No.606 2007年4月9日 |
|||||||
地方公務員の給与改善へ役割発揮を求める |
|
= 公務労組連絡会が全国人事委員会連合会へ申し入れ = | |
|
|
優秀な人材確保のうえでも給与改善は重要全人連への申し入れには、公務労組連絡会からは、福田副議長を先頭に、若井事務局長、黒田・新堰両事務局次長、熊谷・蟹沢・木原の各幹事、自治労連から川俣副委員長、全教から東森書記長・高橋中執が出席しました。全人連は、内田会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、中澤(北海道)、石附(宮城県)、田中(新潟県)、井上(横浜市)、那須(愛知県)、帯野(大阪府)、丸山(広島県)、武田(香川県)、谷水(福岡県)の各人事委員会代表ほかが出席しました。はじめに、福田副議長は、内田会長に「要請書」(別掲)を手渡し、「公務員給与をめぐっては、政府の総人件費削減の方針とともに、地方公務員に対しては、総務省の研究会の報告などが示され、国を上回って厳しい状況だ。こうしたなか、全国の人事委員会が、公務員労働者の労働条件を改善するため努力していることに敬意を表する。自治体独自の賃金カットが過半数を超え、夕張市が財政再建団体となるなどの状況で、さらに賃金抑制がすすむ懸念もある。こうしたなかで、中立・公正な第三者機関としての役割を発揮するよう要請する」と申し入れました。 また、若井事務局長は、要請項目について説明しつつ、「優秀な人材を確保するためには、それにふさわしい給与水準が必要だ。とくに、地方分権の時代のもとでそのことが重要課題だ。そうした観点から、全人連・人事委員会としての対応を要請する」と求めました。 これに対して、内田会長は、以下のように回答しました。 (内田全人連会長回答) ただいまのみなさんからの要請については、確かにうけたまわった。さっそく、全国の人事委員会に伝える。 あらためて申し上げるまでもなく、公務に従事する職員の勤務条件を適正に確保することは、人事委員会の最重要の使命であると認識しており、本年も、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を適切に果たしてまいりたい。 本年の民間給与実態調査をむかえるにあたって、現在の状況認識等について、一言、申し上げたい。 まず、最近の経済状況を見ると、3月の月例報告では、「景気は、消費に弱さが見られるものの、回復している」とし、先行きについては、「企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」としている。 その一方で、「原油価格の動向が内外経済に与える影響等は、留意する必要がある」とし、引き続き、警戒感も示している。 このようななか、今春闘では、企業収益の改善を反映し、増額回答した企業が増えるなど、賃金の改善傾向が見られる一方、賃金の動きは、横ばい圏内で推移しているとの見方も出始めている。 他方、最近、自治体ごとの給与水準が公表されたこともあり、今後、地方公務員の給与にむける住民の目は、これまで以上に厳しさを増していくものと思われる。 現在、各人事委員会において、5月初旬から、民間給与実態調査を、人事院と共同で実施していくことを予定しており、この調査の対象となる企業規模は、人事院において、昨年と同様とする方向で、準備がすすめられていると聞いている。 本日、要請をいただいた個々の内容は、各人事委員会において、その調査結果や各自治体の実情等をふまえながら、本年の勧告にむけて検討していくことになる。 全人連としても、必要な点については、人事院や各人事委員会と十分意見交換や連携ができるよう、努めてまいりたい。 以 上 【別掲:全人連への要請書】 2007年4月9日 地方公務員の「給与勧告」についての要請書 日ごろより地方公務員の勤務条件の向上にご努力頂いていることに敬意を表します。 政府・与党は、地方公務員の給与は高すぎる、さらに切り下げる必要がある、あるいは人員の削減や民間委託化などさらにリストラをすべきと主張しています。参議院議員選挙を意識してのことと報じられていますが、労働基本権を剥奪されている地方公務員の給与や労働条件を「政争の具」にすることは極めて不当であり、厳に慎まなければならないことと思います。 人事院は、一昨年の「給与構造の見直し」、昨年の民間給与実態調査の比較対象企業規模を50人以上の事業所にまで拡大するなど私たちの、反対の声を押し切って賃金抑制策を取ってきました。 今年の春闘の中間結果は産業別や企業規模別でばらつきはあるもの給与水準改善の傾向が伺われ、マイナスや据え置き勧告の続いているもとで職場では期待の声が出ています。さらに非正規労働者の賃金・労働条件の改善が社会的な声となっています。 一方で、昨年の「骨太方針2006年」では公務員総額人件費を2.6兆円削減するとしており、5.7%の定数削減、地域の民間給与水準やボーナスの支給月数の反映、特殊勤務手当の削減、級別職員構成の見直しなどを求めています。 さらに総務省は、昨年の「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」報告書において、「給与構造」は国準拠とし、水準は地域水準に限りなく近づけるよう提言しました。 さらに、地方交付税の削減等による財政危機によって、独自に賃金削減を行っている自治体が過半数を超えています。 地方公務員賃金は、地方公共団体における人事行政運営に直接関わり、また財政運営とも密接な関連を有しています。さらに分権時代にあっては地方公務員の人材確保にも大きな影響を与え、公務サービスの質とも深く関わっています。従って、単に民間準拠のみで決定できない性格を持っていることは明らかです。 その上、地方公務員賃金は、地方公務員の生活に直接影響を与えるだけではなく、地域経済にも大きな影響を及ぼしています。 地方公務員の勤務労働条件に関わる重要な役割を担われている貴職がこうした認識にたって、厳しい公務員バッシングの中で住民福祉の充実に日々努力している自治体・自治体関連職場で働く労働者の暮らしを改善するために、下記の要求事項を尊重し、人事委員会勧告にむけた作業にあたられることを要請するものです。 記 1.比較調査対象企業規模を100人以上に戻すこと。労働基本権剥奪の「代償機関」とされる人事委員会の役割と機能を踏まえ、調査対象事業所は、労使交渉によって賃金等の労働条件を決定している企業を基本とすること。 2.本年度の勧告にあたっては、地方公務員の生活改善につながる賃金水準を確保できるものとすること。また、政府・総務省の不当な干渉を排除し、地方自治を守り、中立機関としての独立性を堅持すること。 3.地域の民間給与水準を絶対視することなく、生計費原則、「同一労働・同一賃金」の原則を踏まえること。地方公務員の給与水準は、人材確保などによる地方行政のありようや地域社会にも大きな影響を与えるので総合的かつ長期的視野に立って勘案すること。 4.公立学校教職員の給与について、文部科学省が実施した「教員勤務実態調査」に基づき、適正な給与水準を確保すること。また、職の新設は法制化の途上であり、導入については都道府県の自主的判断となっていることを踏まえ、1級を底上げした現行4級制のモデル教員給料表を提示すること。加えて、違法な状態となっている教員の時間外勤務実態を是正する有効な措置を講ずること。 5.人事委員会勧告事項にない、財政危機などを口実にした自治体独自の賃金引下げや、勧告を無視した給与制度の改悪などについては、公平・中立の第三者機関として、使用者に毅然とした対応を行うこと。 6.住民に信頼される中立・公正な地方行政を確保する観点から、競争原理、「成果・業績」にもとづく給与・人事管理制度実施などの勧告をおこなわないこと。 7.臨時・非常勤(教)職員の賃金・労働条件を抜本的に改めること。当面、常勤職員との均等を図ること。 8.すべての公務職場における年間総実労働1,800時間を達成するため、所定内労働時間短縮など必要な措置をとるよう勧告すること。同時に、違法なサービス残業を根絶する抜本的改善を勧告するとともに、公務員労働者の生活・労働実態を無視した勤務時間割り振り、裁量労働制の導入などの制度改悪を行わないこと。 9.介護休暇制度について、日数の増加や対象者の拡大、休業手当金の上限規制の撤廃、十分な所得保障など、改善を行うこと。子どもの看護休暇制度の拡充、家族看護休暇制度、子どもの幼稚園・保育園、学校の行事等への参加のための休暇制度を新設し、仕事と家庭の両立支援に有効な制度を確立すること。また、関連労働者にも同様な制度を確立すること。特に「非常勤(教)職員の子どもの看護休暇」を有給とするよう措置すること。 10.育児休業制度の無給規定を撤廃し、十分な所得補償を行うこと。当面、休業手当金支給割合を50%に引き上げ、取得者全員に1歳6か月までの休業手当金を支給すること。代替要員の確保や部分休業も含めた男性の取得促進など、男女とも取得しやすい制度に改善すること。また、臨時・非常勤(教)職員について、常勤職員に準じた制度とすること。 11.公務における真の男女平等をはかるため、募集・採用・任用・昇格をはじめ雇用の全ステージにおける直接・間接の男女差別を禁止し、その実行を図るための必要な整備を行うこと。 12.職員の健康・安全を確保するため、長時間・過密労働をなくし、過労死・自殺、疾病、労働災害の予防など福利厚生施策を含めて万全の措置を講じること。あわせて、労働安全衛生法を厳格に遵守するよう強く指導すること。 |
|
以 上 |