No.642
2007年11月28日
基本権回復、公務サービス拡充へ1500人結集
= 賃金改善・悪法阻止の課題と結びつけ第2次中央行動を展開 =
 公務労組連絡会は28日、全労連・国民春闘共闘の共同で、07秋季年末闘争の第2次中央行動にとりくみました。
 地方の賃金確定闘争が重要段階をむかえ、国会では、「新テロ特措法」の参議院で審議入りがねらわれるなか、中央行動では、公務員賃金改善、公務・公共サービスの拡充とともに、労働基本権回復、すべての悪法阻止にむけて、各省への要請行動、総決起集会、国会請願デモで奮闘しました。
 中央行動には、公務・民間あわせて1,500人が参加しました。

政府は地方自治の確立にむけて努力せよ

 11月も終わりに近づき、冬空のもと東京は一段と冷え込む一日でしたが、中央行動には、全国の仲間が続々と駆けつけ、昼休みの時間帯には、総務省・行革事務局への要請行動が並行してとりくまれました。
 総務省前で主催者あいさつした大黒議長は、まず、政府による人事院勧告の値切りに厳しく抗議したうえ、「総務省は、『三位一体改革』や市町村合併をすすめるのではなく、地方自治の確立へ努力せよ。臨時国会の再延長もねらわれるなか、悪法阻止へがんばろう」と呼びかけました。
 行動には、東京や神奈川など地方労連からも参加し、神奈川県労連の水谷事務局長の連帯あいさつでは、「この秋にとりくんだ自治体要請では、どこに行っても対話がはずんだ。08春闘では、『憲法どおりの日本をつくろう』との掛け声でがんばりたい。官民が団結してたたかい、情勢をきりひらこう」と参加者を激励しました。
 柴田幹事が、一昨日に成立した給与法、自治体の賃金確定闘争をめぐる状況や、公務・公共サービスなどの課題を中心に情勢報告し、秋季年末闘争の後半戦にむけた職場・地域からのいっそうの奮闘を訴えました。
 3名の職場代表の決意表明では、「社会保険庁の廃止・民営化で、職員の選別採用もねらわれるもと、職場では、メンタルヘルスや退職が急増している。国民の年金権を守る立場から08春闘でがんばる」(国公労連全厚生・飯塚書記長)、「総務省が、自治体の現業職員の賃下げ攻撃を強めていることに抗議する。公務員賃金の性格を否定し、労働基本権を無視するもので許せない。全国の仲間と団結してたたかう」(自治労連現業評議会・石羽根議長)、「国体で多額の予算を使い、県はムダ遣いする一方、職員には、賃金カットを強行。地方切り捨ては、日本全体をダメにする。憲法の精神を生かし、生き生きとした地方を取り戻そう」(全教・秋田高教組・佐々木書記長)など、怒りの発言が続きました。
 最後に、全教・佐藤書記のリードで総務省にむけてシュプレヒコールをぶつけ、行動を終えました。

問答無用の独立行政法人合理化計画は許さない

 行革推進本部事務局前の要求行動では、国公労連井上書記の司会のもと、主催者あいさつで福田副議長は、「昨日、政府の行政減量・効率化有識者会議は、11法人の廃止・民営化を柱とする報告書を福田首相に提出した。問答無用の廃止・民営化に、断固反対してがんばろう」と呼びかけました。
 建交労の赤羽書記長は、「90年代の初頭から規制緩和が進み、1,700万人の非正規労働者が生み出され深刻な社会現象をひきおこしている。アメリカや財界言いなりの規制緩和や「構造改革」に官民一体でストップをかけよう」と激励あいさつしました。
 情勢報告で盛永幹事は、政府がすすめる独立行政法人「改革」の経過や情勢を報告し、「有識者会議の報告の乱暴なやり方は断じて許されない」とし、国民生活にとっては極めて重要な業務までも廃止しようとしていることを批判しました。
 3人が決意表明し、「2001年から独立行政法人となった航空大学校は、5年間で5%以上の人件費が削減された。国民が安心できる航空輸送へ整理・合理化に断固反対する」(国公労連・全運輸航大支部宮崎分会・大江執行委員)、「教職員の定数削減で効率化が求められている。子どもに丁寧に接する時間が必要。生き生きと定年まで働き続ける職場づくりこそ大事だ」(埼玉県教組・高田中央執行委員)、「都市再生機構の廃止・民営化案がマスコミ報道された。民営化で家賃が3倍になることも予想され、緊急提言を出すなど声をあげていく」(特殊法人労連・篠原事務局次長)などの発言がつづき、最後に自治労連の高田中執のリードでシュプレヒコールをぶつけました。

「骨太の方針」反対、公務・公共サービスの拡充を

 経済財政諮問会議に対する内閣府前要求行動は、主催者あいさつで黒田事務局長は、「経済財政諮問会議は、財界による政府の乗っ取りだ」と指摘し、「『骨太の方針』による国民生活が切り捨てに声をあげていこう」とのべました。
 連帯あいさつで全農協労連の老田委員長は、「生産者米価が暴落している。これでは米や野菜づくりができなくなる。協同組合もつぶされ大企業が参入しようとしている。安上がりで、犠牲を押しつける公務員攻撃を跳ね返すため一緒にたたかう」と激励しました。
 蟹沢事務局次長による情勢報告では、11月から開始された来年度の予算編成にむけた議論など、財界主導のもとで国民生活へのさらなる負担をねらっている経済財政諮問会議の横暴を明らかにし、共同したたたかいで反撃していくことを訴えました。
 決意表明では、「市場化テストにさらされた求人募集事業では、民間のほうが経費がかかかっている。良質なサービスは国が行なうべきだ」(国公労連全労働・山ア中執)「県の病院の独立行政法人化、保育園の民営化がすすめられている。地域住民へのサービス低下に反対する」(神奈川自治労連・加瀬委員長)、「各地の私学で授業料の滞納などが増えている。国民生活を破壊する私学助成削減などの『構造改革』には反対してたたかう」(全国私教連・小村委員長)など、職場・地域での実態が明らかにされ、自治労連の殿岡中執のシュプレヒコールで要求行動を閉じました。

消費税増税反対、国民本位の予算編成をおこなえ

 総務省、行革推進本部事務局前行動に続いて、民主的行財政確立を求める財務省・内閣府に対する包囲行動がとりくまれました。
 財務省要求行動で主催者あいさつした米浦副議長は、防衛省疑惑の渦中にある額賀財務大臣に対して、「疑惑が持たれる大臣のもとでの予算編成を容認することはできない」と指摘し、「与党の参議院選挙敗北は、格差と貧困、構造改革への国民の拒否の現れであり、民主的行財政確立へむけた予算編成の抜本的な見直しが必要」と強調しました。
 金融労連の村上中執が激励あいさつし、「金融の規制緩和・自由化により、投機マネーが動いている。いま必要なことは国民の財産を守る金融行政であり、そのために公務・民間共同のとりくみをすすめたい」と、決意をのべました。
 浅野幹事・賃金・労働条件専門委員長の情勢報告では、社会保障費や公務員人件費など最大限の歳出削減をすすめる来年度予算編成に向けた政府の動きを報告し、「福田首相が来年度の消費税引き上げを見送ると表明したことは、増税反対という国民的世論の力だ」とのべ、財務省に国民本位の予算編成をせまりました。
 決意表明では、「法務局、更生保護局、入国管理局など法務の職場は、慢性的な人員不足の状態にあり、新規事業など行政サービス拡充には予算と人員増は不可欠だ。登記業務の職場で市場化テストによる委託労働者の雇用不安、低賃金の改善を求める」(国公労連全法務・伊藤東北地本書記長)、「財務省は、あらたにフィッシャー指数を持ち出し、地方公務員の給与が高いと住民との分断を図っている。これには自治体当局も批判を強めている。住民とともに行政サービス拡充をかかげたたかう」(自治労連京都府職労・福島書記長)、「教育現場は多忙を極めている。子どもたちのために人を増やすことが必要。教職員の労働条件を確保することは行政の責務であり、国民の願いに応えることだ」(山口高教組・藤永委員長)と、現場の厳しい実態とともに政府への切実な要求が語られました。
 最後に、国公労連・小倉中執のリードでシュプレヒコールを財務省へぶつけました。

「公務・公共サービス拡充署名」を100万人から集めよう!
〜 日比谷野外音楽堂の中央集会でたたかう決意を固め合う 〜

 4か所での要求行動を終えた参加者は、日比谷野外音楽堂に集合し、「公務・公共サービスの拡充、働くルールの確立を!11・28中央集会」を開催しました。
 全労連・国民春闘共闘・公務労組連絡会の主催3団体を代表して、大黒公務労組連絡会議長があいさつし、「専門調査会の最終報告が出され、労働基本権回復のたたかいは、これからが政府とのしのぎ合いとなる。『100万人署名』をひろげ、国民的な課題に押し上げよう」とのべ、「公務・公共サービスの拡充署名」運動の強化を訴えました。
 激励に駆けつけた農民連の斉藤常任委員は、米価から換算すると日本の農民の労賃が時給200円程度であることを示しながら、「財界は、農産物自由化や競争によって、さらに米価引き下げをねらっている。公務にも競争を持ち込むな!農民も同じ願いだ。政治を変えて、人間らしく生活できる賃金の実現へともにがんばろう」とあいさつしました。
 労働基本権回復や公務・公共サービス拡充の課題を中心に情勢報告した全労連「公務員制度改革」闘争本部長の小田川全労連事務局長は、「国民の安全・安心が脅かされ、『構造改革』への批判も高まっている。公務・公共サービスの拡充と労働基本権回復とは一体の課題であり、権利回復にむけて動き始めたチャンスを逃さず、署名運動などを大きくひろげよう」と、署名の100万人からの集約など08春闘にむけた奮闘を訴えました。
 公務3単産の代表が決意表明し、「公務の民営化がすすめば、貧困はさらに拡大する。労働基本権の確立は、国民サービスを守る条件ともなる。『公務・公共サービス拡充署名』は、国公労連として50万筆を集める決意だ」(国公労連・川村副委員長)、「出産難民、介護難民の言葉が生まれるほど、地方自治が変質させられている。憲法25条にもとづく自治体の役割発揮へ、住民の命を守る大運動をすすめたい」(自治労連・野村書記長)、「教育予算が削減され、教育『改革』の矛盾は深まっている。午前中に文科省包囲行動にとりくみ、署名を提出した。憲法を守るたたかいにむけて、新たな共同をひろげたい」(全教・東森書記長)など、国民本位の行財政・教育の確立にむけた力強い決意がのべられました。
 最後に、全労連の大木副議長・全労連全国一般委員長が閉会あいさつし、「参議院選挙の結果で、政府も『構造改革』を手直しせざるをえなくなっている。要求と運動が政治を変えてきたことに確信を持ち、労働者と国民の願いをかなえるため奮闘しよう」とのべ、参加者全員で団結ガンバロウを三唱して集会を閉じました。
 集会終了後は、「新テロ特措法」など悪法がねらわれる国会にむけて、請願デモに元気よく出発しました。
以 上