No.633
2007年10月3日
地方人勧にむけ地方公務共闘が奮闘
= 県労連とも共同して人事委員会に要請 =
 07人勧を受け、9月に各政令都市で人事委員会勧告が出されました。これまでのところ、14市中マイナス格差が4市で、横浜市がマイナス改定を勧告したほか、7市が改定を見送るなど厳しい勧告が相次いでいます。
そうした中、全国の都道府県勧告を前に、9月末にかけて各県公務共闘が、公務関連労働者の賃金・労働条件改善へむけ各人事委員会への要請・交渉にとりくんでいます。9月28日にも岡山公務労組連絡会が県労会議とともに、多くの団体署名をたずさえ県人事委員会に要求実現をせまりました。以下、各県からの報告です。

(岩手)職場・地域からの声に応える勧告を

 岩手県公務共闘といわて労連は、9月26日に岩手県人事委員会に対し、全県から昨年を1,300筆上回る14,206筆の署名を提出し、生活改善となる勧告を出すよう強く要請しました。交渉には、佐藤公務共闘議長、鈴木いわて労連議長をはじめ10名が参加。県人事委員会からは、菊池職員課長など5名が出席しました。
 冒頭、佐藤公務共闘議長が組合員と家族、そして民間を含む広範な労働者の要求の結集である署名用紙の「山」を提出。鈴木いわて労連議長は、最賃が岩手では目安を2円上回る答申を出したことにふれながら、県内の民間労働者を含めた期待が人事委員会にかけられていると述べました。
 人事委員会は、公民格差について「その差は縮小してはいるが、依然として逆格差」であり「給料表改定や一時金改善等は慎重に検討中である」とし、「過去には国準拠という姿勢であったが、ここ数年は人事委員会として判断している」と強調しました。また、臨時・非常勤職員の均等待遇については「臨時職員の給与は正規職員の給与に連動する仕組みになっており、若い職員の給料を単価としてはいるが適正と考えている」と回答し、これに対して、「仕事の内容や経験などをもっと勘案して、均等待遇にむけて改善の努力をすべき」と要請しました。
 岩手では、職場での「国人勧」をふまえたわずかな期待の一方、県人勧の行方がまったく不明瞭な状況にあることを踏まえて、さらに地域・職場6のとりくみを強めています。

(北海道)生活実態ふまえ、10%カット中止、賃金改善の実現を

 9月26日に北海道公務共闘地公連絡会は、給与改善勧告を求めて人事委員会交渉にとりくみました。高教組・道教組・自治労連から合わせて20名が参加し、人事委員会からは市原事務局次長など4名が出席、対応しました。
 道高教組の櫻井委員長は「労働基本権が制約されている公務労働者の代償機関として、道職員、教職員の要求に応え、賃金・労働条件の改善・充実をはかる職責を充分に果たすことを強く要望する」と主張し、新保道教組書記次長が「公務労働者の賃金・労働条件の改善を求める署名」2,548筆を提出しました。
 回答では、官民較差は、道職員10%独自削減後の給料で昨年の4.7%より大きくなること、削減前では昨年のマイナス4.9%より小さくなることが明らかにされ、ゼロ勧告を示唆する発言がありました。また、「あるべき給与」との比較ということで、削減前と官民比較すること、また、国を上回る手当について「見直し」する方向を打ち出しました。
 参加者からは、現場の厳しい生活実態を踏まえて、独自削減の中止、住居(持ち家)手当て削減の不当性、超過勤務解消や寒冷地手当ての改善を強く要求する発言が相次ぎました。最後に東原北海道自治労連委員長が「職場の声を聞き生活改善につながる勧告をするのが人事委員会の役割だ。人勧は生計費の実態にあうものにはなっておらず、人事委員会として改善する勧告をするよう残された時間努力するよう求める」とまとめ、交渉を終わりました。

(千葉)勧告の社会的影響力を踏まえ、積極的な改善を

 9月26日、千葉県公務労組連絡会は千葉労連と共同で、県人事委員会に対する要請行動にとりくみました。要請行動には、千葉労連の松本議長を先頭に、公務・民間各労組から8名が参加、県人事委員会から安田給与課長ほかが出席しました。
要請団を代表して松本議長が「県人事委員会が、労働基本権の代償措置としての役割と勧告の社会的影響力をふまえて、すべての労働者の賃上げにつながる積極的な役割を果たすことを強く求める」と発言し、長平自治労連千葉県本部委員長が、自治体職員の生活改善と地域経済活性化につながる勧告を行うことなど4項目についてその実現を求めました。
 県人事委員会は、「官民比較企業規模を千葉県だけが突出して100人以上に戻すことはできない」また、非常勤職員の問題について「県人事委員会の対象範囲ではない」などと回答しました。これに対して要請団から「脱法的な特別職としての任用にとらわれず、現実の実態に照らして、すべての非正規職員の処遇改善につながるよう知恵を出すべき」と主張しました。
 参加した民間労組の代表からも、「以前、人勧が下がったことを理由にパートの賃下げが提案された。社会的に影響を与える人事委員会として責任と役割の発揮を」「公務への成果主義導入は、仕事の性格から、住民の立場からしても『百害あって一利なし』と指摘したい」などの意見が次々語られ、人事委員会を追及しました。
 こうした強い要請をふまえ、県人事委員会は、「皆さんからの要請の内容は委員にお伝えしたい」と述べました。

(茨城)本来支給されるべき額と民調結果を踏まえた勧告を

 茨城県公務労組連絡会は9月26日、県人事委員会への申し入れ行動を実施しました。行動には河和議長、石引事務局長をはじめ、連絡会役員に加え、茨城労連藤代副議長、大月事務局長など9名が参加しました。県人事委員会からは高橋事務局長、林総務課長など4名が対応しました。
  冒頭、河和議長から「県人事委員会として、我々の要請に誠意をもって回答をお願いしたい。また、県職員は3.5%の給与カットを受けており、県職員の生活改善につながる勧告を強く求める」と要請しました。
 県人事委員会は、「従来の比較方式に戻すことについては、人事院のスタンスで調査しており、戻す考えはない」「(県職員給与3.5%カットについて)昨年3月県議会に給与カットは好ましくない旨の意見を申し上げた。そのスタンスはいまも変わりがない。しかし、県財政の厳しさから臨時的なものとして『やむを得ない』と判断した」と表明しました。
これに対して公務労組連絡会から「県財政の破綻は、土地開発公社や住宅供給公社への多額の繰り入れや利用客のない『茨城空港』開設事業など、大型開発優先の予算に問題がある。最も削減しやすい人件費を削るのではではなく、大型公共事業にナタを振るうよう知事に対し進言せよ」また、「現在の給与カットを考慮して、県職員の生活改善につながる勧告を求める」と強く要請。県人事委員会としては「本来支給されるべき額を基準に民調の結果や近隣の人事委員会の動向を考慮しながら勧告したい」と述べました。
 また、時間短縮の前倒し勧告をという要求に対しては、県内企業の所定労働時間調査を2年間続けてきたが、週39時間で茨城県が前倒して勧告する状況にはないと回答しました。
 さらに公務労組連絡会は、今年度の人事院勧告でふれた非正規職員の改善勧告を県人事委員会としても行うよう強く要請しました。
県人事委員会は、「非正規職員の労働条件の改善勧告をする立場にもないし、範疇外である」と回答。これに対し、民間企業の場合は3割が正規で8割は、臨時・パートとなっていることや県・自治体の時給の低さが民間に悪影響を与えている実態を告発し、「県人事委員会の範疇外としても、事あるごとに改善に務めるよう進言していくべき」と厳しく要請し要請行動を終えました。
以 上