No.618
2007年6月8日

「公務員制度改革」関連法案が衆議院を通過
= 11日の参議院本会議で趣旨説明、12日に委員会審議の見込み =
 6日の衆議院内閣委員会で可決された「公務員制度改革」関連法案は、7日の本会議で採決され、自民・公明両党の賛成によって可決しました。また、民主党案は、民主・社民・国民新党の賛成少数で否決されました。
 衆議院を通過した法案は、来週からは、審議の舞台が参議院に移ることとなります。参議院では、11日の本会議での趣旨説明と総括質問を経て、翌12日から内閣委員会での審議に入る見通しです。
 審議をすればするほど問題点が明らかになるなか、十分に議論が尽くされないまま衆議院を通過させたことは断じて認められません。公務労組連絡会は、引き続き、全労連「公務員制度改革」闘争本部に結集し、国会行動や傍聴行動にとりくみ、国会最終盤の重要法案となっている社保庁「解体・民営化」法案、教育改悪3法案などとともに、廃案をめざしてたたかいを強めます。

野党が一致して政府案反対の立場を明確にする

 7日の午後1時から開会した衆議院本会議では、採決の前に、松原仁(民主)、木村勉(自民)、吉井英勝(共産)、菅野哲雄(社民)の各議員が討論に立ちました。
 民主党の松原議員は、政府案に対して、「ぬぐいきれない官尊民卑の発想がある。これまでの審議を通しても、公務員の再就職にはハローワークではなく、なぜ官民人材交流センター(新人材バンク)が必要なのか、政府答弁からは最後までわからなかった」として反対しました。また、天下りの監視委員会や新人材バンクの内容や体制、予算などがまったく明らかにされず、今後、有識者懇談会で決めると渡辺行革担当大臣が答弁を繰り返したことに対して、「有識者懇談会への丸投げだ。立法府としての国会を否定するものであり、怒りを禁じ得ない」とのべました。一方、松原議員の討論では、公務員賃金について、「鬼が黙る人事院が存在し、民間以上の賃金をもらっている」などとし、一部の高級官僚と一般の公務員を混同した発言もありました。
 共産党の吉井議員は、はじめに、国民の行政サービスや公務員の権利にもかかわる法律を、不十分な審議のまま採決を強行することは、国会審議を形骸化するとして強く抗議しました。そのうえで、吉井議員は、政府案の内容について、官僚の天下りを原則禁止から原則自由に180度転換させ、官業癒着をさらに深刻にさせる天下り自由化法案そのものだと指摘しました。とくに「新人材バンク」は、官僚専用の「特製ハローワーク」であり、国民の税金を使う必要はまったくないと厳しく批判しました。
 その他、能力・実績主義による人事管理の導入が、全体の奉仕者としての公務をゆがめ、行政サービスを低下させること、公務員労働者の労働基本権回復について何ら言及していないことなどを指摘し、政府案の廃案を求めました。また、民主党案は、「天下り規制強化には賛成するが、能力・実績主義の強化の面では同意できない」として反対しました。
 社民党の菅野議員は、「官民人材交流センター設置と能力・実績主義だけが先行し、天下りの根絶は後回しにされている」として政府案に反対しました。また、新人材バンクは、天下りを自由にする「天下りバンク」であること、公正な評価制度が未整備なまま能力・実績主義の人事管理制度を見切り発車させること、労働基本権の付与をはじめ労使関係の改善が先送りされていることなどをあげ、「小手先の対策で国民の声をかわそうとしている」と批判しました。
 これらの討論ののち、ただちに採決に入り、政府案は、自民・公明両党の賛成多数で可決、民主党提出の3法案は、民主・社民・国民新党が賛成し、少数否決されました。
 これによって、政府提出の「公務員制度改革」関連法案は、ただちに参議院に送付され、今後、11日午前11時からの参議院本会議での趣旨説明を経て、翌12日の内閣委員会での審議が予定されています。

労働法制3法案の採決がねらわれるもと緊急の議面集会を開催

 衆議院で審議されている労働法制3法案は、十分な審議もされないまま、与党が8日の厚生労働委員会での採決を主張するなど、予断の許さない状況がつづいていました。こうしたもと、労働法制中央連絡会では、公務労組連絡会、全労連「公務員制度改革」闘争本部との三者共同の衆議院議員面会所集会を8日の昼休みに緊急に呼びかけ、法案の採決に反対するたたかいを強めました。
 集会には、緊急な提起にもかかわらず公務・民間の約70名が参加し、主催者あいさつした労働法制中央連絡会・宮垣全労連事務局次長は、現在も厚生労働委員会での審議がつづいており、集会が開かれている間にも採決強行の可能性があるとの緊迫した状況が報告されました。
 厚生労働委員会から急きょ駆けつけた共産党の高橋千鶴子議員は、息を切らせながらも、審議中に開かれた理事会の協議によって今日の採決がなくなったこと、来週も、引き続き定例日に労働3法の審議を続けることなど、最新の国会情報が報告されました。
 その後、国公労連の河村書記次長、全教の蟹澤中執、労働法制中央連絡会を代表して婦団連の堀江会長、生協労連の盛本書記次長が決意をのべ、集会参加者は、労働諸法制改悪法案の強行採決を押しとどめたことを全体で確認しつつ、来週にむけてさらにたたかいを強める決意を固めました。

悪法廃案へ6月14・21日に国会請願デモを配置

 会期末まで1か月を切った国会では、「公務員制度改革」関連法案とともに、社保庁「解体・民営化」法案の審議が参議院で本格化し、自民・公明両党は6月20日頃にも成立をねらっています。また、教育改悪3法案も、中央・地方公聴会を経たのちに採決がねらわれており、悪法審議がきわめて重大な局面をむかえています。
 一方では、「消えた年金」問題が国民的な不安を招き、採決強行を繰り返す安倍政権に対しては、内閣支持率の急落など国民の怒りや不満が急速にひろがりつつあります。たたかいを盛り上げ、世論と運動がひろがれば、悪法が審議未了・廃案となる条件も生まれてきています。
 こうしたことから、公務労組連絡会として、6月14日、21日に連続して国会請願デモを配置するほか、6月13日、20日の昼休みには、引き続き6者共同の国会行動を配置してたたかいます。
 各単産でも、連日の国会座り込み行動が配置されるなど、たたかいが強化されています。公務労働者が総決起し、最後の最後まで悪法阻止へのいっそうの奮闘を呼びかけます。
以 上