める公務員制度の確立にむけて、非正規労働者の改善などが重要だ。消防署職員の団結権の持つ意義を明確 にして、権利回復をめざしたい」(自治労連・野村書記長)などたたかう決意がのべられました。
 最後に、公務労組連絡会の黒田事務局長(全労連闘争本部事務局次長)が行動提起し、各組合代表の決意表明でものべられたように、引き続く運動の前進に全力をあげることを参加者全員で意思統一し、集会を閉じました。
以 上