No.621
2007年6月12日

参議院でも「天下り」自由化法案に批判集中
= 「公務員制度改革」関連法案、内閣委員会での審議が始まる =
 参議院内閣委員会は12日、「公務員制度改革」関連法案の趣旨説明がおこなわれ、引き続いて各党による質疑に入りました。
 公務労組連絡会は、内閣委員会への傍聴行動にとりくみ、8名(国公労連5、自治労連・全教・事務局各1)が参加しました。
 また、参議院では、社保庁「解体・民営化」法案や教育改悪3法案の審議がつづくもと、参議院議員会館前で、全教・国公労連の共同による国会行動がとりくまれ、会期末まで約10日にせまったもとで、悪法を廃案にする強い決意を示しました。

労働基本権付与の方向で検討して「基本法」に盛り込む

 この日の内閣委員会で質問に立ったのは、秋元司・小池正勝(以上、自民)、松井孝治・朝日俊弘(以上、民主)、風間昶(公明)、亀井郁夫(国民)の各議員で、午後からの野党質問では、衆議院に引き続いて天下り問題への追及が中心となりました。
 松井議員は、社会保険庁の「解体・民営化」後に新たにできる独立行政法人・日本年金機構から民間企業への「天下り」について、「法案では、現在の社会保険庁(国家公務員)からの天下りならば規制の対象だが、それを引き継ぐ年金機構(非公務員)から民間企業への天下りは規制されない。これでは国民は納得しない」と追及すると、渡辺行革担当大臣は、「社会保険庁とは違う組織ができる。まったく別のガバナンスが働いてくる。今と同じようにモノを言うのはいかがなものか」などと答弁し、さらに、「天下りの事前規制を廃止し、いくら事後の規制を設けたとしても、ザル規制になる」と指摘されると、渡辺大臣は、「法案は、なれあいや癒着の温床である天下りを断ち切ることを目的にしている。天下りカルチャーの大転換だ」などとのべ、まともに答弁する姿勢は見られませんでした。
 最後に松井議員は、「抜け穴だらけのうえ、新人材バンクの制度設計は、有識者懇談会にすべてが任されている。国会で法案を審議しても何の意味がない」と批判しました。
 朝日議員は、来年の通常国会で提出を予定している「公務員制度改革基本法」(仮称)について、「基本法はどのような内容になるのか?『プログラム法』としているが、プログラムではいかにも中身がない」と質すと、渡辺大臣は、「行革推進法のイメージだ。内容は、今後、有識者懇談会で総合的かつ整合的な検討をすすめて提出する予定だ。今年10月をめどに専門調査会で議論されている労働基本権も、基本法でかかげる項目の一つとなる」とし、労働基本権の取り扱いを基本法に盛り込むことを明らかにしました。
 これに対して、「労働基本権の保障にむけて、専門調査会の議論をふまえて、政府として積極的な対応をはかるべきだ」と朝日議員が求めると、渡辺大臣は、「私としても、専門調査会に対して、スト権をふくめて付与する方向で検討するよう要請してきた。現在、改革の方向で見直すよう専門調査会で検討している」と答弁しました。
 国民新党の亀井議員は、早期勧奨退職(肩たたき)について、「肩たたきは、公務員にしかない。民間企業にはない慣行だ。これを禁止しなければ、問題は解消しない」と指摘すると、「肩たたきがなければ、公務員は『上司高齢化社会』になる。勧奨退職によって、公務員以外の道にすすめる方策が必要だ。能力・実績主義で、公務の世界に新しいカルチャーが生まれる」などとのべ、こうした渡辺大臣の言いたい放題の答弁は、議場内の失笑を買っていました。

公務3単産委員長が国会前でエール交換
〜 すべての悪法は廃案に!昼休み国会行動にとりくむ 〜

 「公務員制度改革」関連法案が審議されるなか、すべての悪法の廃案をめざして、国公労連・全教の共同で、12日に昼休み国会前行動がとりくまれました。
 全教の米浦委員長は、「教育3法案は、教員を締めあげて教壇から締め出すことがねらい。怒りの矛先を政府につきつけ、いまこそ一致団結してたたかおう」とのべ、国公労連の福田委員長は、「審議すればするほど安倍内閣は、取り繕いようのないボケツを掘っている。国公法改悪法案は、官民の垣根を低くして財界言いなりにするのが狙いだ。国公労連も、全教に負けないでしっかりたたかう」と、両委員長がエール交換しました。
 国会の情勢報告に日本共産党の笠井亮衆議院議員がかけつけ、「安倍内閣のごり押しの暴走政治と国民との間に矛盾がひろがり、最終盤の国会審議がずれ込み、スケジュールを狂わせてきている。そのことを確信に連帯してたたかおう」と参加者を激励しました。
 また、自治労連の駒場委員長は、「近づいた参議院選挙対策のための公務員攻撃であることが現局面で明らかになった。参議院選挙で自民・公明両党にきっぱりとノーをつきつけよう」と連帯のあいさつをおくりました。
 決意表明では、全厚生の杉下委員長は、「『消えた年金』では、問題の本質をそらし職員批判で解決するのは大きな過ち。組合員は必死で奮闘している。社会保険庁の解体・民営化を許さず徹底審議で廃案へ全力をあげる」とのべ、全教の中村中執は、「教育改悪3法案で、昨日開かれた水戸と横浜の地方公聴会では、与党推薦の公述人からも懸念が出されている。教育を政争の道具にすることは許さない」とたたかう決意をのべました。
 午後からは、すでに連日の座り込み行動を続けている全教に加え、国公労連も座り込みを開始し、廃案をめざして意気高くたたかう仲間の決意が国会を取り囲みました。
以 上