No.652 2008年3月6日 |
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日々雇用、昇給・休暇なしの実態を告発 | |
= 公務労組連絡会が初の臨時・非常勤職員交流集会を開催 = | |
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「国や自治体がワーキングプアをつくる」現実を告発午前10時から始まった集会には、日本共産党の吉井英勝議員が国会の合間をぬって駆けつけ、「労働者派遣法が改悪されるなど、政治が労働者をいじめている。公務労働が儲けの手段にされ、そのなかで非正規職員がふえていることは重大だ。雇用と身分を保障するため国会でも奮闘したい」と激励の言葉をおくりました。その他、共産党から山下参議院議員、大門参議院議員も集会終了まで同席しました。浅野賃金・労働条件専門委員長が、公務職場の臨時・非常勤職員の現状や今後のたたかいの方向にかかわって問題提起しました。そのなかで、国の職場では、非常勤職員が15万人に達し、3分の1を占めていることや、きわめて低賃金で働いている実態などが報告され、そうしたもとで、「非正規労働者が主人公の運動」をすすめる必要があることが強調されました。 これをうけて、参加者の討論では、各単産でのとりくみや、職場実態について交流しました。自治労連からは、05年の総務省調査でも45万6千人、実際には60万人にものぼるとみられる非正規労働者は、フルタイムでも年収200万円以下、地域最低賃金を下回る自治体も存在することが報告され、「自治体がワーキングプアをつくっている」と告発しました。 全教からは、公立小学校の非常勤講師の数は、94年時点と比較して2006年で3.5倍にもなっていることや、非常勤講師1人あたりの予算上の給与は、年間でわずか125万円にも満たないことが報告されました。 国公労連の国公一般労組からは、霞が関で働く職員の声が紹介され、「給与は今のままでいいので、何とか雇用だけは継続してほしい」という切実な願いや、「採用された初日に、前の非常勤職員の仕事を引き継いで、200件もの書類の処理を任された。その中には、重要書類もあった」など、責任ある仕事まで非常勤職員に丸投げしている本省庁の現実も明らかにされました。 3年で雇い止め 雇用の不安は想像を絶するもの参加者からは、「保育所の雇い止めをやめさせるため裁判でたたかい、東京高裁で雇い止めの不当性を断罪する勝利判決を勝ち取った。4月からの現職復帰にむけてたたかう」(東京公務公共一般労組)などの運動の報告とともに、「時給1210円、年収78万円程度。生活保護を受けなければ暮らしていけないが、それでも子どもと一緒にいたいので、この仕事を続けたい」(埼玉・非常勤臨時教員)、「市場化テストのなかで、より安価な落札価格により、大幅な賃金カットが強行された。非正規労働者も増えているが、こんな難しい仕事はとても無理と言ってすぐに辞めてしまう」(特殊法人労連・民事法務協会労組)などの実態が報告されました。その他にも、発言では、「雇い止めの任期が近づくと、不安になり、仕事をやる気もなくなる。みんな、働き続けたいと思っている」「仕事の経験が必要な職場でも、何年も働かされているが、非常勤には昇給はない。忌引き休暇もない。一般の市民からは、『公務員』と呼ばれるが、これで公務員と言えるのか」などの怒りの声が出され、また、職場から駆けつけてきた女性は、「採用されて半年間は、有給休暇は1日もない。休むと無給になるので、家族の助けを借りて出勤し、とてもはがゆい思いをした。3年で雇い止めとなるが、雇用への不安は想像を絶するものだ。雇い止めは、公務の職場に混乱を招くだけだ」と切々と訴えました。 こうした発言を受け、黒田事務局長は、「みなさんの貴重な発言で、過酷な実態が明らかとなった。安定性、専門性が要求される公務の職場では、公務・公共サービス拡充の面からも正規労働の拡大が不可欠だ。昇給なし、休暇もなしという実態は、放置できない問題であり、ただちに解消させるためたたかいを強める。『非正規労働者が主人公』の運動を実践し、要求前進を勝ち取ろう」と討論をまとめました。 最後に、「集会アピール」(別掲)を確認し、今後、「官製ワーキングプアなくせ」の運動を強めていく決意を、参加者全員で固め合いました。 以 上 集会アピール「同じ仕事には同じ処遇を!」私たちは、今日、こうした思いを込めて集会を持ちました。 多くの企業で正規雇用から非正規への置き換えがすすむなか、国や自治体をはじめ、あらゆる公務・公共の職場で臨時、非常勤、派遣など非正規雇用労働者が激増しています。社会保険事務所で年金の相談に当たる職員、役場の窓口で住民票を手渡す職員、公立保育所でクラス担任を務める保育士、大学から小学校まで学校という学校で授業をしている教員、そして給食をつくっている職員。様々な職場で、今、多くの臨時・非常勤の労働者が働き、公務・公共サービスの最前線の仕事を担っています。 ところが、こうした臨時・非常勤職員の多くが、正規職員並みの仕事に従事しながら、その処遇は極めて低い水準にあります。 全国の地方労連がおこなった調査で、多くの自治体で臨時職員の時給が、地域の相場に比べて100円も低く、法律で定める最低賃金すれすれの状態にあることがわかりました。働かせ方の規制緩和によって、まじめに働いても食べることさえまともにできないワーキングプアの増大が社会問題となっていますが、社会の規範となるべき国や自治体がそうした労働者、「官製ワーキングプア」をつくり出しているのです。 その雇用実態は、数ヶ月から1年という短期の「任用」であり、極めて不安定なものです。そもそも公務員法は、特別な理由でしか臨時や非常勤の「任用」を想定していないため、使用者の都合だけで、「処遇改善なしに長期にわたり更新が繰り返されている職員」がいる一方で、「突然の雇い止め」が横行しています。 さらに、臨時や非常勤という理由から、業務に必要な研修さえ受けさせないという、差別的な職場も存在しています。 いま、国や自治体は、厳しい財政状況などを理由に正規職員を削減し、臨時・非常勤職員への置き換えや事業の民営化をすすめています。こうした不安定で安上がりな労働者に犠牲を押し付けるようなやり方は、安定・継続が求められる公務・公共サービスの質の低下を招くという意味からも許されるものではありません。 私たちは、今日、公務職場の厳しい実態を明らかにするとともに、そこでの働きがいを交流することができました。これからも公務の仲間、非正規の仲間との連帯を広げ、また、多くの国民の皆さんとの理解を深めあい、「均等待遇の実現」「公務・公共サービスの拡充」を求めて運動をすすめます。 2008年3月5日 「官製ワーキングプア」告発集会 |
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以 上 |