No.656 2008年3月27日 |
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現場から「宙に浮いた年金」の実態を報告 | |
= 年金記録問題の根本解決を問う「3・27院内集会」を開催 = | |
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「国民の年金を守れ」と共産・社民議員が激励主催者あいさつに立った国公労連の福田委員長は、「年金記録問題は、現に実務を担っている人の意見を反映した上で問題点を明らかにして解決すべきだ。しっかりとした体制を確立して整理すれば、解決の方向が見えてくる。年金制度をどう確立するのかという議論が先にあって、どう改革するのかという順序で議論されなければならない。この問題は、わかりにくい制度、高い保険料、低い給付という制度への不信と空洞化を背景にしている。順序立てた冷静な議論が必要だ」と指摘しました。日本共産党の高橋議員は、前日に後期高齢者医療制度に反対する集会が4野党党首の出席で開かれ、「消えた年金」をさらに天引きする制度への怒りがひろがっているとし、「ねんきん特別便を送付しても9割は未解決。必要なのは暮らしていけない年金をどうするのか。安心できる年金制度があってこそ国民の暮らしも守れるし、問題の解決にもなる。共産党として、具体的な提案をしていきたい」と決意を込めてあいさつしました。 また、社民党の保坂議員は、昭和30年以前の「旧台帳」の記録の問題に触れながら、「舛添厚生労働大臣が予算委員会で“記録はあるけれども、探せないのかもしれない”と答弁している。年金保険料は国民からの預かり金。『あるけどない』などという答弁では済まされない。アメリカなど諸外国では、年金問題がゼネストに発展している。日本でも国民運動が必要だ。まず、立ち上がろう」と呼びかけました。 「社保庁職場はパンク状態」、厳しい実態をつぎつぎに告発現場からの報告として、社会保険事務所に勤務する全厚生神奈川県支部の川名書記長は、「年金記録整備でとくに都市部は大変な状況。横浜のある社保事務所の窓口では、26日の8時半の開庁時点ですでに150人が列を作っている。事務所の電話はひっきりなしにかかり、ほとんど繋がらない。4月以降は全国で1億人に『ねんきん特別便』が送付される予定だが、このままの体制では限界に来ており、対応ができなければ、さらに社保庁への不信に拍車をかける。現場の実態を把握・分析したうえでの対応が必要だ。予算措置と人員確保が急務の課題」と厳しく指摘しました。また、社会保険業務センターで働いている峰全厚生書記次長は、「これまで、年金の再裁定業務は年間4万件を30人の職員で受け持ってきたが、昨年6月以降の受付は24万件に達し、1月から1日15人の応援体制で土日も当番で処理している。複雑なケースを入れると1件平均40分かかる。派遣社員も20人雇っているが、半分はすぐに辞めてしまい、仕事を教えることにも時間が割かれる」と、深刻な現状を訴えました。 ねんきん特別便の相談も受け付けている社会保険労務士の長谷川陽子さんは、「特別便はわかりにくい。文字も小さくて読まない。第三者委員会への申立書は、もっと複雑で、ハードルが高すぎる。相談体制も含めて、社保庁は1億人のために本気になっていない」と厳しく指摘したうえ、「全国の社会保険労務士が活躍できるように、コンピュータ端末の整備や情報の開示などをすすめ、社会保険事務所だけでなく身近なところで相談できる体制づくりが必要だ。私たち社会保険労務士は、努力を惜しまない」と提案しました。 「このままでは公的年金制度の危機」と自由法曹団・加藤弁護士加藤健二弁護士は、自由法曹団として、年金業務・組織再生会議に意見書を提出したことに触れ、「記録問題は、歴史的、制度的、構造的な問題であり、そのことを政府が認めることが出発点であると意見書で明らかにしてきた。強制的に徴収された年金の記録が管理されていないのは国家賠償ものだ。なのに、職員に責任が転嫁されていることが問題」とのべ、「記録問題を解決しなければならないときに、組織の解体や民営化を議論していること自体、常識では考えられない。職員には、休日もなく働かせておきながら、雇用は保障しないと脅している」と雇用問題にも触れて発言しました。その他、社会保険労務士、社会保険庁OB、年金者組合など4名が立ち、「『宙に浮いた年金』だけが強調されているが、年金そのもののあり方の議論を巻き起こす必要がある」と、消費税を財源としない最低保障年金の必要性ものべられました。 最後に、公務労組連絡会の黒田事務局長が、「問題点解決の道筋が明らかになった。年金記録問題の解決と年金空洞化をくいとめる取り組みを一体にとし、最低保障年金制度をはじめ、安心できる年金制度の確立をめざしていく必要がある。国民的な運動を進める中でこの問題を解決していこう」と閉会あいさし、集会を閉じました。 |
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以 上 |