No.638 2007年10月29日 |
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指定職の一時金・地域手当改善を見送り |
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= 一般職員は「完全実施」へ、最終交渉で政府が回答 = | |
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「幹部職員の給与改定見送りはやむなし」と回答総務省との交渉には、公務労組連絡会から大黒議長を先頭に、米浦副議長、黒田事務局長、熊谷・蟹沢両事務局次長、柴田・高橋の各幹事、また国公労連から小倉中執が出席、総務省は、人事・恩給局総務課の津村総括課長補佐、相米課長補佐ほかが対応しました。大黒議長は、「現在、マスコミでもさまざまな報道がされているが、われわれの要求は、あくまで勧告の完全実施であり、賃金改善の早期実施だ。臨時国会の会期末もひかえ、時間は限られている」として、誠意ある回答を求めました。 津村総括課長補佐は、以下のように回答しました。 【総務省回答】 本年度の人事院勧告の取り扱いについては、去る8月8日に勧告を受け取って以来、関係府省間で検討を進めてきたところだ。これまで、3回の給与関係閣僚会議が開催され、総務省からは、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重すべきとの立場で意見をのべてきた。 その結果、明日(30日)、第4回の給与関係閣僚会議が開かれることになり、そこでは、指定職のボーナスおよび地域手当の支給割合の改定を除き、勧告どおり実施するとの決定がなされるものと思う。給与関係閣僚会議で決定されれば、その後の閣議において政府として取り扱い方針が決定されることになる。 今回、指定職の改定の見送りを行うのは、厳しい財政事情や現下の社会経済情勢の下で、公務員の給与を引き上げることについて国民の理解を得る観点からは、行政運営に極めて重い責任を有する幹部職員の中核たる指定職の給与改定を見送ることもやむを得ないと考えたものだ。しかしながら、労働基本権制約の代償機能を果たす人事院勧告制度を尊重するという政府の基本姿勢は今後とも変わりはない。 職員のみなさんには、何とぞご理解願うとともに、今後いっそう、国民の信頼にこたえ、服務規律の厳正な保持および公務能率、行政サービスの向上に努めていただきたい。 なお、取り扱い方針決定後は、臨時国会の会期末も迫っていることから、早急に必要な法律案を提出してまいりたい。 値切り実施は「代償措置」としての人勧を踏みにじるものだこの回答に対して、黒田事務局長は、以下の点を主張しました。○ 一般職員にかかわって、勧告の完全実施を判断したことは受けとめる。しかし、指定職といえども、その一時金の実施を見送ることは、勧告の値切りにほかならず、労働基本権制約の「代償措置」である人事院勧告制度を踏みにじるものであり、断じて認められない。 ○ 一般職員にしても、8月の勧告から3か月近くもその取り扱いの決定が引き延ばされてきたことは不満だ。さらに、官民比較企業規模を「50人以上」から「100人以上」にもどす要求は「ゼロ回答」であり、その点については認めがたい。 ○ 労働基本権について、政府の専門調査会が「最終報告」を出したが、「両論併記」の不十分な内容となった。今回、勧告が値切られることとなれば、ますます労働基本権の確立は重要な課題となってくる。労働組合との話し合いのもとで、権利回復にむけて努力することを強く求める。 ○ 給与以外にも、今年の勧告では、所定勤務時間の短縮が見送られたこと、非常勤職員の給与・労働条件の改善に初めて言及したことなど、使用者として検討されるべき課題は多い。政府として引き続き改善にむけて努力せよ。 さらに、米浦副議長は、「一部でも実施されないのは大きな問題だ」「地方にも影響が出る。早い決断が求められていたのではないか」などと追及し、また、柴田幹事は、「政府は、『服務規律の保持』などというが、一部の国の幹部職員による不祥事は、人勧の実施と同列で議論すべき問題ではないし、また、国は指定職に限定しても、指定職など存在しない地方自治体では、一般の職員にまで影響する可能性もある」と厳しく指摘しました。 これに対して、津村総括課長補佐は、「地方のことは地方で決めることだ」などと無責任な態度に終始しました。 最後に大黒議長は、「改善勧告は値切り、マイナス勧告なら完全実施するというのは納得できるものではない。総務省として、最後まで完全実施にむけた努力を求める。また、勧告を値切ることで国民の理解を得るというのは方向がさかさまである。公務員の労働基本権について国民的な議論をひろげるべき今こそ、労働基本権制約の『代償措置』としての人勧制度の重要性について、国民に理解を求める努力が必要ではないのか」と指摘し、今後とも、公務員労働者の労働基本権の確立にむけて、労働組合との話し合いを重視しつつ、使用者・政府としての検討を深めるようあらためて要請し、本日の交渉を閉じました。 |
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以 上 |