No.622
2007年6月18日

政府の「公務員制度改革」阻止へ各地で学習会
= 公務員制度改悪法案は廃案に、労働基本権のすみやかな回復を =
 公務労組連絡会は16日、富山県公務共闘準備会・富山県労連・国公北陸地協との共催で、北陸ブロック「公務員制度改革」問題学習会を開催し、35名が参加しました。
 また、「戦争する国づくりと公務員制度」と題した学習会が、大阪労連「構造改革と公務リストラに反対する闘争本部」の主催で14日夜に開催されました。
 各地の学習会では、終盤国会の最大の焦点となっている公務員制度改悪法案の問題点を中心に、労働基本権回復など民主的公務員制度確立へ学習を深めました。

財界・大企業に奉仕する行政への変質をねらう攻撃

 富山市内で開催された北陸ブロックの学習会では、公務労組連絡会の蟹澤昭三公務員制度・権利専門委員長、富山県国公の碓井徹議長があいさつし、現国会における国民投票法をはじめとする諸悪法の強行に抗議するとともに、政府の「公務員制度改革」が、「戦後レジームからの脱却」における中核として、「物言わぬ公務員づくり」をねらっていることを明らかにし、職場や地域からの学習をひろげることを呼びかけました。
 盛永雅則公務労組連絡会幹事・国公労連副委員長が講演し、国会で審議中の国家公務員法改定案について、第一に、能力・実績主義の人事管理の問題は、労働基本権を棚上げにしたままでは現行公務員法に逸脱するものであり、もともと評価結果を給与等へ直接反映すること自体が誤りであることを指摘しました。第二に、法案がかかげる再就職規制は、「天下り」自由化であり、国民の期待に何も応えない中身であるとしました。
 さらに、政府の「公務員制度改革」のねらいは、「物言わぬ公務員づくり」と「財界・大企業に奉仕する行政への変質」の2つであることを、財界が発表した資料も紹介しながらわかりやすく説明しました。
 盛永氏は、総務省による人事評価制度の試行が拡大するもと、人事評価を給与や任用に活用させるというならば、試行への対応を含めて議論する必要が生じるときびしく指摘し、労働基本権の回復のたたかいが新たな局面をむかえていることを指摘しました。こうしたもとで、国民世論への働きかけの徹底・強化、参議院選挙での与党の過半数割れ、組織の拡大強化、という3点を運動課題として強調しました。
 参加者からは、自己評価も含めた評価制度が職場のチームワークを壊してしまうのではという懸念や、公務員バッシングに対するマスコミ対応も含めたたたかい方、労働基本権問題での全労連と連合との共同したたたかいへの展望、社保庁「解体・民営化」に反対する問題でのたたかいの重要性などについての質疑・意見が交流されました。
 富山高教組の増川利博委員長が閉会あいさつし、この間の新自由主義にもとづく「構造改革」路線によってすすんできた格差社会のもとで、安倍支持率も急低下するなか、参院選での勝利をめざした決意がのべられ、公務労働者の団結したたたかいの強化を全体で確認して学習会を閉じました。

「民営化の行き着く先は国民サービス切り捨て」と民間労組

 14日に開かれた大阪での学習会は、大阪労連の「構造改革と公務リストラに反対する闘争本部」が主催したもので、会場のグリーン会館大ホールには約40名が集まりました。
 主催者を代表してあいさつした服部闘争本部事務局長は、大阪労連と大阪公務共闘が共同してとりんくできた「署名つきチラシ」では、一般市民からも政府に対する怒りの声がたくさん寄せられていることを紹介し、「公務員への攻撃は、戦争をする国づくりがねらいだ。公務労働組合にだけにまかせるなという思いで2年前に闘争本部を立ち上げたが、まさにその攻撃がいま本格化している」とのべ、いっそうの奮闘を呼びかけました。
 全労連の小田川事務局長(全労連「公務員制度改革」闘争本部長)を招いた講演では、公務員制度「改革」の歴史的経過、関連法案の問題点、攻撃に対抗するたたかいの視点などが整理して話され、最後に、「労働組合には、公務の役割、専門性にもとづいた住民への説明責任がある。とりわけ、憲法に照らし合わせて、政府の『改革』の矛盾と問題点を伝えていく必要がある」とのべ、国民・住民との「対話と共同」の大切さを強調しました。
 その後、各単産・地域からの報告があり、大教組からは、免許更新制で教員を排除し、指示・命令の権限を国に与える教育改悪3法の問題点がのべられ、憲法改悪を許さず、参議院選挙で改憲勢力に痛打を与えるとの決意がのべられました。
 また、民間労組からも発言がつづき、「JR西日本は大儲けをしていても、労働者の賃金には回さず、株の配当で大企業・銀行にぼろ儲けをさせ、安全軽視で悲惨な事故も起こしている。民営化が何をもたらすのかの見本だ」(国労大阪)、「NTTは、公衆電話の撤廃など儲からない部分を切り捨て、50歳で退職を強要するなど労働者いじめも強めている。公務員の権利を守ることは、住民の利益を守ることだ」(通信労組)など、住民との共同をひろげる重要性がのべられました。
 また、「公務員は決して賃金は高くないし、リストラも起こっている。その実態を住民に明らかにしていくためもっと声を上げるべき」(東成労連)などの指摘もありました。全厚生の組合員でもある大阪国公の川畑委員長は、「消えた年金」問題で混乱が続く職場の状況をリアルに報告し、「国民の怒りの根源は、まともな生活ができない今の年金制度にある。厳しいが、たたかう労働組合、全厚生の姿を職場に示しながら、社会保険庁解体法案の廃案へ奮闘したい」と決意を語りました。最後に、大阪自治労連の宮武書記長が、「財界は、道州制と公務員制度改革を提言してきた。財界がねらう公務員づくりを許さず、憲法改悪反対のたたかいと結びつけてたたかう」と決意をのべました。       
以 上